2023年8月4日、響けユーフォニアムシリーズが約4年振りに新作アニメとして帰ってきます。
タイトルは『特別編 響け! ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』。地上波アニメではなく上映アニメなので映画館に行かないとみることはできませんが、原作小説のエピドードですので書籍で読むことは可能です。
今回は『アンサンブルコンテスト編の内容について』簡易ですがご紹介したいと思います。
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アンサンブルコンテストとは?
引用元:武田綾乃『響け!ユーフォニアム』 アニメーション制作:京都アニメーション 製作:『響け!』製作委員会
今回北宇治高校吹奏楽部が参加するアンサンブルコンテストとは、吹奏楽連盟が主催するコンテストであり、その歴史は1978年東京の武蔵野音楽大学ベートーベンホール第1回の開催に遡ります。
全日本吹奏楽コンクール同様、中学・高校・大学・教場・一般の部に振り分けられており、県大会→関西大会→全国大会という勝ち上がりシステム。
京都大会は十二月、関西大会は二月、全国大会は三月に開催される為、前年は全国大会出場もあり参加は見送りましたが、今回北宇治は八月の支部大会で全国を逃したのでスケジュール的に余裕があるので参加を表明しています。
京都府の場合、アンサンブルコンテストへ出場できるのは各学校につき一団体ですので出場権を巡って競争が激化します。
アンサンブルコンテスト編の概要
引用元:京アニチャンネル youtubeより
アンサンブルコンテストは原作小説の短編集『北宇治高校吹奏楽部のホントの話(十二、アンサンブルコンテスト)』に収録。
アニメは『特別編 響け! ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』として2023年8月4日に上映予定です。
本作の開幕は黄前久美子が吉川優子から部長職を引き継ぎ三週間が経過した十月某日。三年生が引退したため、全71人(二年生28人と一年生43人)がアンサンブルコンテストへ出場するために小編成を組み構内予選を開催します。そして、12月に開催される京都大会への出場者を決めるのです。
三年生は引退のほか、時期的に受験と被るので参加自体はしない方向。
また、部員数が多いので構内予選で時間を消費するのは勿体ないという理由で代表一団体を決める場は演奏会を指定し、部内投票と一般投票にて判断するという方針に定まりました。
アンサンブルコンテストへの投票結果は部内投票数で決定。一般投票は人気投票的な扱いとしてカウント。
そして、一人の奏者の負担を考えて北宇治では編成の掛け持ちを禁止することとなり、71人の部員は編成グループを集う・勧誘すべく各々が動き出すのです。
アンサンブルコンテスト編は黄前久美子が中心のエピソード
アンサンブルコンテスト編は、久美子2年生編の関西大会終了後の十月を舞台にしており、新部長黄前久美子の初の大仕事となります。
そのため、本作は黄前久美子が吹部を回す役割を担っているので、これまで以上に久美子を中心に物語は動いていく模様。
- 黄前部長に結成グループの申請書プリントを提出するため、いろんな部員が報連相に来る
- 黄前部長がグループが決まっていない部員の相談を受ける
- 黄前部長はグループを組めなかった子のフォローのためにグループを決めずに待機
- 黄前部長自身が参加するグループでの合奏練習
- いつもの四人組のやり取り
今回は久美子が部長を務めているので、2年生編で登場した新一年生や本編ではあまり関わりのない他パートの同級生との掛け合いが見られるようになっています。
それに加えて、楽器の基礎知識・小編成での定番の楽器編成・楽器別にメジャーな曲の詳細など、この作品ならではの吹奏楽の知識が練り込まれているので経験者も共感する部分が多くて楽しめることでしょう。
久美子は麗奈に誘われて管打八重奏で参加
久美子が参加するのは『管打八重奏』のグループ。(黄前久美子、高坂麗奈、塚本秀一、加藤葉月、釜屋つばめ、井上順菜、森本美千代、小日向夢)
曲は『彩吹~Ibuki~』。
何と発案者は引っ込み思案でネガティブ思考の小日向夢であり、夢は最初に『彩吹~Ibuki~』をやりたいと高坂麗奈を誘ったのです。後輩から先輩を誘う勇気に敬意を払うほか、麗奈自身単純に夢が演奏が上手いという理由で許諾。今回、麗奈は夢の発案を受けると、二人目以降からは麗奈が奏者を勧誘し始めました。
久美子は部長として最後の方までグループを決めずに残っていましたが(ほとんどの部員は久美子が麗奈と組むと考えていたため敬遠)、ある日の下校時に麗奈から誘われて承諾。この時に葉月も麗奈に誘われて参加。
ちなみに麗奈が勧誘した奏者の基準は『一緒に吹いたときにちゃんとビジョンが見える子』としたものでしたが、鈴木美玲には断られています。なお、久美子はその発言を受けて美玲がダメだったから葉月に声を掛けたことは胸に内にしまっています。
そのせいもあり、久美子は自分を誘ったのも久石奏に断られたからではないかと疑心し麗奈に選ばれるなら一番がいいと訴えますが、麗奈は最初からユーフォニアムなら久美子に頼む予定だったと発言。
その割には誘うのが遅かったと疑いの眼差しを向ける久美子でしたが、麗奈は久美子なら自分以外の子と組まないと確信していたこと、久美子が部長として他の子のフォローに回っていること、久美子が中学時代のころは真っ先に誘われていたから尻込みしていたことを打ち明けると、単純に久美子に断られるのが嫌だったと耳を赤くして白状。
久美子は麗奈の照れ隠しに笑いをこぼすと誘ってくれたことに御礼を述べて管打八重奏に参加するのでした。
しかし、帰り道麗奈と別れた久美子はこんなことを考えています。
北宇治でいちばん上手なユーフォニアム奏者として頭に浮かぶのは間違いなく自分である。だからこそ麗奈は自分を誘ってくれたが『もしも自分より上手い子が現れたら』という疑念が襲い掛かるのです。
ここに『響けユーフォニアム北宇治高校吹奏楽部・決意の最終楽章』で登場する黒江真由の布石が差し込まれています。
井上順菜と釜屋つばめ
今回、黄前久美子が組んだ小編成にはカーパッションからは井上順菜と釜屋つばめが参加しています。
アンサンブルコンテスト編は全体的に全部員参加型の構内予選を主軸に描かれていますが、久美子が井上順菜や釜屋つばめと練習に励むシーンが印象的です。
しかし、つばめは当初麗奈の誘いを『気後れする』という理由で断っていました。そもそもなぜ高坂麗奈ほどの奏者が数多くいるパーカッションの奏者の中から自分を誘ったのかすら理解できておらず、卑屈に取られていた模様。
そのため、久美子はつばめと仲が良い葉月とともに説得に赴き、どうにか勧誘に成功するのでした。
一方で井上順菜は鉄琴や木琴といった鍵盤打楽器だろうがドラムだろうが大抵の楽器はオーダーに応じて演奏できる器用な奏者であり、三年生引退後はパーカッションのパートリーダーを務めるほど。更には強豪中学出身のパーカッション奏者ということも判明しており、中学時代からパーカッション一筋。滝昇からの信頼が厚い奏者です。
そのため、ドラムは順菜、ドラムが苦手なつばめには得意なマリンバを担当してもらうこととなるのですが、管打八重奏の奏者は何れも優秀なメンバーであるほか、麗奈の指導が手厳しいためにつばめはすっかり委縮することに。
そんなつばめを慮ってか久美子はつばめと休日練習することとなり、順菜も参加。
そして、三人で練習をしている際に発覚したのが『つばめは鉄琴と木琴が上手で特にマリンバは北宇治で一番上手い』というもの。しかし、つばめにはリズム感が無いという致命的な欠陥があったのです。
つばめはメトロノームを使ったりキチッとテンポさえ決まっていれば順菜以上にマリンバが有能ですが、パーカッションにおいてリズム感が無いというのはかなり致命的な問題。コンクールでは指揮者がいるので問題ないとのこと。
順菜はつばめの悪癖をどうにかできないものかと悪戦苦闘していましたが、久美子はつばめが『息継ぎしていない』ことを指摘。パーカッションは演奏時に息をする必要がありませんが、演奏時にはパーカッションも息継ぎが必要であり、おそらくつばめは他の人の呼吸のタイミングが分かっていないのだと分析します。
また、つばめは自分が演奏している間は息を止めていると指摘すると、まさかの事態に順菜も驚きの様子。つばめ曰く『昔から水に潜るのは好きやった』らしく、演奏時に息を止めていたのは無意識の癖のようなものだと久美子は言います。
息を止めているために呼吸する必要がなく、奏者が呼吸する間につばめが先に進んでしまうのではないか、また単純にタイミングを合わせなければならない時に目を合わせてくれないなどの問題点が浮上してきます。
つまり、息でタイミングを合わせる発想が無かったことがつばめの演奏が揃わず違和感が生じる原因でした。つばめ曰く『指揮者がいないのにみんな音出しを合わせているのが不思議だった。最初の第一音目は合わせるの不可能と思っていた』とのことで、今回で言えば久美子が最初に大きく息をする動作は一音目が入るという合図だと知らずに毎回抜き打ち試験みたいな気持ちで挑んでいた模様。ある意味すごいですね。
こうしてつばめは久美子と順菜と個人練習を積み重ねることで『人に合わせた演奏』ができるように成長していきました。
最初は久美子のことが苦手だったつばめは今回の件で久美子が『人に気配りして解決するのが得意な人』と認識を改めており、順菜は久美子が行動に移してくれたことに感謝を伝えています。
ちなみにつばめがマリンバが得意になったのは順菜が『つばめはマリンバの才能がある』と言ってくれたため。
なお、つばめは3年生編から久美子のことを『黄前さん』呼びから『久美子ちゃん』に変化。気軽に喋る関係性になっており、妹の釜屋すずめが低音パートに入部しています。
三年生の登場
今回のアンサンブルコンテストは三年生は引退しているのでほとんど登場しません。
しかし、吉川優子・中川夏紀・笠木希美の三人は新部長久美子の様子を見るために部に顔を出しており、ついでに大学受験の合格発表を報告しています。一般入試組より一足先に進学が決定した彼女らは参加はしないもののグループの指導ぐらいの時間が取れる模様。
その際、出場メンバーの名簿を見て数人が余っている状況から希美が『うちらとその子たちで編成組んだらええんちゃう?』と発言したため、三年生が参加するためアンサンブルコンテストへの出場権は無いものの経験を積むために校内予選への参加が決定するのでした。
なお、鎧塚みぞれは音大受験を控えているので滝昇が用意してくれた空き教室(三階廊下の奥の教室)で毎日練習中。希美はみぞれも誘おうと提案しますが優子は音大入試を控えているから余計な労力を割かせたくないと過保護に反対。希美からの誘いならばのぞみは忙しくても必ず誘いを受けると言う優子でしたが、希美は「みぞれはそこまで馬鹿じゃない。少なくともいまはもう」と確信めいたセリフを返すのです。
久美子が優子たちの参加を伝えるためにみぞれが個人練習に使う教室を訪れて説明すると、みぞれは「私は出ない」と即答。さすがの久美子もみぞれが希美の誘いを断るとは思わず驚きましたが、みぞれは「誘ってくれて嬉しかった」と述べて、久美子に希美にもお礼を言って欲しいと頼みました。
久美子はみぞれと希美の関係は去年から知っているためこのことを『奇跡のような出来事』と表現しており、みぞれの変化を見て嬉しさとほんの少しの寂しさが入り混じった感情を覚えています。
ただ、久美子はみぞれはもう一人でも大丈夫だということを希美は知っていたのだと気付くのでした。
また、久美子が夏紀に報告に向かった際には久石奏が久美子の後ろに隠れるようについていっており、奏は久しぶりに夏紀をからかいツッコミを入れられると満更でもない顔をする模様。このために自分についてきた奏を見て久美子は『いじらしい後輩』と思っています。
なお、夏紀が「力みすぎんようにね」と述べたことで、久美子は部長としての初仕事でやたらと肩の辺りが強張っていることに気付かされるのでした。
校内予選の結果と代表グループ
校内予選当日、久美子が参加する管打八重奏は舞台袖で円陣を組んでいつもの『北宇治ファイトー』の掛け声をして挑んでいます。(おそらくPVのシーンはここ)
演奏はチューバの葉月だけが着席して他は立って演奏。練習の成果が出るように、久美子はつばめと時折目を合わせて演奏しています。
しかし、管打八重奏はアンサンブルコンテストの代表にはなれませんでした。
部員投票1位 / 一般投票不明 | クラリネット四重奏(北宇治代表) |
部員投票2位 / 一般投票2位 | 金管六重奏 |
部員投票不明 / 一般投票1位 | 管打八重奏 |
部員投票不明 / 一般投票3位 | コントラバス二重奏 |
代表を勝ち取ったクラリネット四重奏は2年生のみで編成されたグループであり、麗奈も認めるほどレベルが高い演奏だったとのこと。一人一人の技量が素晴らしく完成度も高いことから久美子たちもクラリネット四重奏に投票したそうです。
そして、クラリネット四重奏は京都大会を突破して関西大会出場を決めました。(原作では、関西大会以降の結果は不明)
また、関西大会の舞台に立ったことがない葉月が『関西出場』をしみじみと呟くと、麗奈が「次は一緒に行けばいい」と発言。次──来年の吹奏楽コンクール、つまり3年生になった最後の舞台で金賞を取ると意気込む麗奈に葉月は不敵に笑うのでした。
おまけ:全国大会の結果報告
アンサンブルコンテストに向けての練習中には全日本吹奏楽コンクールの全国大会の金賞高校が発表されており、強豪三校のみ結果が分かっています。
金賞 | 龍聖学園 | 明工 |
銀賞 | 秀大付属 |
十月某日、ニュースで結果を聞いた模様。
いつもの四人で下校中久美子は「北宇治、去年だったら全国の会場にいたんだよね」とポロリと口を滑らせますが、葉月に「悔しい?」と聞かれた際にはあの時は悔しかったが今は何を頑張ればいいかわかってると発言しています。
そんな久美子を見てちょっとずつ『部長』らしくなってきていると評価されています。
アンサンブルコンテストの小編成一覧
※『名簿』は正確に判明しているメンバーのみ記述。
編成 | 名簿 | 曲 |
木管五重奏 | 剣崎梨々花(1年)…オーボエ | 三つの小品 |
ホルン三重奏 | 六つのトリオ | |
金管八重奏 | 鈴木さつき(1年)…チューバ | 「高貴なる葡萄酒を讃えて」より五楽章 フンダドーレ…そしてシャンペンをもう一本 |
木管八重奏 | 晴れた日は恋人と市場へ! | |
金管六重奏 | 久石奏(1年)…ユーフォニアム 鈴木美玲(1年)…チューバ |
タランテラ |
管打八重奏 | 黄前久美子(2年)…ユーフォニアム 高坂麗奈(2年)…トランペット 塚本秀一(2年)…トロンボーン 加藤葉月(2年)…チューバ 釜屋つばめ(2年)…パーカッション 井上順菜(2年)…パーカッション 森本美千代(2年)…ホルン 小日向夢(1年)…トランペット |
彩吹~Ibuki~ |
打楽器七重奏 | ヴォルケーノ・タワー ~七人の打楽器奏者のための | |
管打八重奏 | シティガール・センチメンタリズム | |
サックス三重奏 | スペイン舞曲集より ガランテ、バレンシアーナ | |
フルート三重奏 | 月明かりの照らす三つの風景 | |
コントラバス二重奏 | 川島緑輝(2年)…コントラバス 月永求(1年)…コントラバス |
メヌエット |
クラリネット四重奏 | 革命家 | |
サックス三重奏 | 古の鏡 | |
管打六重奏 | 吉川優子(3年)…トランペット 中川夏紀(3年)…ユーフォニアム 笠木希美(3年)…フルート |
小さな祝典音楽 |
まとめ
- アンサンブルコンテスト編は、久美子2年生編の関西大会後のエピドードで3年生が引退した十月某日が舞台
- アンサンブルコンテストの出場条件は『一編成の人数は3人以上8人以下』であり、各校一団体のみ出場可能
- 北宇治高校吹奏楽部は、総勢71人で小編成を組んで校内予選を結構し、演奏会で演奏し部内投票と一般投票で出場グループを選出(一般投票は結果に関係のない人気投票の扱い※一般受けを明確にする目的)
- アンサンブルコンテストへの代表に選ばれたのは『クラリネット四重奏』で、関西大会出場を果たす
- アンサンブルコンテスト編は、新部長黄前久美子を中心に回る『部内の状況』『引退した3年生の現状』『違うパートの部員との交流』を描いた物語
アンサンブルコンテスト編は、本編では低音パートに視点が置かれていたものが、久美子を中心にすることで部内全体の状況や同輩後輩の交友関係などが赤裸々になる新鮮なエピドードでした。
とくに原作やアニメでも名前や見切れる程度しか登場しなかった井上順菜や釜屋つばめといったサブキャラクターとの練習により、設定が深堀りされる過程は読んでいて楽しいものでした。
奏と梨々花のイチャイチャ、お馴染みの南中カルテットの面々の進学や、みぞれの成長などにも触れているので、ファンにはたまらない一作となっています。
2023年8月4日に劇場公開されますが、視聴が難しい方は短編集『北宇治高校吹奏楽部のホントの話』を購入されることをおすすめいたいます。
響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話 作者:武田綾乃 出版社:宝島社 |
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