【響け!ユーフォニアム】原作小説とアニメの違いは?原作部分のカットやアニメの演出の違いなどを紹介

響けユーフォニアムのタイトル 響け!ユーフォニアム

『響け!ユーフォニアム』の原作小説とアニメーションの違いは多々あります。

活字と動画の表現法が異なるため致し方ない部分ではありますが、小説では心理描写をより丁寧に掘り進めることができますし、アニメーションでは挙動・効果・声をあてることで活字よりも大きく世界観を広げられることがメリットです。

しかし、もちろん小説でもそうですが、アニメとなると話数や本編の時間が厳格に決められているため、原作がある場合はどうしてもどこかを添削する必要があり、場合によって設定を変更することもあります。

『響け!ユーフォニアム』は、人物像や舞台など原作を基に再現されていますが、ところどころ設定が変更されることがありました。

今回は『響け!ユーフォニアム』の原作小説とアニメーションの相違点を一部ご紹介したいと思います。

※原作とアニメの違いは細かく比較するとかなり量が嵩張るため、重要シーンの一部のみを抜粋していますのでご容赦ください。

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目次
  1. 『響け!ユーフォニアム』の原作とアニメの設定変更部分
    1. 登場人物の方言の統一
    2. チームもなかとB部門の有無
    3. スキンシップの距離感
    4. キャラ同士の呼び方の違い
  2. 『響け!ユーフォニアム・北宇治高校吹奏楽部へようこそ / 1年生編』の原作とアニメの違い
    1. 2年生と3年生の問題
    2. 大吉山のシーン
    3. 麗奈と香織の公開オーディション
    4. 久美子とみぞれと滝の練習シーン
    5. 久美子と希美の会話シーン
    6. あすかとみぞれの会話シーン
    7. あすかと久美子の会話シーン
    8. 滝昇の奥さんについてのシーン
    9. 久美子と麗奈が滝の奥さんの墓参りに行くシーン
    10. 久美子がイタリアンホワイトを知るシーン
    11. 駅ビルコンサートで梓と再会するシーン
    12. 田中あすかの問題
    13. 全国大会後の進藤正和の伝言
    14. 麻美子との別れのシーン
    15. 久美子と秀一の恋愛事情
  3. 『響け!ユーフォニアム 波乱の第二楽章 / 誓いのフィナーレ・リズと青い鳥』の原作とアニメの違い
    1. 2年生編は原作とアニメで異なる部分が多い
    2. 久美子と奏の出会い
    3. 久石奏の問題
    4. 加部友恵と小日向夢の問題
    5. 笠木希美と鎧塚みぞれの問題
    6. 剣崎梨々花の相談
    7. 希美とみぞれの『大好きのハグ』の伏線
    8. 田中あすか、中世古香織、小笠原晴香の再登場
    9. 関西大会後のエピソード
    10. 鎧塚みぞれの進路
    11. 久美子と秀一の破局
    12. 久美子の指導役の才能
  4. 『響け!ユーフォニアム・決意の最終楽章 / 3』の原作とアニメの違い
    1. 月永求の姉と文化祭
    2. 田中あすかの助言
    3. 久美子と麗奈の大好きのハグ
    4. 黄前久美子の演説
    5. 久美子と真由の全国大会オーディション
    6. 久美子の家族
  5. 原作の内容すべてがアニメ化されているわけではない
    1. 武田綾乃先生と制作サイドのコメント
  6. まとめ
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『響け!ユーフォニアム』の原作とアニメの設定変更部分

響けユーフォニアム原作とアニメの表紙

引用元:武田綾乃『響け!ユーフォニアム』 出版:宝島社 制作 京都アニメーション

まず、大きな設定変更は以下になります。

  1. 登場人物の方言の統一
  2. チームもなかとB編成の有無
  3. スキンシップの距離感
  4. キャラ同士の呼び方の違い

登場人物の方言の統一

そもそも『響け!ユーフォニアム』は、京都府の宇治市を舞台に描かれる青春群像劇。そのため、例外はありますが登場人物は基本的に全員京都弁を喋っています。

ただし、黄前一家に関しては、久美子が小学生の頃に京都に転校してきたため現在まで東京弁のままですし、滝昇も普段から敬語口調なので京都弁を使いません。そして、例外なのが鎧塚みぞれであり、彼女は必要最低限の情報しか口に出さないため京都弁を使わない異例の存在です(一応埼玉の従姉妹の影響という設定あり)。

そのため、原作では高坂麗奈や田中あすかといったほとんどの登場人物は基本的に京都弁を使用しているので、逆にアニメから原作を読んだ方は違和感があるかもしれませんね。

ちなみに久石奏は普段は敬語なので方言がありませんが友人の剣崎梨々花と話すときは京都弁であり、転校生の黒江真由は各地を転々としているので東京弁です。

チームもなかとB部門の有無

アニメ版ではコンクールメンバーに選ばれなかった生徒は『チームもなか』としてコンクールメンバーのサポートを行っています。

しかし、『チームもなか』は原作には存在しないのです。

そもそも久美子たちが目指している全国大会は全日本吹奏楽コンクールのA部門(高校の部)の話です。コンクールにはA部門・B部・C部門と枠が定められているわけですが、A部門の定員が最大55名と定められているため、部内オーディションでメンバーを決めています。

そして、オーディションで漏れたメンバーが本来ならB部門として全日本吹奏楽コンクールに出場できるのです。また、B部門では課題曲がなく自由曲のみ、演奏時間が短く設定されている、大会が支部大会までしか行われないという規定があります。

原作ではオーディションでコンクールメンバーに選ばれなかった部員はB部門(B編成)で出場している描写があり、時には支部大会で金賞を獲得していますが、アニメ版の一年・二年編ではチームもなかがコンクールメンバーの準備を手伝う姿は描かれているものの、B部門の大会についての言及はありませんでした。

なお、3年生編第7話では『もなかが金賞』とさりげなく報告されているため、初めてB部門の存在が触れられています。

アニメでは尺の都合上カットされていただけで、チームもなかも1年生編からB部門に出場していたのでしょうか。

スキンシップの距離感

アニメ版から入っている方は違和感がないかもしれませんが、原作未読派の方からすればアニメ版の『響け!ユーフォニアム』の久美子と麗奈の距離感は結構違います。

もちろん、二人が互いを特別視して友達以上に踏み込んだ間柄なのは一緒ですが、例えば初めて二人が大吉山で愛の告白をする場面では、アニメは麗奈が久美子の鼻筋から唇を指先でなぞるシーンがあります。しかし、原作ではそのようなシーンはありません。

また、アニメでは頬に手をあててむにゅっとやったりなどのスキンシップが過剰に描かれていますが、原作ではあまりに百合表現に近い描写はありません

これは原作読者と京都アニメーション視聴者層を考慮した演出だと思われます。

キャラ同士の呼び方の違い

『響け!ユーフォニアム』では、キャラクター同士の名前の呼び方が統一されていますが、こちらも原作とアニメでは多少異なります。

例えば、久美子が友達の名前を呼ぶ際は、

  • 原作:「葉月」「緑」
  • アニメ:「葉月ちゃん」「緑ちゃん」

と違っています。

また、アニメでは田中あすかなどが黄前久美子を呼ぶ際に「黄前ちゃん」と呼んでいますが、原作では「久美子ちゃん」または「久美子」と呼んでいます。

ちなみに原作のあすかは1年生の頃からプライベートでは滝先生のことを「滝サン」と呼んでいるため、3年生編で再登場した際に「滝サン」と呼んでいました。

『響け!ユーフォニアム・北宇治高校吹奏楽部へようこそ / 1年生編』の原作とアニメの違い

響けユーフォニアム1原作とアニメの表紙

引用元:武田綾乃『響け!ユーフォニアム』 出版:宝島社 制作 京都アニメーション

2年生と3年生の問題

1年生編の核となる問題が大量退部した現在の2年生と練習をしない3年生の問題ですが、久美子たちがその問題について話し合うタイミングなども原作とアニメで違います。

原作では冒頭、北宇治吹奏楽部に入部したての久美子と秀一が帰り道に遭遇した際に2年生と3年生の問題について話題にしており、秀一は3年生が練習しないことや、そのくせ下級生にいばりちらかしている態度に激怒している様子。また、低音パートは田中あすかが治めているため平和な低音王国と揶揄しています。

アニメ版では、部活の帰り道に久美子、葉月、緑輝の三人を交えて秀一が2年生と3年生の問題について教えており、そこまで怒ってはいません。これは秀一の性格が原作と比べてアニメ版は大人として描かれている違いでもありますが、低音王国などの台詞についてはカットされています。

大吉山のシーン

1年生編のあがた祭り当日、久美子と麗奈は二人で大吉山に登っていますが、この時の会話内容も原作とアニメでは少し違います。

麗奈が他人と違うことをしたい、特別になるために吹奏楽をやっていることを久美子に告白したシーンはどちらも一緒ですが、原作ではこのタイミングで久美子が吹奏楽をやっている理由を麗奈が訊ねており、久美子は姉の存在と姉に憧れて吹奏楽を始めたことを話しています。

そして、姉に憧れた結果割り振られたのがユーフォニアムであり、原初となる姉は受験で吹奏楽を辞めたことまで話しました。

一方でアニメでは久美子が吹奏楽を始めた理由を話すシーンはカットされています。アニメではより久美子と麗奈の関係がぐっと縮まっていく演出に力をいれました。

麗奈と香織の公開オーディション

1年生編の山場の一つ、トランペットパートのソロを麗奈と香織のどちらが吹くのかという問題で部内は大騒ぎ。

その解決方法として二人の公開オーディションが実施され、結果、高坂麗奈がソロを勝ち取りましたが、こちらも原作とアニメで演出が異なります。

原作ではコンクール前日に香織が直々に滝にソロ部分の再オーディションを申し出ており、その場で二人のオーディションが執り行われます。そして、二人が吹き終わった後に滝が「中世古さん、あなたがソロを吹きますか?」と訊ねると、香織は「吹かないです…吹けないです」と自分の実力不足を納得し麗奈にソロを託しました。

また、香織からソロを託された麗奈はこの場で非礼を詫びており、トランペットパート内での軋轢は解消されました。

一方でアニメ版ではオーディション結果に不満を持つ部員を見兼ねた滝が再オーディションの希望を募ったことで香織が挙手。満場一致でトランペットパートのソロを決めるべく麗奈と香織の再オーディションが決定しました。

また、再オーディションまでの間に優子が麗奈に辞退をしてほしい頭を下げるほか、再オーディション当日は二人の演奏を聴いて良いと思った方に拍手を送るという形式をとっており、香織と麗奈の実力差が赤裸々になりました。

久美子とみぞれと滝の練習シーン

原作では関西大会に向けたお盆前、合奏練習が終わったのが19時であり、久美子とみぞれは21時を回っても自主練習を続けていました。

この時、久美子はみぞれが京都弁を使わない理由が埼玉の従姉妹の影響であると知ります。そして、様子を見に来た滝は二人に自販機で購入したお茶を差し入れしており、せっかくだからと久美子とみぞれは滝の指導を受けることになりました。

また、この時久美子はずっと滝がこんな時間まで残って大変ではないかと質問しており、滝は「私には妻も子供いませんからね。仕事ぐらいしかやることがないんですよ」と重要なことを述べています。

残念ながらアニメではこのシーンはカットされました。

ちなみに夏合宿二日目の夜に久美子は橋本から滝は既婚者であり奥さんを亡くしていることを聞くわけですが、原作では滝の「私には妻も子供いませんからね。仕事ぐらいしかやることがないんですよ」という言葉の本意をここで理解しますが、アニメでは滝との会話はカットされていますのでただの驚きになっています。

久美子と希美の会話シーン

1年生編のお盆休み、久美子は友達とプールを訪れていますが、そこで笠木希美と遭遇し対話することになります。そして、下級生が上級生を差し置いてコンクールメンバーに選ばれたことに苦言を強いられる久美子は北宇治が全国金賞を目指す以上仕方のないことだと述べると、希美は北宇治が変わったことを痛感しました。

原作ではその後、久美子は昨年のコンクールメンバー選出形式を訊ねており、希美は昨年のコンクールメンバーの決め方や当時の顧問のことなどをすべて話しています。また、北宇治に入部した理由から現実の落差、顧問の思想によって上級生が調子に乗っている当時の不満、香織や晴香などの頑張っている部員がコンクールメンバーに選ばれないなどの理由から退部したなどの詳細も語りました。

アニメでは上記の内容は多少割愛されており、本題のあすかにこだわる理由にクローズアップされています。

 

あすかとみぞれの会話シーン

1年生編の夏合宿二日目、合奏練習終了後、原作では久美子は練習終了後も一人でホールに残り少しだけ練習をしていましたが、不意にあすかとみぞれの会話を聞いてしまいます。

二人の会話内容は笠木希美の復帰の件であり、あすかはみぞれが希美に拒否反応を出していることを知っています。そのため、あすかは希美の復帰に反対していたわけですが、みぞれは自分のせいであすかが悪者になっている現状に萎縮し謝罪していました。

しかし、あすかは本番に支障が出る方が迷惑と返し、みぞれがまだ希美への苦手意識を克服できない段階での希美の復帰は認めない方針。そして、今の現状に関しても希美とみぞれのどちらも悪くないと諭していました。

そして、久美子はその後にあすかと二人きりになって希美の復帰を断る理由を聞く──という流れになりますが、アニメではあすかとみぞれの会話はカットされています。

あすかと久美子の会話シーン

1年生編の夏合宿三日目の早朝、久美子はあすかが『響け!ユーフォニアム』を吹いている姿を目撃してしまいます。

原作では、久美子はあすかに話しかけて題名を訊ねると「内緒」と返されますが、題名を教えてくれないかわりにもう一度吹いて聞かせて欲しいと頼み、あすかは久美子に『響け!ユーフォニアム』を聞かせました。

アニメでは夏合宿三日目の早朝にあすかが『響け!ユーフォニアム』を吹いているところを目撃するシーンはありますが、後の展開はカットされています。

滝昇の奥さんについてのシーン

1年生編の関西大会後、台風が上陸したタイミングで麻美子が帰宅し大学を辞めたいと両親に切り出したことで、久美子は麻美子と喧嘩し暴風雨の中を飛び出します。そして、花屋でたまたま滝昇と遭遇してイタリアンホワイトの花と奥さんのことを聞いてしまうわけですが、ここも原作とアニメで異なります。

原作では、久美子が花屋で滝と遭遇しイタリアンホワイトを目撃したり、滝が指輪をしていることを確認するのは一緒ですが、その場で別れています。そして、久美子が滝の奥さんについて迫るのは田中あすかの家に行く直前のエピソードであり、久美子は職員室に音楽室の鍵を返却しに足を運んだ際に「なんでここまで尽くせるんだろう」と滝に向けて吹奏楽に尽くしている疑問が口から零れてしまい、滝について深堀りされることになります。

その際に机に立てかけられていた音大同期の写真についても触れており、滝は音大時代のこと、自分の父親のこと、奥さんのこと、イタリアンホワイトのことを久美子に語りました。

一方でアニメでは、台風の日に花屋で遭遇した際に滝は久美子を車で自宅まで送迎しており、車中で一部を語りました。また、奥さんのことについては後日、久美子と麗奈が一緒に職員室に訪れた際に麗奈から訊ねられたことで話しており、滝は奥さんのことを話しています。

 

久美子と麗奈が滝の奥さんの墓参りに行くシーン

アニメでは、麗奈が滝の奥さんのことを知った後日、日を改めて久美子と一緒に奥さんの墓参りに足を運んでおり、全国大会で金賞を取りたい・滝の夢を叶えてあげたいと誓っています。

実はこのシーンはアニメオリジナルであるため原作ではありません。

なお、全国大会で金賞を取りたい・滝の夢を叶えてあげたいという麗奈の意志は原作通りです。

久美子がイタリアンホワイトを知るシーン

1年生編の終盤、久美子は滝が花屋で購入した花束を記憶しており、登下校中にたまたま同じ花を発見しています。そして、緑輝がその花の名前がイタリアンホワイトであること、そしてイタリアンホワイトの花言葉を久美子に教えていますが、原作とアニメでは構図が異なります。

原作では、久美子は葉月と緑輝とともに下校している最中にイタリアンホワイトを発見しており、緑輝から詳細を聞いています。

一方でアニメでは久美子は登校中にみぞれと麗奈、そして緑輝と遭遇した後でイタリアンホワイトを発見し緑輝に詳細を聞かされました。

また、アニメではイタリアンホワイトの詳細を知った久美子が「滝先生でよかった」と口にしていますが、原作ではそういった台詞はありません。

駅ビルコンサートで梓と再会するシーン

1年生編の駅ビルコンサートでは、当日の会場で久美子は梓と再会しています。

この時、原作では久美子は葉月と緑輝を紹介しており、梓を含めた四人で会話をしています。また、葉月は強豪校の梓を前にして自分だけ初心者という状況に肩身が狭いと萎縮してしまいますが、久美子と葉月は「もっと自信を持つ」ようにと葉月を励まし、葉月との仲を深めました。

一方でアニメでは駅ビルコンサート当日、久美子と梓の会話シーンは描かれますが多少割愛。また、梓が葉月と緑輝を紹介されるシーンはカットされました。

田中あすかの問題

1年生編の最大の難関であったあすかの退部疑惑騒動では、全国大会直前ということもあり、あすかがコンクールに出場しないという疑惑が浮上し、部内ではあすかの退部疑惑が囁かれるなど多くの部員が心配を募らせていました。

原作では、あすかの家庭問題が露になったのを契機に部活を休むことが増えるものの、本番終了後に早退しますが駅ビルコンサートには始めから参加しています。また、体育館裏での久美子の直談判直後に模試結果が出ると、その噂が部内に回っており、あすかが部に戻ってくるという吉報が低音パートにも舞い込んでくるため久美子も事前にあすかの復帰を知ります

その後、合奏練習にあすかが遅れて顔を見せたことであすかの完全復帰となりました。

一方でアニメでは、あすかの家庭問題は部内で噂になっているのは一緒ですが、練習にも来ない日が増えたり、駅ビルコンサートも欠席を疑われたものの当日に参加するなどより不穏なものになっています。

また、模試結果については久美子は知らないままであり、合奏練習前にあすかが復帰するのもサプライズになっています。

 

全国大会後の進藤正和の伝言

1年生編の全国大会直後、滝は審査員を務めた進藤正和から北宇治のユーフォニアムの部員へ伝言を託されており、久美子とあすかに伝言を伝えています。

原作では、進藤正和が北宇治を審査した際の紙面を滝が二人に見せており、紙には『C』と記載されていました。

また、伝言を伝えた後、あすかはユーフォニアムが褒められたと歓喜し屈託のない笑顔を見せて久美子の頭を撫でるほか、帰りのバス内で久美子の隣に座り「久美子ちゃん、ユーフォ好き?」と問いかけて久美子が「はい、好きです」と即答すれば「ふふ、うちも」と幼い子供のように笑いました。

アニメではこれらのシーンはカットされています。

麻美子との別れのシーン

1年生編の全国大会前、麻美子は両親の反対を押し切り大学を辞めて美容師の専門学校に入る道を選択し、独り立ちすることになりました。

原作では、全国大会前には両親と話し合う場で少しは落ち着いており、一応問題は解決となっています。

一方でアニメでは、久美子は麻美子が家を出て行くことを寂しく思い電車内で涙したり、全国大会を見に来ていた麻美子と対峙し姉妹愛を確かめる、そして手紙のやり取りをするなどの追加シーンが描かれました。

久美子と秀一の恋愛事情

1年生編の最中では久美子と秀一の関係の変化が随所に描かれていますが、アニメでは恋愛面に関しての微妙な描写はほぼカットされています。

原作では、随所で久美子が秀一に抱く感情に変化を見せており、進路のことを話している最中に秀一が「卒業したらお前とこうやって会う機会も減るんかもな」とこぼすと、久美子は「だって私たちただの友達だもんね」と発言することも。

この時久美子は秀一の動揺を見てどういった言葉を切り返すのか待ち望んでいましたが、秀一が「そうやな、俺たち友達やもんな」と本心を隠すようにへらりと笑ったことで何も答えませんでした。

全国大会前日の宿で秀一が久美子にイタリアンホワイトのヘアピンをプレゼントするシーンでは、久美子が「これ滝先生が奥さんにプロポーズしたときに渡した花なんだって」とぽろっと喋ったことで、秀一は狼狽しています。また、久美子と秀一の逢瀬をあすかが目撃し揶揄っています。

アニメでは原作のような細かな感情の変化や、イタリアンホワイトのヘアピンをプレゼントされたときに久美子が滝先生のプロポーズの話を入れるシーンがカットされており、『誓いのフィナーレ』冒頭で突然秀一が久美子に告白する流れになっています。

ちなみに秀一が久美子に告白するシーンは本編では描かれておらず、短編集『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話』に収録されています。

響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話

作者:武田綾乃 出版社:宝島社

 
 
 

『響け!ユーフォニアム 波乱の第二楽章 / 誓いのフィナーレ・リズと青い鳥』の原作とアニメの違い

響けユーフォニアム2原作とアニメの表紙

引用元:武田綾乃『響け!ユーフォニアム』 出版:宝島社 制作 京都アニメーション

2年生編は原作とアニメで異なる部分が多い

2年生編の原作とアニメで最も異なるのは、やはりアニメは劇場版二部構成になったことです。

原作では2年生の内容は前後編と分けて2冊という1年生編の3冊より少しボリュームは少なくなっていますが、アニメはこの2冊の内容を『響け!ユーフォニアム・誓いのフィナーレ』と『リズと青い鳥』の二つに分けました。

『誓いのフィナーレ』は従来の響けシリーズの続編として久美子の2年生編を描いたストーリーであるものの、『リズと青い鳥』は笠木希美と鎧塚みぞれを主役においた響けシリーズのスピンオフ作品となっています。

そのため、本来原作では久美子や麗奈が希美とみぞれの問題にもがっつり関わっていくわけですが、希美とみぞれの問題はすべて『リズと青い鳥』で収めている、かつ、『リズと青い鳥』においては久美子も麗奈もモブ同然であるためほとんど関りがないどころか重要な部分も削られています

それは『誓いのフィナーレ』も同様であり、こちらでは逆に希美とみぞれの問題がばっさりとカットされているため、2年生編において重要な久美子とみぞれの関係性がなくなっています。

久美子と奏の出会い

久美子と奏が出会ったタイミングも原作とアニメでは異なります。

原作では体験入部中に楽器の割り振りを決める際に初めて久美子と奏は出会いますが、アニメでは物語冒頭で久美子が楽器室にいたところ奏が現れます。

実は原作で久美子が楽器室で出会うのは小日向夢(トランペットの1年生)なのですが、アニメ版ではなぜか奏に変更されています。

久石奏の問題

2年生編前半の山場となる奏の問題ですが、地区大会オーディションの最中に奏が手を抜いたことを発端に夏紀が奏に詰め寄り、奏の本心が暴かれるこの場面、久美子が介入することで奏のトラウマを解消することができました。

原作では、いつものゴミ捨て場のところ(体育館裏)で夏紀が奏に詰め寄り、後から追いかけて来た久美子が仲をとりもち、奏に「ここは奏の中学ではなく北宇治である」「奏は頑張っている」と伝えることで雪解けしました。また、その場に夏紀もずっと居続けているため、最後は夏紀が奏とスキンシップを取ったことで、奏はいつものように「夏紀先輩のどこがいい人なんですかね」といつもの軽口を叩いて仲直りするどころか、二人の距離が縮まる描写となっています。

しかし、アニメ『誓いのフィナーレ』では、途中で奏が逃げ出しており、久美子が夏紀を制して雨の中を追いかけるというシーンに変更。そして、奏は久美子のにみ中学時代のトラウマを語りました。

また、奏の悩みに対して久美子は1年時に田中あすかと対峙した際に言われた「気になって近づくくせに傷つくのも傷つけるのも怖いからなあなあにして安全な場所から見守る。そんな人間に相手が本音を見せてくれると思う?」という言葉を思い出しており、久美子はユーフォニアムをうまくなりたいという正直な気持ちを打ち明けますが、ここもアニメオリジナルシーンとなります。

 

加部友恵と小日向夢の問題

アニメが劇場版二部作になった影響で最も活躍の場が削られたのが加部と夢です。

『誓いのフィナーレ』でも加部が顎関節症で奏者からマネージャーに転身する場面が描かれていますが、夢との描写が削られているため、夢の凄さがいまいち伝わり辛い印象です。

というのも、夢の実力はトランペットパートにおいて麗奈が着目するほどレベルが高いのですが、夢は極度のあがり症であるため誰かに見られているとうまく演奏できませんでした。夢のコンプレックスを克服するために加部はアドバイスをしたり、時には練習に立ち会い、夢が最も信頼する先輩となりました

また、植物園のコンサートに向けてトランペットのソロを夢が担当することになりますが、その時にも加部は夢に自信をつけるために演説を行い、夢の本心を引き出し、見事に問題を解決しました。

加部と夢の問題には当然久美子も巻き込まれていますが、アニメでは劇場版の尺の都合上、そして冒頭の久美子と夢の出会いが久美子と奏の出会いに変更されているため、夢については深掘りできないようになっています。

夢は3年生編でも出番がある分、大幅なカットは少し残念な変更点となりました。

笠木希美と鎧塚みぞれの問題

2年生編の原作とアニメで大きく異なるのが希美とみぞれの問題に久美子が関わるか関わらないかです。

ご存知の通り、響けシリーズは巻き込まれ体質の久美子がさまざまな問題に関わって振り回されるのがテンプレートですが、2年生編の主軸である希美とみぞれに関してアニメ版は『誓いのフィナーレ』と『リズと青い鳥』に分けて制作したため、久美子が二人の問題に関与していません

もちろん、登場人物としては『リズと青い鳥』にも久美子は登場しますが、ほとんどモブ状態。

原作では、希美とみぞれの微妙な心境の変化から問題を読み取り、昨年のように希美とみぞれそれぞれから二人きりになって対話することで問題点を見つけていきました。そして、みぞれが希美に依存する矛盾点の追求、希美がみぞれに嫉妬している事実の発覚など、すべて久美子が関わっており、希美が葛藤を吐き出し「青い鳥はみぞれで、リズは自分だった」と気づく場面や、みぞれが新山聡美に「青い鳥の気持ちになって吹いてはどうか」とアドバイスする場面に久美子は立ち会っています。

しかし、アニメは希美とみぞれの問題は『リズと青い鳥』に振り分けられてしまったため、久美子や麗奈の存在はほとんどカットされています。

剣崎梨々花の相談

2年生編では、新入部員の剣崎梨々花は同じオーボエパートのみぞれと仲良くなろうと画策していますが、こちらも原作とアニメで相談相手が異なります。

原作では、梨々花は奏の紹介で黄前相談所を活用し久美子にみぞれと仲良くなりたいと相談しており、久美子は自分の経験則を話して問題を解決したため、梨々花も久美子を支持する一人になりました。

一方でアニメ『リズと青い鳥』では、久美子はモブ同然であるため出番はありません。そのかわり、梨々花はみぞれと仲の良い希美に相談を持ち掛けており、希美が梨々花の不安を解消しました。

また、梨々花の登場シーンは『誓いのフィナーレ』ではがっつり削られてしまったため、何気ないみぞれと梨々花のやり取りなどを見たい方は原作を読むことをお勧めいたします。

希美とみぞれの『大好きのハグ』の伏線

『大好きのハグ』とは、大好きな友達とハグをしながら互いの好きなところを言い合う遊びであり、南中で流行っていました。

2年生編ではこの『大好きのハグ』が意外と重要であり、希美とみぞれの葛藤の決着は『大好きのハグ』をすることで着地し関係修復ができました。

原作では希美とみぞれの『大好きのハグ』の瞬間を久美子と麗奈が見ており、麗奈がハグを誘いますが久美子は「やらないよ、必要ないでしょ」と断り麗奈も「そうやな」と納得しています。

しかし、3年生編で久美子と麗奈はかつてない衝突を引き起こし対立することになるのですが、昨年の希美とみぞれの『大好きのハグ』を思い出した久美子がちゃんと言葉にして麗奈に伝えようと決起し『大好きのハグ』を行いました

2年生編で突然出てきた『大好きのハグ』は当時の久美子と麗奈の関係では必要のない行為でしたが、3年生編では二人の関係を修復する重要な要素でもありました。

しかしながら、アニメでは希美とみぞれの『大好きのハグ』は『リズと青い鳥』で描かれているため、久美子と麗奈はその場に立ち会っていません。

そのため、アニメの3年生編では久美子と麗奈は『大好きのハグ』こそするものの、2年生編の希美とみぞれのことには触れておらず、当時はする必要がなかったなどの会話もありません。

田中あすか、中世古香織、小笠原晴香の再登場

昨年の三年生で部長・副部長を務めた晴香とあすか、そして吹奏楽部のマドンナの香織の3人。彼女たちは在学中から仲良しでしたが、今年は北宇治の演奏を会場まで見に来てくれました。

アニメ『誓いのフィナーレ』では、あすかと香織と晴香は関西大会で再登場していますが、実は原作で関西大会の会場に足を運んだのはあすかと香織の二人だけであり、晴香が登場したのは一つ前の京都府大会です。

微妙な変更ですがアニメ版では再び3人での掛け合いが見れました。

関西大会後のエピソード

2年生編は関西大会で終了していますが、原作ではそのまま3年生の引退やアンサンブルコンテストへ・植物園コンサートなどに向けた準備、そして黄前久美子が部長になる話などが綴られています。

美玲が卓也と梨子に「最高の先輩でした」と告げていたり、緑輝が求の技術向上を褒めていたり、奏が夏紀に甘えていたり、久美子が秀一に今年は何が足りなかったのかと悔しさを語る場面が書かれています。

しかし、アニメ『誓いのフィナーレ』は関西大会でダメ金を取りバスで帰るところで終了しているため、関西大会後のエピソードはまるまるカットされており、エンディング後に久美子が新部長になったところで終了しました。

また、バス内で奏の泣いている姿や悔しいという台詞なども原作にないアニメオリジナルとなります。

鎧塚みぞれの進路

関西大会後、みぞれは希美がいなくても音大を受験する道を選択し、新山聡美から個人指導を受けたり指導者を紹介してもらったりしています。

原作では、紆余曲折あったみぞれは音楽は希美がくれたものだとして、希美がいなくてもオーボエを続けて音楽を頑張ると久美子に自らの意志を伝えており、久美子はみぞれの選択を応援すると伝えました。

久美子とみぞれの関係性を示す重要なシーンですが、当然アニメ『リズと青い鳥』では久美子はほとんど希美とみぞれの問題に関わっていないのではカットです。

 

久美子と秀一の破局

久美子と秀一は2年生編で破局を迎えてしまいますが、こちらも原作とアニメでタイミングが違います。

原作では関西大会終了後、久美子が優子と夏紀に呼び出されて北宇治吹奏楽部の新部長に任命されたのを契機に部長の仕事に専念したいという意思のもと秀一と別れることにしました。また、別れを切り出した場所はいつも夜に二人で会う場所であり、秀一は久美子の面倒くさいところを受け入れて破局を受け入れ、ともに来年こそ全国へ行こうと拳を合わせました。

一方でアニメ『誓いのフィナーレ』では、夏合宿中に久美子が秀一を呼び出し「いろんなことを同時にできない」という理由で秀一と距離を置くことを選択しており、秀一は「俺も同じことを考えていた」と切り出して久美子の意志を尊重し今年の全国大会金賞を目指して拳を合わせています。

原作では関西大会が終わった後、アニメでは関西大会直前であるため、久美子が秀一と距離を置く理由が変更されています。

なお、部活がすべて終わってそれでも秀一が久美子と付き合ってもいいと思ったらもう一度ヘアピンを渡して欲しいという台詞は両方とも一緒です。

 

久美子の指導役の才能

2年生編の関西大会前、低音パートの練習中に久美子は夏紀と奏の音を聞いて問題点を指摘し修正していますが、その時の説明が分かりやすく後藤が「黄前は指導役に向いてるな」と感心しています。

これは久美子が3年生編で音楽教師を目指す布石の一つでしたが、残念ながら『誓いのフィナーレ』では削られています。

『響け!ユーフォニアム・決意の最終楽章 / 3』の原作とアニメの違い

響けユーフォニアム3原作とアニメの表紙

引用元:武田綾乃『響け!ユーフォニアム』 出版:宝島社 制作 京都アニメーション

月永求の姉と文化祭

2年生編から登場するコントラバス担当の月永求。彼もまた2年生編から伏線を貼っていたキーパーソンの一人でしたが、3年生編で姉を亡くしていたことが発覚します。

原作ではそれとなく姉がこの世にいないことを求が示唆する台詞があったり、樋口が北宇治の文化祭に訪れて久美子に求のことを話したことをきっかけに久美子は求の家庭事情を知り、後日手洗い場で偶然一緒になった求にすべてを聞かされる──といった流れになっています。

しかし、アニメ版ではサンフェス時に久美子が樋口と知り合うほか、樋口が文化祭で話す内容をサンフェスで消化しています。また、原作では緑輝は同席していませんが、アニメ版では久美子と一緒に緑輝も同席して求の姉が死んでいることを知ってしまうのです。

また、月永家の墓参りは原作では『決意の最終楽章・後編』の冒頭(県大会後)に描かれましたが、アニメ版ではサンフェス前に描かれたため、かなり早い段階でこの月永求のエピソードは消化されています。

 

田中あすかの助言

3年生編では、久美子は部長という立場からオーディション問題で麗奈と関係悪化したことで、オーディション問題・滝昇の問題・麗奈との確執問題を抱えています。そして、いっぱいいっぱいになってしまった久美子は2年生編の関西大会で田中あすかに渡された絵葉書の住所を頼って彼女の住居を訪問しました。

アニメ版でもこの一連の流れは大体一緒ですが、あすかの台詞がだいぶ添削されています。

原作であすかが触れたのは『オーディション問題(久美子と真由の問題)』と『滝昇の問題』であり、オーディション問題に関しては真由の辞退を受け入れない久美子の我が儘、滝昇問題に関しては完璧な顧問はおらず滝もまた人間関係は未熟であると見解を示すことで、久美子は自分の我が儘を真由に押し付けていたこと、そして滝がまだ未熟だからこそついていくべきだと気付かされています。

一方でアニメ版ではあすかの見解は久美子の我が儘であるという指摘は一緒ですが、どちらの問題の根本的な要素についてはばっさりと削られているほか、滝昇に関しては『部内の雰囲気には気づいているが迷っているところを見せたら終わりと思っている』と原作では未熟と言われていた部分を修正されています。

久美子と麗奈の大好きのハグ

3年生編では、トランペットとユーフォニアムのソリの部分を久美子と真由どちらがユーフォニアムのソロの座を獲得するか焦点があてられていました。

部長である久美子と転校生の真由の実力は拮抗してたためどちらがソリを吹いてもおかしくない状況ですが、部内は久美子派と真由派で意見が対立しギスギスすることに。その結果今年に限って判断が揺らいでる顧問の滝への不信感が募ると、全面的に顧問を信用できないと意見する久美子に麗奈は「部長失格」という厳しい一言を発してしまいます。

久美子は田中あすかを頼ることで自分がすべきことを見つけると麗奈にも向き合うことができましたが、ここも原作とアニメでは大きくことなります。

まず、アニメ版は鎧塚みぞれのコンサートを見に行く予定を立てた帰りの駅構内で突然麗奈が「部長失格は言いすぎた」と切り出して謝罪すると、久美子は大好きのハグをすることで仲直りできました。

対して原作では、田中あすかの助言を受けた翌朝の京阪宇治駅の入口で久美子は両手を広げて麗奈を待っており、大好きのハグを迫っています。また、久美子が大好きのハグを用いたのには昨年笠木希美と鎧塚みぞれが大好きのハグで溝を埋めることができたのを目の当たりにしていたからであり、当時は久美子と麗奈は大好きのハグをする必要もないほど互いのことを分かり合っていると思ってハグしませんでしたが、今回は口に出して言わないといけないと感じたため久美子派大好きのハグを求めたのです。

また、大好きのハグをすることで互いの好きな部分・麗奈が自分の特別であること・滝昇は完璧ではないからついていくべき顧問であることを伝えています。

アニメ版で原作の要素が削られたのは、2年生編が『誓いのフィナーレ』と『リズと青い鳥』の二部構成となり、希美とみぞれに焦点を当てたリズと青い鳥において久美子と麗奈の存在が大きく削減されてしまった影響だと思われます。

黄前久美子の演説

3年生では、久美子がオーディション形式の変更とソリの問題で苦悩していますが、田中あすかにアドバイスを求めたことで自分のやるべきことを見出し、部員たちの前で素直な気持ちをぶつける演説をしています。

アニメ版では関西大会の演奏直前に登壇しオーディションについての謝罪と全国大会金賞へ向ける意気込みを演説をしている久美子ですが、原作ではこのシーンは全国大会のオーディション数日前の出来事であり、そもそもオーディションについての謝罪はしていません。

また、原作では全国金賞という目標に向けて、数年後にあの時こうしておけばよかったと思いたくない・100%の力を出し切りたい・ソロを吹けない悔しさはその子のもので誰かにそれを奪う権利はない・努力は自分が納得するためのものである──と部員(とくに辞退を望む真由)に向けて訴えかけています。

この演説は対等にオーディションでソリを決めたいという久美子の我が儘を真由にわかってもらうためでしたが(また、大会ごとのオーディションに不満をもつ部員たち、久美子派と真由派でギスギスする部員たちに向けてのもの)、アニメ版では今回のオーディションの不満はあるかもしれないが最高の演奏をして全国大会金賞を目指したいという演説に変更されています。

久美子と真由の全国大会オーディション

3年生編の重要点でもある久美子と真由のユーフォニアムのソロオーディション結果ですが、ここが原作とアニメでは大きく異なっています。

アニメ版では、全国大会のオーディションの結果、ユーフォニアムのソロにおいては全部員の投票という異例の形式に変更されました。また、久美子はどちらが吹いているかわからないように音だけで判断できる形式にしてほしいと滝に頼んでおり、当日はトランプを引いて順番を決めています。

しかし、久美子は自分の進路は音大ではないと思い始めた時から音に迷いが生じており、その迷いが音に出てしまうのです。

結果、部員投票は同票で、残り一票を麗奈が選択し、ソリは真由が吹くことになりました。また、久美子は『正しい人』になるために今回の結果を受け入れてこの布陣が北宇治の最強メンバーであると部を鼓舞します。

その後、奏が最後に久美子と吹きたかったと感情を露にしたり、麗奈は久美子の音だとわかった上で真由の方を選んだと泣いたり、久美子は実力でソリを勝ち取って最後に麗奈と吹きたかったと泣いたりと、それぞれが悔しさを吐露していました。

しかし、原作ではそもそも全国大会のオーディションで久美子が実力でソロを勝ち取っているため、アニメのように部員投票での再オーディションはありません。オーディションの数日前、久美子が合奏練習前に演説をすることで、全力の実力で勝負したいという久美子の訴えが真由に届き、真由も辞退することなくオーディションに望んで久美子がソロを勝ち取りました。

そのため、アニメ版のように、奏が泣く展開や、麗奈が罪悪感で涙する展開、久美子が悔しいと涙する展開もなく、真由の問題も片付き全国大会まで順風満帆で終わっています。

久美子の家族

3年生編では受験や進路についても大きな課題となっており、このテーマは原作もアニメも3年生編の最初から最後まで随所に入れ込んできました。

原作では久美子は父親や家族と進路や受験について会話するシーンが描かれていますが、アニメでは父親と二人きりで話すシーンがカットされています。あるいは最終話で多少触れられるかもしれません。

また、麻美子も定期的に帰省しては久美子の勉強を見たりと年長者としてアドバイスしていますが、原作とアニメでは登場の仕方や台詞などもやはり異なります。原作では久美子と秀一の二人とも再会していますが、アニメでは二人きりの時に交わることはありませんでした。

原作の内容すべてがアニメ化されているわけではない

響けシリーズはの原作は既刊11冊あります。

①響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ(アニメ1期)
②響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏(アニメ2期)
③響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機(アニメ2期)
④響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話
⑤響け!ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌
⑥響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編(誓いのフィナーレ / リズと青い鳥)
⑦響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 後編(誓いのフィナーレ / リズと青い鳥)
⑧響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話
⑨響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 前編(アニメ3期)
⑩響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 後編(アニメ3期)
⑪飛び立つ君の背を見上げる

アニメ第1期は1年生編を描く『北宇治高校吹奏楽部へようこそ』の都道府県大会までの内容、第2期は『北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏』と『北宇治高校吹奏楽部、最大の危機』の関西大会から全国大会まで。

劇場版『誓いのフィナーレ』と『リズと青い鳥』で2年生編の『波乱の第二楽章・前後編』を描き、特別編として『北宇治高校吹奏楽部のホントの話』に収録された2年生編の関西大会後に行われた『アンサンブルコンテスト』が公開されました。

そして、アニメ第3期に3年生編である『決意の最終楽章・前後編』が描かれています。

しかし、ここまで紹介した通り、本編の範囲内であってもアニメでは原作通り忠実に描かれているわけではなく、多少の設定変更や追加シーンなどを含めて原作部分をカットしている箇所が多くあります

とくに2年生編と3年生編はそれぞれ劇場版と1クールという尺の都合上、アニメ第1期と第2期に比べて大幅にカットされているため、原作とアニメを見比べたら内容の違いに驚くかもしれません。

なお、本編のおまけである短編集においてはアニメ化されていませんが、ドラマCDとしていくつかのエピソードは収録されています。

原作未読でアニメから視聴し始めたという方であれば、アニメ視聴後に原作に目を通してアニメとの相違点や原作ならではのエピソードを追いかけるのも楽しめるかもしれませんね。

ちなみに2024年6月27日に最終章で入りきらなかった短編集『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のみんなの話』が発売されますので、アニメ第3期を視聴後購入されることをおすすめいたします。

武田綾乃先生と制作サイドのコメント

原作とアニメにおいて内容が脚色あるいは改変されることはしばしばですが、『響け!ユーフォニアム』は原作者と制作サイドでしっかりと確認を取っています

『響け!ユーフォニアム』のアニメは第1期から設定の変更や脚色・追加シーンなど多くありましたが、最終楽章である『響け!ユーフォニアム3』においては一番重要な局面である黄前久美子と黒江真由のオーディション結果が異なるため、原作ファンは衝撃を受けました。

一番大事なユーフォニアムのソリのオーディション結果が原作では久美子が務めるのに対し、アニメでは真由が務めることに改変されたため、やはりどうしても否定的な意見が一部で見受けられます。

しかし、これに関しては原作者・武田綾乃先生はX(旧Twitter)で『原作を既に読んでいる方は大変驚いたかと思います アニメはアニメ、小説は小説として、一作品で違った味を楽しんで頂ければ…!』とコメントしており、響けシリーズの構成を手掛ける脚本家・花田十輝先生は『原作と異なる展開を承諾してくださった石原監督、コンテの小川副監督、スタッフの皆様、そして何より原作の武田先生、ありがとうございました。』とコメントしています。

昨今では原作者と制作サイドの意思疎通が行われず、原作を無視した作品が話題になっていますが、『響け!ユーフォニアム』に関してはちゃんと原作者と制作サイドで展開を確認し許諾をとっていることがわかります。

原作のストーリーをアニメーションで見たかった、という気持ちは重々理解できますが、本作に関しては制作サイドが無許可で改変したものではないので、響けの『ifストーリー』として見るといいかもしれません。

ハッピーエンドで終わる原作も、青春の泥臭さで締めるアニメも、どちらも素晴らしい作品だと思います。

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まとめ

【響け!ユーフォニアム】原作小説とアニメの違い

  • 舞台が京都であるため登場人物の方言は京都弁だが、アニメは標準語
  • 北宇治高校吹奏楽部は本来A部門とB部門に参加しているため原作ではコンクールメンバー以外の部員はB部門に出場している
  • アニメ版はやや百合描写が過剰に盛られている
  • 黄前久美子の友達の呼び方が原作では「葉月」「緑」と呼び捨てだが、アニメは「ちゃん」をつけている
  • 1年生編は、多少の変更があるものの大筋は原作もアニメも一緒
  • 2年生編は、原作では黄前久美子がすべての問題に関わるが、アニメは劇場版『誓いのフィナーレ』と『リズと青い鳥』と分けて制作したため、黄前久美子が笠木希美と鎧塚みぞれの問題に関与していない
  • 3年生編は、原作二冊のところをアニメ1クールで消費しているため極端に割愛される場面が多く、全国大会のユーフォニアムのソリに関しては、原作は黄前久美子が担当するのに対しアニメは黒江真由に変更されている
  • アニメの変更・改変については、武田綾乃先生と制作会社が事前に打ち合わせて確認を取っているので決して独断ではない
響けシリーズは、黄前久美子の高校生活を3年間描く長編小説なので、アニメ化の際にはどうしても尺の都合上添削しなければならない部分が出て来てしまいます。
しかし、本作は原作者とアニメ制作会社がしっかりと打ち合わせをしているようなので、多少の設定変更や改変があっても、武田綾乃先生がおっしゃる通り『小説は小説、アニメはアニメ』としてどちらも素晴らしい作品に仕上がっていると思います。
最終章の結末の改変はある種の『ifルート』でもあるので思い切った決断ですが、どちらのルートも面白かったですね。

響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章・前編後編

作者:武田綾乃 出版社:宝島社

 
 

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