北宇治高校吹奏楽部が全国大会金賞を獲得するまでの3年間を描いた「響け!ユーフォニアム」。
原作は2019年に、アニメは2024年の放送で物語は完結しました。最終回は北宇治高校吹奏楽部が全国大会で金賞を獲得してすぐ幕引きとなり、エピローグとして久美子が北宇治高校吹奏楽部の副顧問になったカットで終了しています。
しかし、最終回で一つ気になるのが久石奏と黒江真由の和解と思われるシーン。劇中で奏は真由を警戒し牽制する様子が見て取れましたが、金賞獲得後、何らかの会話があったのか握手を交わしていました。
今回は、久石奏と黒江真由の和解についてご紹介したいと思います。
久石奏と黒江真由の関係と和解の真相
引用元:武田綾乃 / 京都アニメーション『京都アニメーション』
奏と真由の関係性は、主に奏が真由を警戒していることによる不和にあります。
奏が黒江真由という存在を警戒する理由は、オーディション前に転向してきたユーフォニアムの実力者で自身をAメンバーから追い出す奏者、且つ、敬愛する久美子とさほど変わらない実力からソリを競い合う要注意人物であること、加えてオーディションに執着がない性格にありました。
真由自身の奏者としての腕前は冷静に評価し受け止めている一方で、奏は久美子と真由を原因とした部内の対立関係において当初から予見し真由を恐ろしい人物として警戒し続けているほか、彼女がいなければ久美子と最後のコンクールの舞台で吹けたという思いもあったと思われます。
真由がオーディションでソロを辞退する発言に至った際には、一年時の自分自身と重ね同族嫌悪の節があり、久美子の居場所を乗っ取りかねない真由の存在に恐怖していたのも彼女を警戒する要因でした。
しかし、最終的には奏が折れて真由と和解に至ったようです。
最終回の握手とは
全国大会本番前、奏は佳穂と共にユーフォニアムパートの四人で撮影した写真をトランプサイズにしたものを御守り代わりにと久美子と真由に渡していますが、その時に奏と真由の会話は特にありません。
なお、本番前に渡した写真の裏に書かれたメッセージに、奏が何と綴ったのかは不明。久美子には『隣に私がいなくて大丈夫です?』と共にタヌキ・猫・クラゲ・アルパカのイラストが描かれている模様。
その後、金賞を経て帰りのバスを待つ傍ら、それぞれが金賞の喜びを分かち合う中で、奏が無言のまま真由と握手を交わしている場面が目撃されます。アニメ版ではこのシーンがない代わりに、奏と真由が楽し気に語らっている姿(ED中のイラスト)が描かれています。
原作やアニメでも、奏と真由は金賞獲得後に和解しているようですが、主に奏にどういう心境の変化があったのでしょうか。
奏と真由の和解の真相
奏と真由の和解が描かれたのは2024年に発売された「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のみんなの話」の『~幕間・グラーヴェ~』。この章では、北宇治高校吹奏楽部が全国大会で金賞を受賞した直後の二人の様子が描かれました。
京都へ戻るバスを待つまでの間、広場で自由行動となった真由は奏の下へ。奏は金賞受賞の祝福をおくると、真由は「奏ちゃんの応援のおかげだよ」と、この大会で全てを出し切ったことを表すように清々しい表情を浮かべていました。
オーディション結果発表直後の回想
実は最後のオーディション結果発表直後、奏が自主練習をしている場所に真由が訪れたことがあり、その時に奏は『オーディションはどの程度本気だったのか』と問いかけています。すると、真由は回答をはぐらかすように『ただ、久美子ちゃんがソリストっていう結論がすべてじゃないかな』と曖昧に微笑。
しかし、奏は真由の転入のせいでAメンバーからあぶれたことをいつもの小悪魔軽口で口に出すと、最初から真由の実力であれば至極当然の結果と分析しつつ、オーディションでの真由に闘志があったのかどうかがずっと気掛かりであったと正面から切り崩しにかかります。
奏の問いかけに真由はオーディション前の久美子の演説を引っ張りますと、久美子の本音に感動しより好意的に思ったと告白。オーディション以前、真由は久美子に『真由の望み通りにして』と言われますが、『久美子を応援したい自分の本音は無視されるのか』という本心をぶつけたことがあります。久美子の演説は、そうした真由の姿勢を変えるために吐き出された言葉でした。
しかし、久美子の発破は真由を焚きつけるには及ばず、真由は単純に久美子の笑顔が見たいと別のベクトルに熱量を帯びることになります。そのため、久美子が麗奈と一緒にソリを吹きたいという熱量が真由にはなく、オーディションではその熱量の差を滝に見抜かれたのではないかと真由は分析しています。真由にとって、久美子がソリを吹いて北宇治が全国で結果を出すことが最良という考えは変わりませんでした。
一方で、真由は今回のオーディションの結果に心から満足しており、自分ではなく久美子がソリを吹くことになって本気で良かったと感じています。
こうした心境を吐露した真由に対し、奏は真由の評価を一新。真由を己の決めた道を貫き通す──いわば徹底した『頑固』な性格であると見直し、これまで彼女の真意を探ろうとした行為が無意味だった(真由は初めから真意を曝け出している)ことを悟り、全国大会へ向けて「黒江先輩。絶対に、全国で金をとってくださいね」とエールを贈りました。
奏の「真由先輩」呼び
京都へ戻るバスを待つ間の自由行動中、真由は奏に話しかけます。
約束通り全国で金賞をとる最高の結果を前に、奏は「黒江先輩には完敗ですね」と吐き捨てます。唐突な奏の言葉に真由は不思議に思いますが、奏は真由への評価を『執着のない人』から『みんなの幸せを望む強欲な人』と再評価したことを伝えます。
奏は、真由という人間は自分を犠牲にする善人と思われて立場を難しくしても『みんなの幸せを望む』という自分の欲望に忠実な強欲でわがままで自分勝手な性格だと分析。その言葉に真由は結局彼女が自分のことを好きになってくれなかったということなのか、と少し遠慮がちに質問しますが、奏は即否定。
奏は続けて、真由は他の選択をしたほうが間違いなく楽に日々を過ごせるのに、それでも『みんなの幸せを望む』という欲望を貫き通し、コンクールでも結果を出したとして、真由の生き方を認めなければならないと告げます。
つまり、奏は自分の想いが真由に伝わっていなくても結果でねじ伏せられた以上は真由という人間の在り方を否定するわけにはいかないという結論に至ったらしく、これまでの非礼を謝罪。真由は謝罪は必要ないと言いますが、これは奏なりに真由と新しい関係を構築していくうえで必要なケジメと儀式と言います。
奏の意外な言葉の真意に気付いた真由は信じられない気持ちで奏を見据えると、奏は手を差し出します。差し出された手を見た真由は破顔から笑顔になって握手すると、奏は「真由先輩とお呼びしても?」と述べ、真由は嬉しそうに了承しました。
こうして奏の中にも真由の存在は入り込み、この歴史的和解の瞬間の握手を久美子たちが目撃するに至ったようです。
ちなみに3年生の部活引退後、奏がいつの間にか「真由」呼びになっていることに気付いた久美子がそのことに突っ込むと、奏は「前からですよ。久美子先輩が気づいていなかっただけで」といたずらっ子のように揶揄っており、久美子は「そうだったかなぁ?」と流されています。
まとめ
以上「久石奏と黒江真由の和解の真相」の紹介でした。
最終回で奏と真由が和解していますが、どんなやり取りがあって和解に至ったのか長らく謎に包まれていたのが短編集「北宇治高校吹奏楽部のみんなの話」で明らかにされました。
結局は自分を貫き通し結果で示した真由に押し負けた形で、奏が真由の在り方を認めたことによる雪解けであり、真由が久美子とは違う角度で頑固な性格だったと判明した、少し面白い回でした。
本作では、吹奏楽部の卒業旅行で沖縄に行くエピソードもあり、打ち解けた奏と真由のやり取りも描かれているのでおすすめです。
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響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のみんなの話 武田綾乃(著) |
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響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ 武田綾乃(著) |
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