2012年に公開された細田守監督の2作目の映画『おおかみこどもの雨と雪』。
本作はおおかみおとこと恋に落ちた大学生の主人公・花と、二人の間に生まれたおおかみこどもの雪と雨の成長と生き方の選択を描く物語です。
これまで5回ほど金曜ロードショーで放送された作品であるため大体の方は内容をご存知だと思いますが、本作の結末やその後が気になる方もいるかと思います。
今回は「おおかみこどもの雨と雪」の結末・小説や漫画の違い・その後についてご紹介したいと思います。
「おおかみこどもの雨と雪」のあらすじと結末
「おおかみこどもの雨と雪」のあらすじ
引用元:細田守『おおかみこどもの雨と雪』 製作:スタジオ地図
おおかみこどもの母親である花は、夫となるおおかみおとこの死後、雪と雨が人間かおおかみか選べるように二人が幼少の頃(5歳と4歳の頃)に田舎暮らしを始めました。
翌年には雪が小学校に入学しその翌年には雨も小学生になりますが、雪は普通の女の子はアオダイショウを腕に巻きつけたり小動物や爬虫類を宝箱に入れたりしないと知って恥ずかしさからお淑やかになることを目指し、雨は環境に馴染めず二年生の頃には図書室に入り浸るようになると三年生に上がった頃には学校をサボり花の自然観察員の仕事に就いていくようになりました。
雪は四年生の頃に転校してきた草平に「ケモノくさい」と言われたのをきっかけに彼と距離を置いてトラブルに発展しますが、草平からの歩み寄りもあり再び登校を開始。一方で、雨は山で出会った先生(アカギツネ)に山のことを教わるようになると、「もっと強く生きたい」と切望するようになります。雨の心境の変化には自然観察の森に飼われているシンリンオオカミが「自分は森のことを何も知らずに生きてきた。だから教えられることは何もない。野に出なさい。世界を知りなさい」と後押ししてくれたことがきっかけでした。
しかし、草平を傷つけてしまったことから二度とおおかみにならないと決め人間として生きようとする雪と、先生の下で森を知り山を知り狩りの仕方を学ぶ意欲を見せる雨とでは《人間》か《おおかみ》かで意見の対立を生む結果となります。
「おおかみこどもの雨と雪」の結末
引用元:細田守『おおかみこどもの雨と雪』 製作:スタジオ地図
物語終盤(雪が6年生、雨が5年生の頃)、夏に記録的な豪雨が発生すると山では多くの動物が豪雨の影響で散っていき、先生も足を悪くして動けなくなり、雨は先生の死期を悟ります。辺りの山をまとめる主である先生の代わりを誰かがしなくてはならないと述べて、雨は山へ入り浸るようになりました。
そして、県内に局所的な集中豪雨が発生した日、雪が通う小学校では午後の授業を取りやめて保護者の迎えが来るまで体育館に集まることになり、連絡を受けた花は雨と共に小学校へ向かおうとしますが、雨は山へ向かってしまいます。花はいなくなった雨を心配して山に入り探すことに。
一方、小学校では他の生徒は皆親が迎えに来て帰ってしまい、残ったのは雪と草平の二人。雪は教室で草平の境遇を聞くと、彼のように本当のことを話しても笑っていられるようになりたいと思い、2年前に草平を傷つけたおおかみは自分であると──おおかみに変身して秘密を打ち明けるのでした。これまで誰にも言えなかった雪の秘密を知った草平は、2年前の時点で雪の正体には気づいていたものの誰にも言わなかった──そして、これからも誰にも言わないと約束します。
一方で、花は雨の捜索に難航し憔悴していると滑落してしまい意識を失います。その際、夢の中で夫であるおおかみおとこと邂逅すると号泣しながら抱擁。そして、雨を探している花に向けて彼は「雨なら大丈夫だよ。もう大人だよ。自分の世界を見つけたんだ。雨も雪も立派に育った。花のおかげだよ。だから、もう心配しなくていいんだよ」と述べます。
場面は現実に戻り意識を失った花を抱き抱えたのはいなくなった雨。雨は花を人里に降ろすと何も告げず立ち去ろうとします。しかし、花が目を覚ましたため、雨はおおかみになって後ろ髪を引かれるように花から顔を背けて走り去ると、山を登り別れの雄叫びをあげます。そんな雨に向けて、花は涙ながらに「しっかり生きて!」と送り出すのでした。
翌年、雪は中学の寮に入るため家を出ていくことになり、花は一人で暮らすことに。寂しさはある一方で、おおかみこどもを12年間育ててきた花は、雪の入学式の日には「まるでおとぎ話みたいに一瞬だった」と笑って語ります。
そして、物語の最後は雪と雨が育った山の中の家で、雪から送られてきた手紙を読んでいる花。時折遠くから聞こえるおおかみの遠吠えに耳を傾けてから夫の仏壇(免許証)に微笑みかける花で締めくくられます。
冷蔵庫の手紙と写真
引用元:細田守『おおかみこどもの雨と雪』 製作:スタジオ地図
雪と雨がいなくなった後、花は一人で山の家で暮らし続けており、二人が過ごした勉強部屋やおおかみのぬいぐるみもそのまま置いてあります。
一ヵ所だけ変化があるとすれば冷蔵庫に貼られた写真や手紙です。
中学の寮に入った雪から定期的に手紙と写真が送られてくるようで、冷蔵庫には中学入学式の雪と花のツーショットや中学の友達と写る笑顔の雪などの写真がマグネットで貼られています。中には体育なのか部活なのかバドミントンをする雪の写真や、教室などの風景写真も。
ちなみに結末で描かれた雪の手紙には夏休みに帰省するという旨の内容や「身長が4cm伸びた」という報告が書かれています。入学時には少し大きめの制服でしたが、もうすぐぴったりになりそうで嬉しいとも書かれています。
当然ながら冷蔵庫には雨の写真が見当たりません(もしくは幼少期の写真はあるがただ描かれていないだけかもしれません)。
「おおかみこどもの雨と雪」の小説と漫画の違いとその後
アニメ映画・小説・漫画の結末の違い
引用元:細田守『おおかみこどもの雨と雪』 製作:スタジオ地図 出版:KADOKAWA
『おおかみこどもの雨と雪』は細田守監督のオリジナル作品であり、細田守監督自身が初めて映画の原作小説を執筆しています。また、月刊少年エースでコミカライズされているため、本作の関連作品はアニメ映画・小説・漫画の三点があります。
そして、それぞれの結末ですが、何れも結末は一緒となります。
雪は人間として小学校を卒業し中学に上がっており、雨はおおかみとして山の中で生きていく道を選び、花は二人を育てた後も家で一人で暮らしています。締めのシーンである雪の手紙・雨の遠吠え・夫の免許証に微笑む花という点も全て一緒です。
厳密に言えば、アニメ映画を基準にすると、小説の方はアニメ映画の範囲内で細かな部分(心理描写や情景描写など)が補完されており、漫画の方は多少端折られた部分があったりするも綺麗で簡潔にまとめられていたりと長所や短所があります。
アニメ映画の方で聞き取れなかったりスローで見返したい箇所があるという方は小説や漫画版で見返すといいかもしれません。
漫画版ではその後が少し描かれる
引用元:細田守・優『おおかみこどもの雨と雪』 出版:KADOKAWA
アニメ映画と小説は免許証に微笑みかける花──で終わっていますが、実は漫画版の最終巻では雪の手紙の『P.S.』部分が数ページ描かれています。
中学へ進学した雪は小学校入学時からの親友である信乃とは相変わらず仲が良く、中学での新しい友達もできているようです。また、本編の写真にも写っていたように、草平とも同じクラスで交友関係が続ています。また、手紙の最後には雨が元気だといいなと弟を心配する言葉が綴られていました。
そして、雪からの手紙を読んでいると何かの気配を感じたのか顔を上げる花。すると、不意に庭に桃が転がってきます。花が最初に先生(アカギツネ)に挨拶した際に渡した桃の対比かと思われますが、おそらく雨からの贈り物でしょう。ただし、顔は見せないようです。
花は桃を拾い上げるとカットして仏壇(夫の免許証)に添えて終わりとなります。
時期的には雪の小学校卒業から半年ほどしか経っていませんが、雪は中学で楽しくやっており、雨も先生の代わりをしっかり務めて生きていることがうかがえます。花もおおかみこどもが二人いなくなった寂しさはあるでしょうが、雪からの手紙や時折聞こえる雨の遠吠えを耳にしては二人が元気に暮らしていることを免許証に語り掛けているように思えます。
まとめ
以上「おおかみこどもの雨と雪の結末・小説と漫画の違い・その後」についての紹介でした。
残念ながら花・雪・雨のその後はどの媒体でも描かれていませんが、漫画版に限り半年後の様子が少しだけ描かれていました。
将来的に雪と草平は付き合うのか、雨は一度も家に顔を出さないのか、花はずっと一人で暮らしていくのか、などなど気になることはたくさんありますが、一先ずはそれぞれが自分の生き方を選択して生きていくということで本作品のテーマとしては綺麗に完結したのではないでしょうか。
個人的には雪と草平の恋愛感情が気になるところです。
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