漫画『だがしかし』は2014年30号から2018年20号まで週刊少年サンデーで連載された駄菓子をテーマにしたコメディ作品です。
本作は、駄菓子屋の息子である鹿田ココノツの下に突然現れた大手菓子会社・枝垂カンパニーの社長令嬢の枝垂ほたるによって物語が始まり、多くの駄菓子を紹介してきましたが、「ココノツの夢」「ココノツの恋愛」「シカダ駄菓子の跡取り」などの要素を含んでいます。
では、最終回でそれらの要素はどのように着地したのでしょうか。
今回は『だがしかし』の最終回で「ココノツの夢」「ココノツの恋愛」「シカダ駄菓子の跡取り」の三つの要素がどのように解決したのかご紹介したいと思います。
◆ この記事で紹介する内容は? |
『だがしかし』の最終回は?
引用元:コトヤマ『だがしかし』 出版:小学館
だがしかしの最終回は、作中時間で約一年経過した二度目の夏を舞台に終了しています。
最終的に、
- ココノツの進路
- シカダ駄菓子の跡取り
- ココノツの恋愛関係
の三つを一先ず解決した後、三年生となったココノツが店番をするシカダ駄菓子にほたるが久しぶりに訪問するコマで完結しました。
「ココノツの夢(進路)」の結末
物語が劇的に動き出したのは11巻183話。
ココノツは将来の進路において、「駄菓子屋の跡を継ぐ」か「ほたるの会社に雇われる」か「漫画家になる」かの三つの選択肢で悩んでいましたが、「漫画家」に関してはこれまでに良い成績を残せなかったため諦めていました。
しかしある日、ココノツの携帯に去年漫画を持ち込んだ担当編集者・原林から連絡が入ると、ココノツの漫画が『奨励賞』を獲得したと報告されます。原林が連絡した理由は、奨励賞の賞金の振込先や書類の送付、そして今後の話についての相談でした。
こうしてココノツは将来において『漫画家の道』を選択肢に取り入れられるようになると、ほたるに報告し『ほたるの会社の副社長』ではなく『漫画家』の道を選ぶことになります。
とはいえ、最終回の段階ではまだ学生のため漫画家になるにはこれからということになります。
「シカダ駄菓子の跡取り」の結末
漫画家の道を目指すことに決めたココノツは、父親と話し合った末に九代目を継がない意思表明を行いました。
父親のヨウはココノツが駄菓子屋を継がないと宣言した段階で「父さんなんかここで孤独死すればいいって…」と茶化しますが、ココノツの漫画家への道を応援。ココノツの漫画が初めて掲載された雑誌を購入しており、本人の前で批評するなどちょっとばかり意地悪をします。
そして、問題の「シカダ駄菓子」の行く末ですが、最終回ではシカダ駄菓子のアルバイトである尾張ハジメが仮店長となっており、ココノツの変わりに『店長(仮)』と書かれた吊り下げ名札を掛けて店番をしています。
ハジメはこれまで通り店番や宅配仕事をしながら町の人達と交流していますが、今後本当に「シカダ駄菓子」の経営を引き継ぐのかは最終回時点では不明となります。
「ココノツの恋愛」の結末
結論から述べると、ココノツの恋愛関係については誰と付き合うかなどはっきりしないまま完結しています。
ココノツに明確にアプローチしているのは「遠藤サヤ」、若干まんざらでもない感じなのが「尾張ハジメ」、そして恋愛的にどう感じているのかまったく読めないのが「枝垂ほたる」です。
しかし、11巻178話のバレンタインデー回では、サヤはココノツにチョコレートを渡しますが『ココノツが好きなのはほたる』と自覚しながら「もうしばらくは誰のものにもなんないでよね」と半ば諦めているような発言をしています。
ハジメに関しては、11巻179話で大雪の中車に閉じ込められた回、ココノツは距離が近ければドキドキするなどを打ち明けハジメの無防備なところを注意しており、ハジメも些細なことで自分が『変な意識の仕方』をしていたことを自覚。この二人の距離感は『家族』として片づけていますが、ハジメの本心はやや不明なところです。
一方で、ほたるに関しては作中でココノツが自分のことをどう思っているのか──と質問するほど執心しており、第三者からしてもほたると話している時のココノツの表情は一目瞭然でした。また、最後まで明確な答えが出ないままで終わるかと思いきや、ほたるから『結婚』の提案がされています。
ココノツは『結婚』について答えを出していませんが、最終回時点でココノツが意識している相手はほたるであることは間違いないようです。
ココノツとほたるの分岐点
一度、夏が終わるタイミングでココノツたちの前から姿を消したほたるでしたが、数ヵ月後に戻ってくると枝垂カンパニーを継がずに自分の会社を設立することを宣言し、経営に必要な人材としてココノツを勧誘しています。
この段階ではココノツの返事はいつでも待つと言っていたほたるでしたが、単行本10巻170話にて、8月にほたるの父親が枝垂カンパニーの代表を降りることが決定したため、ほたるは8月までに枝垂カンパニーを継ぐか自分の会社を立てるかを決めなければならなくなりました。
ココノツはほたるがまた居なくなると早合点し「僕は…ずっとほたるさんにいてほしいです」と告白じみたことを言いますが、ほたるは自身が置かれている状況を話した上で、もしもココノツが一緒に来てくれた折にはもう一度同じ言葉を聞かせて欲しいと言っています。
ほたるがタイムリミットを設けたことでココノツも8月までには自分の進路を決めなければならない状況に立たされてしまうわけですが、ココノツは奨励賞を獲得したことで漫画家への道が切り開かれると、シカダ駄菓子を継ぐでもなく、ほたるの会社に行くでもなく、漫画家を目指すと決意。
ココノツが返事を伝えると、ほたるはココノツの夢を応援するとともに8月を待たずして立ち去ることになりました。
ココノツとほたるの別れ
ココノツとの交渉決裂後、ほたるはしばらくの間は自分の会社を作らず枝垂カンパニーで父親の手伝いをするため帰省することになります。
一方で、ココノツはほたるとの接点がなくなったことで『駄菓子と関係ない自分にはほたるは興味ない』と凹んでしまいますが、サヤにほたるはココノツの夢の邪魔になりたくないから自分がいなくなることを選択したと諭されたため、ほたるが町を去る直前に別れの挨拶をするため会いに行きます。
ほたるは自分の目的のためにココノツたちの人間関係や空気感を無暗に変えてしまった罪悪感から元の状態に戻すために黙って立ち去ろうとしていたことを打ち明けると、サヤに言われた通り、ほたるが自分のために去ろうとしていることを知りココノツは激怒。
いつものように自分の目的優先で考えた結果の行動でココノツに興味をなくしたからほたるは帰るのだと思っていたココノツは、面と向かって「元になんか戻れるわけがない」と叫ぶと、これまでの不満をぶちまけながらもほたるが自分勝手な人だったから自分も前に進めたと告白。また、「最後まで好き勝手なことを言ってまた会いに来て欲しい」と思いの丈をぶつけると、以前預かっていたアイスのアタリ棒を返却。
そして、ほたるがアタリ棒を受け取ると、ココノツは新品のアイスを差し出し交換。ココノツはこのアタリ棒を見てほたるを思い出しながら漫画活動を頑張るから、ほたるも会社を頑張って欲しいと伝えます。
ほたるは笑みを浮かべながらアイスを頂きました。
ほたるからココノツへプロポーズ?
バスが到着するまでの傍ら、二人はバス停で枝垂カンパニーについて会話。
枝垂の跡継ぎ問題に関しては、ほたるの兄である紅豊も後継者候補ですが、父親はほやると紅豊の兄妹の二人で会社経営を引き継いでほしいという意向。しかし、父親は寂しいながらも紅豊を一人前の大人と認めており、コンビニ経営を許容しています。
紅豊が独立の道を進んでいる手前、自分くらいは父親の元に残ってあげなければ…という思いからほたるはしばらく父親の会社を手伝う覚悟ですが、逆に言えば父親がほたるを一人前の大人として認めれば自由にできるという意味にも捉えられるのです。
紅豊が一人前の大人として認められているのは自分の店を持ち結果を出しているからですが、ほたるの場合は8月までに出店し収益を得るなどの時間がありません。
そのため、ほたるが第二の案として上げたのが『結婚』でした。つまり、結婚すれば名実ともに一人前の大人であり、嫁に出るという意味も兼ねて枝垂カンパニーを継ぐ必要がないというわけです。
『結婚』の二文字を聞いたココノツはもっともだと言わんばかりの表情で考えに耽りますが、冷静になるとほたるの結婚の可能性を捉えて驚愕。
しかし、ココノツがハッと顔を上げたところでほたるは「ココノツくん、私と結婚する?」と真顔で切り出すのです。
が、間が悪いのかほたるが結婚を切り出したタイミングでバスが到着すると、ほたるは颯爽とバスへ向かいます。突然の展開に当惑するココノツでしたが、ほたるは「次までに返事は決めといてね、本気だから」と笑顔で告げると、今しがた食べたアイスの棒を投げ渡します。
ココノツがアイスの棒を見ると何とアタリ。
ほたるは自分は忘れっぽいからアタリのアイス棒はココノツが持っててほしいと述べると、嵐のごとくバスに乗ってココノツの前から去っていくのでした。
ココノツとほたるは結婚する?
先に述べている通り、本作は三年生となったココノツが店番をするシカダ駄菓子にほたるが久しぶりに訪問するコマで完結しているためココノツとほたるの関係がどうなったのかは分かりません。
しかしながら、ほたるは期限を決めなければココノツはいつまでも答えを先延ばしにするタイプと知っているため今回も『次までに』というタイムリミットを設けており、最終回でシカダ駄菓子を訪れているということは『答え』を聞きに来たということでしょう。
最終回でほたると再会したココノツの表情が比較的爽やかな感じであるため結婚の返事は前向きではないかというのが個人的な印象です。
しかし、法律上18歳になれば高校生でも結婚はできますが、ココノツには漫画家になる夢があるため、もしほたるとの結婚を受け入れれば会社経営と漫画家の二足の草鞋を履くことになります。また、跡取り問題の解決のために交際を飛ばして本当に結婚するのかという問題もあるため、最終回の時点で結婚を承諾するというのはいまいち予想できません。
ほたるに8月までという期限がなければいつかは結婚しそうな二人ですが、最終回時点でココノツが結婚を受けるのかどうかはわからないのが現状です。
まとめ
「だがしかし」の最終回とココノツの進路・跡取り・恋愛の結末のまとめ
- 「だがしかし」の最終回
- 三年生となったココノツが店番をするシカダ駄菓子にほたるが久しぶりに訪問するコマで完結
- 「ココノツの夢(進路)」の結末
- ココノツの漫画が『奨励賞』を獲得
- 担当編集者から連絡が入り本格的に漫画家の道が見えてくる
- シカダ駄菓子やほたるの会社の話を断り『漫画家』の道を選ぶ
- 「シカダ駄菓子の跡取り」の結末
- 漫画家を目指すため九代目を継がない意思を示す
- アルバイトの尾張ハジメが仮店長になる
- 父親はココノツの夢を応援する
- 「ココノツの恋愛」の結末
- ココノツの恋愛関係については誰と付き合うかなどはっきりしないまま完結している
- ほたるは父親が一人前の大人と認めれば枝垂を継がなくても済むとしてココノツに「結婚」を打診する
- 結婚の返事は「次までに決めておいて」と言って別れる
- 最終回でほたるとココノツは再会するが返事の前に完結しているため答えは不明
『だがしかし』の最終回は、再び去っていったほたるがシカダ駄菓子に戻ってきたところで終了しています。
しかし、ほたるは去る前にココノツに『結婚』を打診しており、その返事は『次に会うまで』と約束しているため、最終回で再会した際にココノツは結婚の返事をしていることになります。
ココノツは高校三年生になっているため誕生日次第では年齢も18歳を迎えていても不思議ではありませんが、果たして本当に結婚を受けるのでしょうか。
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だがしかし 作者:コトヤマ |
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だがしかし 11巻 作者:コトヤマ |