2026年に発売されたカプコン最新作『バイオハザード レクイエム』(通称バイオレクイエム、海外版Resident Evil Requiem)。
シリーズ9作目として、崩壊したラクーンシティの廃墟を舞台に、新主人公グレース・アシュクロフトとレオン・S・ケネディの視点が交互に交錯する重厚なストーリーが展開されました。本作の最大の魅力は従来のアクション重視から一転、心理描写と人間ドラマを深掘りした点であり、特に謎の少女「エミリー」の存在はプレイヤーの心を強く揺さぶるキーパーソンとして話題を呼びました。
彼女は単なるサブキャラクターではなく、物語の核心である「エルピス(万能抗ウイルス剤)」と深く結びつき、グレースの過去・現在・未来を象徴する存在となります。
今回は謎の少女エミリーについてご紹介したいと思います。
謎の少女「エミリー」とは
引用元:カプコン『バイオハザード レクイエム(BIOHAZARD requiem)』
エミリーは、ローデスヒル慢性ケアセンター(通称療養所)の地下隔離室に幽閉されていた幼い少女。外見的特徴としては、白いワンピースを纏い、青白く痩せ細った肌、短めの白い髪、そして白内障により真っ白に濁った瞳が印象的です。
視力を失っているため、点字の本を指でなぞる仕草やグレースの声にすがるような表情がプレイヤーに強い保護欲を搔き立てます。
年齢は公式に明かされていませんが、外見や台詞から10歳前後と推定。療養所での長期隔離生活により、体力は極端に弱く、歩行すらままならない状態です。吹替版の声優は瀬川美沙さんが担当し、幼くも芯の強い演技でキャラクターに命を吹き込みました。
初登場はグレース編の序盤、投薬室の独房。グレースが鍵を解除し、初めて顔を合わせた瞬間、エミリーは震える声で「だれ…?」と訊ねます。この出会いが、グレースの運命を大きく変える起点となりました。彼女の存在は単なる「守るべき弱者」ではなく、グレース自身が「自分と同じ孤独を抱える者」として投影される存在であり、プレイヤーも自然とエスコートパートに感情移入してしまいます。
療養所内では、エミリーを抱きかかえて移動するシーンが複数あり、射撃やアクションが制限される緊張感がホラー要素を高めています。こうしたゲームプレイ上の制約すら、彼女の「守る価値」を強調する巧みな演出となりました。
エミリーの正体
エミリーの正体は、主人公グレース・アシュクロフトを再現するために作られたクローンです。The Connections(コネクションズ)と元アンブレラ科学者ヴィクター・ギデオンらによる極秘人体実験の産物で、識別番号は「Subject 171」。療養所のファイルや地下実験記録で確認できます。
1990年にラクーンシティ孤児院の子供達を実験台に行われたスペンサーの記憶を継承させる実験に起因し、創設者オズウェル・E・スペンサーの血漿を子供たちに注入し記憶を継承させる不老不死を目的とした非道な実験が行われていましたが、副作用による精神異常や暴走によりことごとく失敗し廃棄されました。
本作におけるエミリーは、「エルピス」の解放の鍵となるグレースの代理品を作るため、ギデオンとコネクションがスペンサーの記憶継承のクローン技術(70号シリーズ)を元手に回収したグレースの遺伝子情報を元に生み出したクローンであり、外見がクロエに似ているのは70号シリーズを元手とした技術を流用しているからだと思われます。
しかし、実験の過程で白内障による失明や免疫系の崩壊を招いたことで彼女は「失敗作」として隔離されていました。
エミリーの正体についてはゼノとの会話シーンで発覚し、グレース自身が「私の複製体だったのか」と衝撃を受ける姿が描かれています。
エミリーの劇中の動向
物語前半、グレースは投薬室からエミリーを連れ出して脱出の謎解きを手伝ってもらいますが、途中でThe Girlに連れ去られてしまいます。
グレースはエミリーを助けるため恐怖を耐えてThe Girlが通った痕を追い療養所の地下でエミリーを発見。エミリーを抱きかかえながら再度追ってくるThe Girlから逃げ切り療養所からの脱出を試みます。
屋敷から中庭に出たところで生存者ハリー・リードと遭遇すると、パイロットである彼と共にヘリコプターで脱出を計るもゾンビの集団に囲まれヘリコプターは浮上とほぼ同時に制御を失い墜落。そして、墜落の際にハリーは死亡し、エミリーは重傷を負ってしまうことに。
その後、グレースはエミリーを抱えて脱出を目指すも再びThe Girlと遭遇。辛うじて意識が残っているエミリーを安全な場所に寝かせ、グレースはThe Girlとの決着をつけます。
しかし、グレースが戻ってくるとそこには事切れたかのように微動だにしないエミリーの姿が…。
エミリーの死亡
引用元:カプコン『バイオハザード レクイエム(BIOHAZARD requiem)』
The Girlを倒したグレースが戻ってくると、仰向けに動かないエミリーを見てハッとして駆け寄ります。
少女の名前を呼びながら心臓マッサージと人工呼吸を開始しますが、呼吸を取り戻すことはなく、グレースは愕然と膝を曲げ涙。脱出を共にした少女を守れなかった喪失感と連れ出した罪悪感に苛まれてしまいます。
しかし、ここでエミリーに異変が。脈動が開始し息を吹き返したかと思ったグレースは再度彼女に寄り添い声を掛け始めますが、エミリーは開眼と同時に苦しみもがき始めると、目が充血し、四肢が膨張と破壊を行い巨大な異形怪物(B.O.W.)へと変貌を遂げてしまうのです。
エミリーの変異に恐怖するグレースですが、それでもその怪物はエミリーであると信じて名前を呼び続けるグレース。呼びかけもむなしく怪物はグレースに襲い掛かります。
しかし、療養所から別行動をとっていたレオンが駆けつけ怪物を射撃。怯む怪物を前を見て、グレースはレオンにすがりつくように「だめ、あれはエミリーなの!」と訴えかけますが、ラクーンシティを始め数々のバイオテロの渦中で惨劇を見てきたレオンはエミリーが元に戻る術はないと瞬時に悟ったのか「許してくれ」と悲痛な表情を浮かべつつ射殺するのでした。
グレースは事切れた怪物に駆け寄るとその死を悼み、レオンに向けて「エミリーは助けたかった!」と慟哭。彼女がいなければ療養所から逃げられなかった、そして彼女を死に追いやったのは独房から連れ出した自分だと責苦すると、レオンの説得に耳を貸さず半ば自暴自棄となってその場から立ち去っていきました。
この衝撃的な結末は「これまで守ってきた子が最悪の形で敵となる」かつ「それを倒す」という絶望をプレイヤーに味わわせることとなるほか、エミリーの断末魔の叫びや、グレースを守るためにエミリーを手に掛けなければならないレオンの心情など、劇中屈指のトラウマを植え付けました。
エミリーの生存
引用元:カプコン『バイオハザード レクイエム(BIOHAZARD requiem)』
エミリーはB.O.W.へ変貌しレオンが射殺した──と認識していましたが、正規のエンディングにて生存が明かされることに。
エルピス解放後、物語の黒幕を倒し生還するグレースとレオン。すべてが解決したことでグレースは「エミリーを救いたかった」と悔恨を示すと、レオンはエミリーについて言及します。実はレオンはエミリーに発砲する際に致命傷は避けていたようで、エミリーがまだ生きていることを示唆します(B.O.W.の生命力?)。
すぐには理解が追いつかないグレースでしたが、レオンが「まだ救えるかもしれない」と口にすると、徐々に表情が生き返ったように柔らかくなります。
その後場面は変わり事態収束に向けて警察がローデスヒル療養所を調査及び生存者の救出をしている映像が報道されており、別のシーンでは、隊員がB.O.W.の亡骸の中で眠るエミリーを発見している場面が映されます。
なお、隊員が倒れているB.O.W.を見つけてエルピスを投与したのか、人間に戻っている状態で発見してからエルピスを投与したのか順序は不明。
エミリーのその後
引用元:カプコン『バイオハザード レクイエム(BIOHAZARD requiem)』
スタッフロールの後、その後が少し触れられています。
エミリーはローデスヒル療養所から救助ならびに保護された後、エルピスを投与し人間に戻ったと思われます(救出・保護からエルピス投与までの直接的な描写はなし)。その後はグレースに引き取られたようで、グレースの社内デスクには母親との写真に加えグレースとエミリーの2ショット写真が。
写真に写るエミリーはエルピスの効果なのか視力も回復し白内障の濁りが晴れ、肌の色も健康的に。また。表情が柔らかくなっており、熊のぬいぐるみを抱き抱えています。近況を連絡していたレオンにエミリーについて楽しそうに語るグレースが描かれており、彼女曰くエミリーは元気で今は読み方を教えている段階とのこと。
まさかのエンディングで明かされたエミリー救済は大絶賛となりました。
バイオシリーズにおいてはリサ・トレヴァーを始め少女であっても凄惨な末路を辿る場合がほとんどなので、エミリーの生存は稀に見る結末となっています。
なお、分岐でバッドエンドに進んだ場合はエルピスが消失するためエミリーはB.O.W.のまま駆除される未来が想像されます。
まとめ
以上『エミリーの正体・生死・その後』についての紹介でした。
エミリーは『バイオハザード レクイエム』において、Subject 171という正体、激しい変異と死亡、そしてエルピスによる生存と養子縁組というその後――を経てプレイヤーに「命とは何か」を問いかけた、ただのゲームのキャラクターを超えた存在となりました。
彼女の物語は、グレースの成長と並行して描かれることでシリーズの伝統である「絶望の中の希望」を体現しており、変異の恐怖、守るための犠牲など、これらを体験したプレイヤーにエミリーを「忘れられない少女」として記憶に刻刻むことに成功しています。
今後、エミリーが本編で絡んでくる可能性はないようにおもえますが、ナンバリングのどこかで成長や近況が分かるといいですね。











