猫猫が外廷勤務になった際に登場した長身の官女、翠苓。
彼女は薬と毒に精通し、壬氏暗殺に繋がる数々の事件に関与した挙げ句、一度死んで蘇り姿を晦ますという大胆不敵な行動を宮中でやってのけた素性の知れない人物です。
猫猫の好奇心を刺激する翠苓とは果たして何者なのでしょう。
今回は翠苓の正体についてご紹介したいと思います。
この記事で紹介する内容は?
- 翠苓の正体
- 翠苓の祖父、祖母、母親、父親、異母姉妹、いとこ、薬師の師について
- 翠苓の本名
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翠苓(すいれい)とは
引用元:原作・日向夏 / 作画・ねこクラゲ『薬屋のひとりごと』 出版:スクウェア・エニックス
翠苓の初登場は猫猫が壬氏に身請けされて外廷務めになった時期であり、外廷(軍部)の官女になります。
背が高くさっぱりした顔立ち(素材は一級品だが化粧が簡素)をしており、性格は猫猫と同系統の無気力さが見え隠れ。詰所の常備薬を受け取りに医局に通っているため、彼女からは薬草の匂いが微かにします。
とある医官が『本来なら官女なんてやらなくてもいいのに…』と口を滑らしたことをきっかけに、猫猫は翠苓に疑問を持つようになりますが、面倒事には首を突っ込まないよう心掛けているのですぐには詮索しませんでした。
なお、翠苓からは「あなた薬師って聞いたけど、どれほどの腕前なのかしらね」とあからさまに挑発する物言いをしており、猫猫には『蘇りの薬』と『朝顔』というヒントを与えていました。
宮廷では壬氏暗殺に繋がる事件の全てに関与していたものの、証拠を集め刑部の官たちが乗り込むも、すでに翠苓は毒をあおって自害。死体は棺に入れられ、死後は罪人として火刑を受ける予定でしたが、『蘇りの薬』による仮死状態から息を吹き返して失踪するのでした。
翠苓の正体は先帝の孫
翠苓の正体は先帝の孫娘です。
しかし、その高貴な血筋は誰にも知られることがなく、先帝自身も公で否定しています。
かつて安氏が男児を出産するより以前、先帝に目を付けられて入内した幼い妃たちに応じて後宮は拡大。その際、最初の犠牲者となる幼い女官との間のできた子供が翠苓の母親になりますが、当時先帝は女児を産んだ女官のことを知らないと否定するばかりか、女児を女官と医官の子と認定し、女児と医官を後宮から追放したのです。
そのため、公には女児の父親は先帝ではなくその医官ということになっており、女児と父親は追放されました。
神美が翠苓の血を舐めとって『高貴な血を引いていても──』と口走っていたのは先帝の孫娘だからです。
なお、この出来事をきっかけに後宮で妃に立ち会う医官は去勢を義務付けられるようになり、羅門も安氏の出産に伴い去勢させられています。
翠苓の祖母『大宝(たいほう)』
猫猫が桜花の付き合いで後宮北側に位置する古びた棟に夜中訪れた際、小さな行燈を頼りに十名ほどの女官を集めた怪談話が行われました。
その時に出迎えたのが年嵩のいった女官であり、その棟は先帝の時代に使用されていた場所。
狭い部屋で火鉢を使用していたため猫猫たちは危うく一酸化炭素中毒になる寸前でしたが猫猫が気づいたところで換気が行われて難を逃れます。しかし、年嵩の女官は「…ああ。もう少しだったのに」と惜しむような声を漏らして姿を晦ますのでした。
実はこの女官は先帝のお手付きだった女官であり、晩年は怪談話を集めるのが唯一の楽しみだったといいます。つまり、すでに故人──。
その女官の名前は大宝(タイホウ)。
後宮にある先帝の時代の女官たちの墓の一番手前に墓が建てられており、今でも診療所の深緑などが墓参りに訪れています。なお、大宝が死亡したのは怪談話が行われた回から数えて一年前。
しかし、閉じ込められた後宮の中で一人死んでいった大宝には身内は誰もいなかったとされていますが、ただ一人、宮中の医官との不義によって生まれた娘がいると記録されているのです。
作中では壬氏が大宝に辿り着くことで、彼女こそが先帝の最初の犠牲者であり、産んだ子供は不義を疑われた医官とともに追放された女児の母親だと突き止めした。
つまり、大宝が翠苓の実の祖母だったのです。
楼蘭曰く、猫猫、桜花、楼蘭が参加した際に窒息しかけたのは神美が彼女の娘や孫に惨い仕打ちをしたために娘の楼蘭が憎かった祖母の仕業ではないかと述べています。なお、猫猫は幽霊否定派なので否定しています。
翠苓の母親
翠苓の母親は先帝と大宝の娘になります。
名前は未登場。
子昌が後宮を追放された不義の娘(大宝と先帝の娘)と医官を匿っていましたが、後に娘を追放した罪悪感に駆られた先帝は子昌の手引きで何度か会いに訪れており、娘が適齢期になった頃に子昌に娶ってくれないかと頼み込み、子昌と娘は結婚しました。
しかし、子昌が子の一族の家督を継いだのをきっかけに後宮へ入内した子の一族本家の出自である神美を置いておく必要性がなくなったため、神美は先帝に一度も手をつけられることも見向きもされることもなく後宮から子昌の元へ下賜されることに。
プライドを傷つけられた神美の恨みは先帝や後宮へと向けられる一方、恨みの矛先は先帝の娘や孫である翠苓の母親と翠苓に向くことになり、翠苓と翠苓の母親は屋敷を追い出されると同時に使用人のようにこき使われ、挙げ句、翠苓の母親は神美にいびられて死んでしまうのでした。
翠苓の父親『子昌(ししょう)』
翠苓の父親は子昌です。
先帝は赤子(翠苓の母親)を後宮から追い出した罪悪感からたびたび赤子と医官を匿った子昌の手引きで顔を出しに訪れており、赤子が適齢期になった頃に子の一族の家督を継いだ子昌に娘を娶ってくれないかと頼み込んだのです。
女帝の信頼が厚く、自分のことに親身になってくれる子昌は先帝にとって理想の婿であり、子昌は先帝からどんな願いも叶えるからと頼み込まれて断ることができず、結婚を承諾します。
先帝にとっては、子昌が自分の娘を娶り、その間にできた子供に子翠と『子』のつく名前が与えられたことは大満足だったそうです。※翠苓の本名については後述で解説。
翠苓の異母姉妹『楼蘭(ろうらん)』
翠苓と楼蘭(子翠)は異母姉妹であり、翠苓が姉になります。
楼蘭の翠苓の呼び方は「姉さま」。
神美が翠苓を憎んでいるため、実家で翠苓を姉として扱うのは楼蘭のみであり、二人きりのときは普通の姉妹のように接しています。猫猫から見ても仲の良い姉妹にしか見えないとのこと。
楼蘭は翠苓と仲良くなりたくて何度も下女の姿で翠苓のもとを訪れていましたが、神美は化粧を落とした下女姿の楼蘭に気付かず翠苓同様に下働きさせるほか、何度も折檻されたそうです。
しかし、神美の目がある場所では翠苓と楼蘭は侍従と主人としてふるまっており、公では「楼蘭さま」と呼んでいる模様。
翠苓と神美の関係
本来、翠苓の母親と子昌のほうが先に結婚して翠苓を産んでいたため、翠苓の母親が子昌の正妻になるはずですが、元々子の一族本家の血筋である神美と子の一族傍系の子昌は婚約関係にありました。
しかし、神美が後宮に入内。一方で子昌は神美との結婚が途絶えたため、今後結婚する意志はありませんでしたが、先帝から吾子を頼まれると、後宮を追放された女を保護し匿うことになります。
そして、女が生んだ娘が適齢期を迎えると子昌は先帝に頼まれてその娘と結婚。そうして翠苓が誕生します。
ですが、女帝が危惧していた子の一族の家督が子昌に譲られたのをきっかけに神美を後宮に置いておく必要性が皆無となり、神美は先帝に一度も手をつけられることもなく子昌に下賜されることに。
それによって神美はプライドを傷つけられた恨みから先帝を恨んでいましたが、先帝が崩御したあとはその怒りは後宮へ向けられていると推測されており、神美はクーデターを企てていました。後宮から戻ってきた時には子昌と婚約していた当時の性格とは別人のように歪んでしまっていたとか。
そのため、疎ましい幼い翠苓を母親とともに屋敷から追い出すと使用人のようにこき使い、折檻は当たり前、翠苓の母親に至っては虐めぬいて死なせています。
楼蘭とは異母姉妹ですが、同じ子昌の子供でも、楼蘭は蝶よ花よと育てられ帝の花として献上されるのに対し、翠苓は宮中で事件を起こして暗躍する駒として使われているのです。
翠苓は壬氏の従姉妹
壬氏の素性が皇弟ではなく現皇帝と阿多の息子である以上、先帝の孫娘である翠苓と壬氏は従姉妹になります。
なお、壬氏は自分の出生を知らないためこのことを知りません。
翠苓の薬師の師
翠苓の薬師の師匠は不義を疑われて大宝の娘とともに後宮を追放された医官です。
翠苓が薬に詳しいのは元医官に育てられたからですが、その医官は『不老の妙薬』の研究の段階で『蘇りの薬』の実験を行い、自分で服用し死亡したと言われています。
しかし、実際には翠苓と同じく蘇って生存しているものの、話すらできない状態であるそうです。
翠苓の本名は子翠
翠苓の本名は子翠(シスイ)です。
かつて、後宮から戻ってきた神美は翠苓の存在が疎ましいほか、名前に一族を現す文字が入っているのを嫌い名前すら奪い取ったそうで、あてつけのように生まれた自分の子(楼蘭)の幼名として使用しました。
そのため、現在では楼蘭が偽名として『子翠』を名乗っているので、本作で子翠と言えば楼蘭を指していることになります。
まとめ
- 翠苓の正体は先帝の孫娘
- 翠苓の祖父は先帝、祖母は一年前に亡くなった女官・大宝
- 翠苓の父親は子昌、母親は先帝と大宝の娘
- 翠苓と楼蘭は異母姉妹
- 翠苓の薬の師は、女児と一緒に追放された医官
- 先帝の孫である翠苓と壬氏はいとこにあたる
- 翠苓の本名は『子翠(シスイ)』だが、神美に子の一族の『子』が使われたことを疎まれ名を奪われた
謎の官女翠苓の正体は、かつて先帝に不義の子として追放された女児と子昌の娘であり、先帝とその最初の犠牲者である大宝の孫娘でした。
翠苓の薬と毒の知識は女児の父親として一緒に追放された医官から教わったものであり、翠苓は猫猫と同じように元医官によって育てられたため薬と毒に精通していました。
先帝の孫娘であるため高貴な血筋には間違いありませんが、このことは一部の者しか知らないほか、翠苓と壬氏がいとこであることは壬氏も知りません。
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薬屋のひとりごと 著者:日向夏 |
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