漫画『GANTZ』の最初のミッションで登場した岸本恵。
彼女は生還して戻るとオリジナルの自分が存在していたという稀有な例を体験し、玄野計のアパートに間借りすることになりますが、三度目のミッションで死亡してしまいます。
では、岸本恵が二人存在するのはなぜなのか。また、岸本恵の最後はどのようなもので、オリジナルはその後どうなったのでしょうか。
今回は岸本恵が二人存在する理由と最後についてご紹介したいと思います。
この記事で紹介する内容は?
- 岸本恵の死因と動機
- 岸本恵が二人存在する理由
- 岸本恵と玄野計と加藤勝の関係性
- 岸本恵の死亡と最後
- 岸本恵の復活
- 岸本恵のオリジナルのその後
岸本恵とは
引用元:奥浩哉『GANTZ』 出版:集英社
ネギ星人編から参加する巨乳の女子高生で、成績優秀で真面目な優等生タイプ。
子供の頃は活発だったらしく体によく傷をつけていましたが、ガンツに部屋に行ってからは8針縫った傷や2ヵ月前に負った傷もすべて無くなりました。なお、現在は喧嘩もしたことがない勉強漬けの女の子であるため、能力値は平均以下。
中学2年生で長髪の妹・しおりがいる模様。
ガンツ命名ニックネームは『巨乳』。
岸本恵の死因と動機
岸本の死因は風呂場で剃刀を使いリストカット(自殺)。
動機はおそらく母親のために機械のようにずっと真面目に勉強ばかりして生きてきた心的要因だと思われ、オリジナルに関しては「あのコはずっとこれからもあの生活を続けなきゃなんないんだ、かわいそう…」とむしろ同情しています。
GANTZ MANUALに掲載されている理由としては出来の悪い妹がいるせいか母親からの多大な期待を寄せられていたプレッシャーが大きすぎて気づけば自殺を図っていたとのこと。
岸本恵が二人いる理由
一つ目のミッション・ネギ星人編終了後、自宅に戻ったところで母親から電話が入ると風呂で倒れた恵の意識が戻ったと報告され、岸本は自分が二人存在することに気づきます。
では、なぜ二人存在することになったのかと言えば、黒い玉(ガンツ)が部屋に招く基準がかなりいい加減であるから──だと劇中で西丈一郎が説明しています。
本来、黒い玉(ガンツ)は死ぬ寸前の人間をコピーして部屋に連れてきているらしく、部屋に転送された人間は謂わばファックスから出て来た書類(オリジナルのコピー)みたいなものです。
しかし、その基準がいい加減であるため、稀に完全には死亡していない人間をコピーして連れてくることもあるそうで、西曰く過去には帰ったらオリジナルが死亡していない人がいたという事例があったとのこと。
そのため、岸本のオリジナルは自殺を図った後に早々に母親に発見されると病院に搬送され意識を取り戻すところまで回復して助かりましたが、ガンツが先走って岸本のコピーを部屋に転送してしまい岸本恵が二人存在することになりました。
なお、コピーされた岸本がねぎ星人のミッションを終えて自宅に戻ると自分が生きていることを知り家を飛び出すことになります。
その後、玄野計とともに実家で何気ない生活を送るオリジナルを確認しに行っており、自分が二人いるという現実を割り切るようになりました。
玄野計と加藤勝との関係性
自殺後、ガンツに転送された岸本は理解が追いつかないまま黒い玉の部屋でヤクザに暴行される寸前でしたが、加藤勝に救出されたことで彼に好意を抱きます。
ネギ星人討伐後、帰宅した岸本は自分のオリジナルが生きていたため戸籍と帰る場所を無くしてしまいますが、学生服を貸してくれた玄野計の上着ポケットから彼の学生手帳を見つけて彼の住所を知ると、しばらく浮浪生活を続けた後に彼を頼ることにしました。
なお、頼む際に「あたし飼ってくれないかな?」と恐る恐る頼むと、玄野は興奮気味に即承諾。
そのため、ネギ星人編終了後からは玄野と同棲しますが、自分が二人いる現実を受け入れるとこれからは自分の思うままに生きられると前向きにとらえ、運命を感じる加藤勝への好意を固めるのでした。
田中星人編では、加藤がピンチになると体を張る度胸を見せて北条らと共闘し星人を撃退。ミッション終了後は加藤家の事情を知り日に日に加藤に想いを馳せますが、玄野の反感を買うことになり、都合よく利用されている不満を爆発させた玄野に負い目を感じて部屋を出て行くことに。
あばれんぼう星人おこりんぼう星人編では、加藤に玄野と同棲することになった経緯を説明(オリジナルのことは伏せている)し、玄野よりも本当は加藤を頼りたかったと告げたことで玄野とは壁を作るきっかけに。
しかし、星人と奮闘する最中、大仏に玄野が捕まったときなどは彼の身を案じていたことから本心では玄野自身を嫌っているわけではなく、それ以上に加藤に想いを寄せているだけの模様。
「加藤君は殺させない」
加藤への熱い想いはあばれんぼう星人おこりんぼう星人編で最高潮になっています。
岸本恵の死亡
岸本の死亡が描かれたのは単行本7巻第77話『告白』。
あばれんぼう星人おこりんぼう星人編の終盤、レーダーに映る反応を見て残り2体と考えた加藤たちは二手に分かれて残りの星人を討伐しに向かいますが、北条チームが相対したのは千手観音像であり、二人は今回初参加となる男二人を逃がした後に千手観音に敗れて死亡。
そして、加藤チームは北条たちが逃がした男たちから応援要請を受けて駆け付けるものの、すでに北条たちは死亡しており、加藤は慟哭。そして、加藤は千手観音に向かってXガンを撃ち放つものの、被弾した千手観音は傷を修復し水瓶から強酸を放ちます。
その直後、岸本は加藤の前に躍り出ると加藤を庇うように千手観音に背中を向けて強酸を浴びてしまうのです。
そして、加藤が目の前の光景に唖然としていると岸本の胴体は強酸で分断されることになり、下半身は倒れてしまうのでした。
また、加藤は涙を流しながらも岸本の上半身を強く抱きしめています。
岸本の告白とキス
加藤を庇い強酸を浴びた岸本は上半身と下半身を分断されてしまいますが、即死はしていません。
そのため、加藤と抱き合う最中で「好き…加藤君…す…き…」と最後の力を振り絞って告白をしています。残念ながら告白の直後に岸本は息を引き取ったのか反応が無くなっており、加藤は膝から崩れ落ちると愛おしそうに岸本に頬を当てて号泣しました。
しかし、加藤は最後に事切れた岸本にキスを交わすのです。
そのため、岸本からしてみれば最期に告白ができて、死後は想い人とキスを交わすことができたわけですので、死亡した登場人物の中では報われたほうではないでしょうか。
なお、岸本の死後、玄野計が千手観音に敗れたため一旦退避する判断でお堂を離れることになり、加藤は岸本の上半身をそっと置いて立ち去っていますが、後ろ髪をひかれるようにお堂を出る前にもう一度岸本へと振り向いています。
また、加藤がもう一度お堂に戻った際には「ごめん…」と告げています。
岸本恵の死亡が与えた影響
岸本が強酸を浴びて胴体が分断された直後、玄野計は泣いて雄叫びながら千手観音像へと飛び掛かりますが、返り討ちにされてしまいます。
その最中、玄野は左足と右腕を失う痛みよりも岸本と過ごした日常を思い返しており、千手観音像への復讐心を持たしていました。
しかし、お堂から撤退後は自暴自棄になっており、加藤に「殺してくれ」と懇願しています。
一方で加藤勝は千手観音像と殴り合いの一騎打ちになる最中に一度心がくじけそうになりますが、自分を生かしてくれた岸本恵の姿を想起し再び奮起するなど、岸本の存在は生きる動力源になりました。
岸本恵はなぜ退場した?
GANTZ MANUAL収録の奥浩哉先生インタビュー曰く、担当編集に早い段階で殺していいのか?と言われたそうです。
しかし、奥浩哉先生はキャラクターの生死は即興で描いているらしく、加藤勝というキャラクターの死に場所が見えた段階で岸本恵もセットで死ぬしかないと考えたそうです。
つまり、加藤勝の退場が決まった段階で岸本恵の退場が決定した模様。
岸本恵の復活
単行本18巻第219話では、オニ星人後に100点を獲得した風大左衛門が点数の使い道を玄野計に委ねており、玄野は生き返らせたい人物として岸本恵と桜岡聖を想起されていますが、ここでは結局再生されていません。
しかし、単行本37巻370話、カタストロフィ編で玄野たちが真理の部屋の神星人と対峙した際、神星人が人間は只の物質でしかないと見解を述べたところ、玄野や加藤たちは人間には感情があり命には価値があると主張。
が、神星人は人間が只の物質に過ぎないことを証明するべく、加藤と玄野の大切な人(岸本恵、下平玲花、桜丘聖、鈴木良一)を生き返らせるのでした。
生き返った岸本は「ここ…天国?生きているの?あたし…」と千手観音像の強酸を浴びた直前の記憶止まりで困惑しつつも、加藤勝との再会を喜び胸元に頭を埋めます。
しかし、生き返ったのも束の間、神星人が己の主張を証明すると宣言すると、玄野と加藤は必死に取りやめることを懇願。
加藤の権幕を見た岸本は一気に不安な面持ちになりますが、次瞬、神星人によって生き返った四人は分解されて殺されてしまうのでした(その場に骨と臓物と大量の血痕を残して死亡)。
なお、加藤は直前まで岸本を抱きしめていた腕から彼女が居なくなると声にならない声を上げて悲しんでおり、直後に玄野計まで殺された加藤は泣きながら神星人に掴みかかろうとしますが、仲間に取り押さえられて事なきを得ました。
とはいえ、岸本の二度目の死亡はかなりエグイ死に方です。
岸本恵のその後
真理の部屋にて神星人は人間が死ぬとき約21グラムの情報が分離し異次元に移動すると説明しています(いわゆる輪廻転生説)。
約21グラムの情報(魂)は死亡後に同じ次元の違う個体に入り、またその個体が消滅すると異次元に移動し、同じ次元で関係ある者同士永遠に関係が続いていくと言います。
そして神星人曰く、岸本恵は2ヵ月後にアメリカの女性の個体として生まれる下平玲花の子供として生まれる玄野計の妹として新たに生を受けるそうです。
つまり、カタストロフィ編の2ヵ月後に下平玲花がアメリカ人女性として誕生し、その20年後に玄野計が彼女の子供として誕生。その2年後に岸本恵は玄野計の妹として誕生するのです。
もちろん、前世の記憶などはないでしょうが、レイカと玄野と岸本は来世で家族になるようですね。
岸本恵のオリジナルのその後
岸本恵のオリジナルは割と何度か登場しています。
単行本8巻第91話では、羅鼎院で玄野以外が全滅。独りになった寂しさを抱える玄野は、ふと岸本恵がもう一人存在することを思い出すと、彼女の自宅に赴き接触を図ります。
とはいえ、オリジナルの岸本とは面識がないため結果的にナンパのような格好になりますが、存外ナンパが成功しそうな勢いでした。が、玄野が下の名前が『ケイ』で岸本と同じあるとポロっとこぼしたことでストーカー認定されることに。
彼女と似ている子と一緒に暮らしていたが死んでしまったと泣きながら訴えますが、最終的には「そんなわけないじゃん、気持悪ッ」と拒絶されるのでした。
また、単行本26巻第285話では、加藤勝が駅で岸本恵のオリジナルとすれ違うと、羅鼎院での出来事を回想。思わず岸本を見つめていると不審に思われて逆に声を掛けられてしまいますが、加藤は気恥ずかしさを抑えながら岸本をナンパする形になりオリジナルと知り合いになります。
しかし、その後加藤と親交が続いているのかは一切不明。
最後の登場は単行本37巻第378話のカタストロフィ編終盤。巨人族の英雄イヴァ・グーンドとの戦いを繰り広げる玄野計の様子が中継されており、街中に設置されている大型ビジョンで戦いの様子を見ている岸本恵のオリジナルの姿が確認できます(恰好からしてカタストロフィ編では巨人族の生体兵器に拉致された形跡はないと思われます)。
台詞は「玄野…計…」と呟くだけですが、おそらくあばれんぼう星人おこりんぼう星人編後に玄野が彼女に接触した際に名前を名乗っていたことから同一人物と気が付いた様子。
また、玄野計がイヴァ・グーンドと接戦している際には群衆と同じく握り拳をつくって玄野を応援していますが、それ以降の登場はありません。
最終的に玄野計がイヴァ・グーンドに勝利したので、岸本恵のオリジナルは普通の生活を送っているのではないでしょうか。
まとめ
- 岸本恵は三度目のミッション・あばれんぼう星人おこりんぼう星人編で加藤勝を庇い千手観音の強酸を浴びて死亡(上半身と下半身分断)する
- 岸本恵は死ぬ直前に加藤勝に告白して事切れる
- 加藤勝は最後に事切れた岸本恵にキスをして別れる
- 岸本恵はカタストロフィ編で神星人に復活させられるが『人間が只の物質に過ぎないことを証明』にその場で再び殺される
- 岸本恵の魂は2ヵ月後にアメリカの女性の個体として生まれる下平玲花の子供として生まれる玄野計の妹として新たに生を受ける
- 岸本恵のオリジナルはカタストロフィ編の被害に遭わず(本人は無事だが家族は不明)に大型ビジョンで戦いの様子を見ているため、その後も生存している
第一話から主人公・玄野計と準主人公・加藤勝のヒロインとして登場した岸本恵ですが、早々にミッションで命を落としました。
岸本の存在は玄野と加藤にとってかけがえのないものになりましたが、やはりオリジナルが存在しているため、神星人に一度は復活させてもらうもののすぐに死亡するなど甘くありませんでしたね。
せめて、加藤に告白した返事だけでも聞かせてあげられたらと思いますが、カタストロフィ編ではすでに加藤には山咲がいるので、玄野と桜岡のように色々と察してもらうのも苦行かもしれません。
とはいえ、加藤はオリジナルの岸本とその後どうなったのでしょうか。
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