単行本13巻第126話から突入した新章・帝国編。
勇者ヒンメルの死から31年後、フリーレン一行は帝国領帝都アイスベルクにやってきたところ大陸魔法協会のゼンゼとファルシュによってゼーリエ護衛任務に巻き込まれてしまいます。
そして、帝都アイスベルクの建国祭の最終日に行われる舞踏会でゼーリエ暗殺の可能性があることを打ち明けられるのでした。
《誰もが魔法を使える時代》というフランメの夢に一番近い帝都で、フランメの師匠であるゼーリエの命運をかけたそれぞれの思惑と謀略が交錯し衝突することになりますが、『ゼーリエ暗殺計画』を企図したのは何者なのでしょうか。
今回はゼーリエ暗殺計画とゼーリエの未来視による死亡フラグについてまとめてみました。
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帝国編『ゼーリエ暗殺計画』とは?
引用元:山田鐘人・アベツカサ『葬送のフリーレン』 出版:小学館
帝国編では、帝都アイスベルクで建国祭が始まっており、三日目の最終日に帝国領と北側諸国の要人たちが集まる大規模な舞踏会が宮殿で執り行われる予定です。
そして、大陸魔法協会の代表としてゼーリエが招待されていますが、大陸魔法協会は帝国で諜報活動をしているリネアール一級魔法使いから『ゼーリエ暗殺』の可能性を報告を受けたことにより、ゼーリエの護衛として一級魔法使いを数名配備する決断をします。
ゼーリエは現代の人類の頂点に君臨する魔法使いであるため暗殺は相当難しいと言われていますが、それはあくまでも魔法使い同士の戦いに限った話。作中で《腕のいい戦士》が相手であればゼーリエ相手でも十分に勝機はあると言われており、フリーレンでさえもシュタルクと数メートルという距離で対峙すれば魔法の発動時間の関係から負ける──、あるいは不意打ちを受ければ魔法発動が間に合わないため殺されてしまうと認めています。
魔法使いは近接戦闘という一点において戦士にはほとんど太刀打ちできないというのがフリーレンを含めた魔法使いの見解となります。
大魔法使いゼーリエにおいても同じであるため、今回は近接戦および対戦士に特化した戦い方ができるゼンゼとファルシュが身辺警護を務めることになっており、フェルンを含めた一級魔法使いが計5人とフリーレン一行が巻き込まれる形で護衛任務に参戦することになります。
ゼーリエ暗殺を企てる敵の正体
ゼーリエの暗殺を企む敵の正体は帝国の特務機関『影なる戦士』。
16年前に先代の皇帝陛下の勅命によって解体された組織ですが、現在も指揮系統が不明でありながら皇帝の意思とは無関係に指揮官レーヴェを中心に暗躍しており、ゼーリエの命を狙っています。
ゼーリエ暗殺の目的
影なる戦士(主に指揮官レーヴェ)がゼーリエ暗殺を敢行する理由は『この世界から魔法を無くす』ためです。
ゼーリエの死亡は確定路線?
引用元:山田鐘人・アベツカサ『葬送のフリーレン』 出版:小学館
帝国編ではゼーリエの死亡フラグがたてられていますが、フリーレンでさえ想像できないゼーリエの死のイメージを覆す存在として描かれているのが影なる戦士の指揮官レーヴェ。彼は20年前に大魔法使いミーヌスを討ち取ったとされる戦士であり、この出来事を経て『エルフが決して不死の存在ではない』というイメージがひっそりと世界に広がるようになりました。
魔法使いであればイメージの恐ろしさを理解しているはずですが、驕りでもなくフリーレンやゼーリエは自身の死というものをどこか朧げなものとして捉えている節があり、『ゼーリエ暗殺計画』の任務中でもフリーレンはゼーリエが死ぬことはないと断言するほど死のイメージを持っていません。
一方で、ゼンゼやファルシュは何百何千年と生きてきたからといってそれは明日死なない理由にはならないとして、今回の護衛任務で命に懸けてもゼーリエを守る姿勢で挑んでいます。
ゼーリエの未来視の魔法
今回、舞踏会に向けてゼーリエは神話の時代の魔法の一つ『予知夢』を使用して未来を予測していますが、この予知夢の魔法は正確には『夢の中で稀に未来を体験できるようになる魔法』です。
この魔法で体験できる時期や期間はランダムであり発動自体も極僅かな確率。使用者の死後の未来は見えず、使用者の死ぬまでの人生が魔法の適用範囲とされています。
ゼーリエは未来視という手段を好きではないようで、利便性の高いものを順に一級魔法使いの特権として譲渡したためこの一番使えない魔法しか手元に残っていません。一方で、ゼーリエの寿命が定まったことによってこの魔法のランダム性が無くなり実用に足る魔法となりました。
なお、他の未来視の魔法を授けた弟子たちはすでに全員死亡しているため協力することはできません。
ゼーリエの『死』の未来
ゼーリエは『予知夢』の魔法を使って、ある時期から建国祭の最終日に行われる舞踏会の晩よりも先の未来を見れていません。
ゼーリエ曰く『舞踏会の宵の鐘が鳴る頃に死角から首を一閃』されて死亡する未来で定まっており、どこにいても結果は同じになる模様。会場はもちろん、帝都に来ないという選択をしてもゼーリエの死は確実でした。
しかし、ゼーリエが《分身》《幻影》《結界》などあらゆる手段を講じた死を避ける選択をしたところ、襲撃自体が起きない未来が視ることができました。が、ゼーリエが生きる代わりに大陸魔法協会に所属する多くの魔法使いが殺されるという桁違いの犠牲者が出ることになりました。
大陸魔法協会の魔法使いは地方や都市で無くてはならない役割を担っている者達が大勢いるため、ゼーリエは半ば人質を取られた状態。自身が逃げた場合に起こりうる一番凄惨な結果を避けるために舞踏会に出席するしかありません。
ゼーリエの『死』を前提にした計画
ゼーリエは予知夢の魔法で自分が死ぬ結末を繰り返していますが、何度目かにして皇帝陛下へ謁見する未来を視ることができました。
しかし、皇帝の身体には帝国千年の魔法技術の集大成である宮廷魔法の粋を集めた精神防御機構が備えられていたため、ゼーリエの予知夢という仮想世界にてゼーリエと皇帝の夢が実際に繋がった状態で邂逅する形になったのです。その際、皇帝が最善の結果を求めて交渉に入ったことでゼーリエは皇帝は暗殺計画に関与していないと判断し情報交換に応じることに決めます。
とはいえ、ゼーリエが知っているのは自分が殺される直前までの未来であり、その先はわかりません。
ですが、ゼーリエは皇帝が協力者となったことで自身の死後の計画を立てることができると述べ、帝国と大陸魔法協会の利益のために建設的な話を行います。
一方で、現時点でゼーリエが皇帝と立てた自分の死後の計画については明らかにされていません。また、ゼーリエの死を前提とした計画を弟子は否定するという理由で、ゼーリエは予知夢の内容をゼンゼたち一級魔法使いやフリーレンにも話していません。
ちなみに皇帝陛下を人質あるいは殺害しても影なる戦士は皇帝の権限を越えているためゼーリエ暗殺計画が取りやめになることはありません。皇帝曰く、帝国は有象無象の国家とは違い王が全ての権力を握っているわけではなく、自分が死んでも代わりの誰かが玉座に座るだけ──とのこと。
ゼーリエの変化
舞踏会当日の貴賓室での着替えの一幕、ゼーリエは予知夢によって自身の『死』を見ていながらもフリーレンに「この暗殺計画自体が茶番であることくらいわかるだろう」「お前に私が死ぬ未来が見えるか?」と述べて一行を任務から遠ざけようとします。
また、フリーレンの髪を結んでやってもいいと普段ならやらないことを口にしており、フリーレンが「ゼーリエにはどんな未来が見えているの?私の役割は何?」と質問しても、任務を降りても支障はない──これは大陸魔法協会の問題だと答えをはぐらかしています。
加えて、フリーレンに断られた後は髪を自在に操れるゼンゼに対して半ば強制的に髪を結ってあげるというらしくない行動を取っていることから、死亡フラグがビンビンにたてられています。
護衛任務の選定基準
ゼーリエはゼンゼに『今回の任務の選定基準』について聞かれた際に、一級魔法使いになった時の特権の願いを基準にしていると回答しています。
特権の願いは大きく分けて『力を願った者』と『力を願わなかった者』であり、前者はゼーリエの望み通りの理想の魔法使いになり、後者はゼーリエの想像を超える魔法使いになるというのが彼女の持論。後者に関しては、類い稀なる才はあれど決して強い魔法使いにはなれないとゼーリエは失望を抱いています。
しかしその一方で、後者はゼーリエでは辿り着けない未来に辿り着けるかもしれないとも思っており、ゼーリエは想像を超える結果が見たいと思ったからこそ護衛任務に連れて来たと述べています。もしかしたら、フリーレンや一級魔法使いがゼーリエの死を覆す鍵となるかもしれません。
ちなみにゼーリエへの信頼や忠誠心に実力で言えばレルネン一級魔法使いが選ばれてもおかしくありませんが、彼は50年以上前に宮殿から出禁を喰らっているためそもそも来れない模様。
ゼーリエを殺害した人物の正体は?
引用元:山田鐘人・アベツカサ『葬送のフリーレン』 出版:小学館
予知夢の中で殺害されるゼーリエ自身も敵の姿が一度も視界に捉えられなかったとされるため、現時点でゼーリエを殺害した者は分かりません。
しかし、
- 魔力探知に一切反応が無い=戦士
- 未来視がなければ手の込んだ脅しができない(予知夢内での脅迫)
とヒントが与えられています。
一方で、ゼーリエを殺害した人物と未来視を扱う人物が一人とは定められていないため、実際にゼーリエの首を切断した人物が戦士、未来視でゼーリエを脅している人物が魔法使いと、それぞれ役割が別れている可能性もあります。
ゼーリエを殺害した戦士は指揮官レーヴェ?
現時点では、おそらく影なる戦士で最強格である指揮官レーヴェがゼーリエを殺害する人物だと推測されます。
レーヴェは20年前に大魔法使いミーヌスを討ち取ったとされる戦士である他、ゼーリエ暗殺を企図した張本人であり、影なる戦士がゼーリエの護衛を引きつけている間にゼーリエを殺害する役割を担う人物です。
レーヴェが主犯で実行犯なのか、それともまだ背後に未登場の敵が存在するのか、わかっていませんが、現時点で最もゼーリエを殺害できる実力を持っているであろう敵はレーヴェのみとなります。
未来視を使う敵の魔法使いはフラーゼ?
ゼーリエは予知夢の中で皇帝陛下と謁見した際、自身の予知夢と未来を話した上で敵にも未来視を扱える者がいると述べ、皇帝の心当たりをあたっています。
その際、皇帝の口から真っ先に出た名前が《フラーゼ》ですが、皇帝は自らその可能性を否定。仮にフラーゼが未来を見通せるのならば現在の帝国がここまで衰退することはなかったという理由で却下しています。
また、未来視に関わる魔法はそう多くなく、その大半が南側諸国の戦乱で滅びた一族に継承されていた魔法ということから、ゼーリエ自身もフラーゼの顔立ちが北側諸国であるためフラーゼ=未来視を扱う者の可能性を否定しています。
一方で、本来であればデンケンの手筈で舞踏会の晩に皇帝とゼーリエは会談し友好的な条約を結ぶ予定でしたが、フラーゼの謀略でデンケンを舞台から外して予定を差し替えているため、彼女が未来視の犯人ではないにせよ何らかに関与していることは予測されます。
ちなみに通常、未来を見る魔法には制限があったり不正確な魔法と言うのが大半であり、一般的に未来視と呼ばれているものは複数の魔法を併用し可能な限り正確な未来を予想したものとなります。そのため、ゼーリエが知る限りでは人類の中で完璧な未来の予測を実現した者は南の勇者ただ一人とされています。
一方で、魔王の側近である全知のシュラハトも未来視の魔法を扱うため、読者の中には彼の登場を懸念する方もいます。
まとめ
以上「ゼーリエ暗殺計画と死亡フラグ」についてのまとめでした。
帝国編ではゼーリエを中心に彼女を守る《大陸魔法協会》と、彼女を殺害しようとする《影なる戦士》、そして帝国内の治安を守る《魔導特務隊》の三つの勢力がぶつかることになりますが、はっきりと敵と区分されている影なる戦士はさておき、魔導特務隊の隊長フラーゼに関しては目的が捕まえていません。
魔導特務隊の隊員たちは治安維持に動いているようですが、フラーゼに関しては帝国とも大陸魔法協会とも繋がりがあるデンケンを舞台から追い出しているため、敵か味方か、フラーゼの今後の動向には注目です。
また、まだ明かされていないゼーリエと皇帝が話した『ゼーリエの死を前提とした計画』も気になるところです。







