小説家になろう発の転生ファンタジー『悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。』が2023年7月にアニメ放送されます。
今回は登場人物の一人『ヴァル』について紹介したいと思います。
この記事で紹介する内容は?
- ヴァルのプロフィール
- ヴァルの特殊能力・両親・過去・プライドへの行為など
- ヴァルの小ネタ
- ヴァルがプライドと『隷属の契約』をした経緯と内容
- ヴァルのその後とケメトとセフェクの関係
ヴァルのプロフィール
引用元:天壱『悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。』 出版:一迅社 掲載誌:小説家になろう
【名前】 | ヴァル |
【年齢】 | 24歳(現在) |
【身長】 | 188㎝ |
【誕生日】 | 10月26日(実際は9月4日) |
【職業】 | 元盗賊の罪人→配達人 |
【能力】 | 土壁の特殊能力者 |
【好きな食べ物】 | 肉、酒(特にアーサーの隊長祝いでロデリック達が持ち込んだ酒) |
【苦手な食べ物】 | 無し |
【声優】 | 未発表(※2023年3月現在) |
焦げ茶色の髪と褐色肌、吊り上がった目と牙のような歯をもつ悪人面の男性です。
王族と騎士が嫌い。
年齢に関してはプライドと7歳差ですので、作中の変動はプライドの年齢+7で考えればいいと思います。
ゲームでのヴァルはどんな人物?
乙女ゲーム『君と一筋の光を(キミセカ)』の中では、極悪非道の限りを尽くしたプライドがゲーム終盤で攻略対象者と共に離れの塔に抜け出したティアラを城へ連れ戻させる為に雇った一団に所属する一人。
ゲームではティアラ達の行く手を塞ぐ活躍を見せますが、最終的には他の仲間が全員やられたために自分一人だけ瓦礫のドームに閉じこもることで事無きを得ています。
両親に捨てられてからは犯罪に手を染めており、人身売買や野党に身を落とした背景が。極悪非道なプライドよりかは劣るものの、結構な悪党です。
登場シーンは上述の場面のみであるため、実質モブ。
ヴァルの特殊能力の詳細
能力は『土壁をつくる』ことで、主に土や瓦礫を使って壁の生成を行います。
瓦礫を利用して相手の逃げ道を塞いだり、直系2m、高さ数十mある細長いドームを形成することが可能です。
言い換えれば、瓦礫の壁と自分を守るドーム(シェルター)しか作る事ができないため戦闘に役立つ能力ではないとプライドが分析。
ケメトの特殊能力『能力増強』と併用することで規格外の出力が可能となり、作中では上位の実力に。岩や砂が元の物なら触れるだけで大規模且つ自在に操ることが可能となりました。
また、使い方次第では土壁で人体を包み込むことで捕縛手段にも使えますし、地面を盛り上げて高速で地を滑り出す移動手段に使うこともできます。
プライド曰くジェットコースター移動。
ヴァルの両親は?
母親の名前は『アグライア』で、父親の名前は不明。
母は生まれも育ちもフリージアで、異国から近隣諸国まで渡り歩く商人として訪れた父と恋仲になり、やがてヴァルが生まれます。
国中を渡り歩く父とは物心つくまで片手分ほどしか会ったことがなく、帰国の折に土産代わりの品を置いて行くことから『時々異国の物をくれる人』という認識でした。ただ、父の国の言語の本を一緒に読み聞かせてもらったこともあります。
しかし、ヴァルが7歳の頃に一年以上帰ってこない父を母が見切りをつけ、別の男と恋仲になるとヴァルを下級層へ捨てたのです。
ただ、物心つく頃から母には何もされたことがなく、自分の身の回りのことは自分で大体できていたヴァルは、捨てられても不思議と悲しみはありませんでした。
ヴァルの過去は?
母に捨てられたヴァルはフリージア国の下級層で理不尽な暴力の世界を知る事になります。
特に両親から愛情を受けたこともないヴァルは、それでもこれまで窓の外の国民と父と母のみの世界しか知りませんでした。
しかし、ヴァルにとって肌の色が違う国民が『異質』であるのと同時に、他の人間にとってヴァルは『異質』と知る事になります。
最初は物陰で寝ている時に石を投げられる程度でしたが、同じように汚い恰好をした連中にまで指を指されることもありました。毎日理由もなく下級層の男達に殴られ蹴られ踏まれ唾を吐きつけられたこともあります。
当時『抵抗』することを知らなかったヴァルはされるがままとなり、それが下級層の人間の格好の餌食になったのです。
ゴミを漁りながら辛うじて生き続ける人生の中、ある日、生殺しにされて死ぬと思った時に特殊能力に目覚めると、土壁がヴァルを守りました。
それ以来、この土壁の能力のおかげで雨風にさらされることも、石を投げつけられることも、寝込みを襲われる心配も、布を被って震えることもなくなったとのこと。
やがて成長したヴァルは自分を虐げてきた人間の真似をして自分より弱い相手を脅し、奪う習性を身に付けます。大きな集団や組織に入ることで他の連中に襲われる心配もなくなると、食べ物に困ることもなくなったのです。
そういった生活を続けてここまで生き抜いたのがヴァルの人生になります。
その結果、フリージアを出た後に野盗集団に出会うと、フリージアと隣国の同盟関係に亀裂を入れたいという反対派の依頼を野盗集団が引き受け、フリージアの騎士団との戦いでプライドと出会うストーリーに繋がります。
ヴァルの初恋事情とプライドへの好意
元盗賊時代には、ある程度の金銭や地位を得てからは組織内の付き合いや流れで男女の行為には慣れているそうですが、そこに感情は皆無とのこと。
なお、脅し目的以外で自分から誘った相手はプライドが初めてだそうです。
当初は自分から「アンタなら相手にしてやっても良いぜ?主の命令ならこの俺が色事をイチからイロイロ教えて──」と発言する他、時々セクハラまがいな発言をプライドにして赤面させていますが、時を重ねるにつれて次第にヴァルの方が赤面することが多くなるほど。
作中ではプライドに段々と心を惹かれているのが見え見えとなっており、読み手の方が恥ずかしくなることもあります。
ヴァルの小ネタ
- 『誓いの口づけ』の意味は組織にいた頃に裏稼業や組織の人間が商品や弱者相手にしているのを見て知っていた
- 歌が一番うまい
- 腕相撲に強さは主要キャラ男性陣で9番目(腕力のみ)
- 好きな酒はビール(ラガー)、ラム(ヘビー)、ウォッカ(レギュラー)
- 学力テストを受けたキャラクターの中でヴァルは最下位
- ラス為の現代パロディではヴァルは高校三年生でレオンとアーサーと同じ設定
ヴァルがプライドと『隷属の契約』をした経緯
引用元:天壱『悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。』 出版:一迅社 掲載誌:小説家になろう
4章『外道王女と騎士団』では、隣国との合同練習に出兵したロデリック騎士団長一行は、山間で隣国同盟反対派に依頼された盗賊集団に襲撃されます。
ヴァル(17歳当時?)は盗賊に所属していましたが、当初は優勢だったもののプライドの参戦で奇襲は失敗するどころか大敗。更に崖崩れが始まるとヴァルの能力を知っていたプライドとロデリックに拘束され能力でシェルターを張らされることに。
この戦いでヴァルは生存しますが崖崩れにより仲間は全滅しました。
収束後、ヴァルは罪人として国に連行され処罰を受けますが、女王の意向でプライドにヴァルを裁く権限を与えます。
プライドは、騎士団奇襲は大罪として良くて永久投獄、悪くて処刑だと前置きすると、本件は隣国との同盟に影響を及ぼす可能性があったと考慮し処刑を打診します。
処刑の言葉に目を見開くヴァルでしたが、プライドは続けてヴァルが捕虜にした隣国騎士団(合同練習の相手騎士団)の居場所を知っていれば『隷属の契約』が適用されると述べ、三つの処刑案を提示しました。
- 捕虜のことは知らぬ事実としてこのままヴァルを処刑する
- 隷属の契約を行い捕虜を救出した後にヴァルを処刑する
- 隷属の契約を行えば今後悪行ができなくなるので捕虜救出後にヴァルを解放する
そして、女王がプライドに第一王女として罪人への判断を委ねると、プライドは捕虜の救出で隣国との信頼関係を強固にするとした上で刑罰事態はヴァルの意志を優先することに決まました。
隷属の契約を行った時点で罪を犯すことはおろか国から出る事はできず、不条理な目に遭っても己の力で報復することもできず、いくら殴られても、大事な物を奪われても、相手を殴る事もできない──生き方によっては死よりも辛い地獄が待っているかもしれません。
しかし、ヴァルは屈辱にまみれた表情で「死にたくねえ」と苦渋の決断をするのでした。
その言葉を聞いたプライドはヴァルに隷属の契約をした上で解放に処すことを決定しました。プライドは契約書にペンを走らせるとヴァルと『隷属の契約』を結びます。
隣国騎士団の捕虜解放後は、国から出られないものの解放されました。
ヴァルの『隷属の契約』の内容
隷属の契約には、いくつか自由に条件を付けることができるようですが、ヴァルの場合は初期の内容に加えて度々変動したり付け加えられたりと忙しないものです。
また、隷属の契約はひとえに『犯罪はダメ』と制約しても本人の意識に犯罪の意識がなければ成立しないという背景があるため、一つ一つ厳格に取り決める必要があります。
- 罪を犯してはならない
- 王族やプライドには逆らわない
- 嘘や隠し事をしてはならない
- 敬意を払わなければならない
- 自衛でも暴力を振るってはならない
- 国や王族を裏切ってはならない
- 主(プライド)に許可なく国外へ出てはならない
- 働いて稼いだ金のみを使って生活をしなければならない
- 崖の一件での話は口外禁止
- プライドとヴァルの情報は全て秘匿
- 人に危害を加えないことを条件にプライド達への不敬を許す
- 書状受け渡しに関して中身は見ない
- 他国の代表達には失礼な物言いをしない
- 他国の代表に沈黙を貫く
- 配達任業務の為なら国外に出入りする許可を与える
- プライド、ステイル、ティアラへの態度だけは礼を尽くさなくて良い
※最優先事項
- ヴァルが察知できる緊急事態が起きた場合、ティアラを守る
- ティアラを守るためならプライドの命令に歯向かうことを許可
- ヴァルがもし己ではどうしようもない事態に直面し心から誰かの助けを望む時にプライドの元に来ること
- ケメトとセフェクを守る時の最終手段として、正当防衛程度は認める
- 悪人を捕らえるための能力使用許可
ケメトとセフェクに関する契約については、ヴァルが『配達人』を引き受ける条件として提示しプライドが認めました。
解放されたヴァルのその後は?
再登場は小説家になろう9章『惨酷王女と罪人』、書籍2巻収録。
ヴァルは『隷属の契約』を済ませた後、盗賊が捕らえた他国の捕虜を騎士団と共に救出すると、契約という縛りはあるものの解放されて自由の身となりました。
そして、行く宛てのなかったヴァルが一先ず昔の住処に戻ると、何とそこには下級層の見知らぬ子供が二人住んでいたのです。(後にヴァルが名前を命名してセフェクとケメトと名乗る)
勝手に住み着いていた二人は危害を加えられないヴァルの側が安全だと学ぶと、常にヴァルの側にくっついて回るようになり、気づけば4年も共に過ごしていました。
ある日、ヴァルが仕事から戻ると、ケメトとセフェクが鎖を使う特殊能力者に捕まっている現場に遭遇し、ヴァルは思わず声を荒げて対峙します。しかし、隷属の契約により何も出来ずにやられてしまうと、二人を人身売買の連中に連れて行かれるのでした。
そんなヴァルに向けて人身売買の連中は去り際に二人を解放する条件として『二日後の夕暮れ時までに身代わりの5人を用意すること』を伝えます。ですが、ヴァルは隷属の契約により犯罪に手を染めることができないため、救出は絶体絶命に。
鎖を使う特殊能力者にこっぴどくやられたヴァルは二人を連れて行かれたことに絶望し絶叫しますが、同時に4年前にプライドが契約した最優先事項『ヴァルがもし己ではどうしようもない事態に直面し心から誰かの助けっを望む時にプライドの元に来ること』が発動し、自分の意志に反して城へ行きついてしまったのです。
プライドが遠出から城に戻ってくると浮浪者と見間違える風体のヴァルが城門通りに倒れており、ヴァルを救護棟に連れて行った後に、プライドは契約の力を使いヴァルから無理矢理事情を聞きだします。
そして、ヴァルから詳細を聞き出すと、二人と他に攫われた子供たちを救出するためにプライドも強力し、ヴァルと共に敵陣に乗り込むと、二人を無事に救出する事ができました。
ケメトとセフェクの救出後は自らプライドに『隷属の誓い(足の甲に口づけ)』をして、プライド直属の仕事を引き受けています。ちなみに足の甲に口づけした際にはペロリと舐めるセクハラもしています。
ヴァルとケメトとセフェクの関係
ヴァルの昔の住処に住んでいた下級層の名前の無い少女と少年の二人組ですが、今ではヴァルの大切な家族となっています。
当初は住処を変えても勝手についてくる二人を無視していたヴァルですが、奇妙な同居生活が続いた三ヵ月後にヴァルが異国の言葉で数字を意味するセフェク(7)とケメト(3)と名付けました。理由は二人の大体の年齢から察して名付けたもの。
隷属の契約により他人に危害を加えられないヴァルは他者から何も騙し取ることができません。そのため、ケメトとセフェクは危害を加えないヴァルを安全と認識する他、悪人面のヴァルの側にいれば危険がないと学習し、ヴァルが住処を変えてもついてきていました。
二人の執念にヴァルが折れた形になり、約4年の歳月を共に過ごしています。時にはヴァルが金銭を渡して買い物に出かけることもあり、金の使い方や計算もある程度ヴァルが教えています。
また、二人がゴロツキに襲われて金銭を奪われそうになった際には、隷属の契約上危害を加えられないヴァルは胆力のみで乗り切り二人を助けました。そのため、一層二人から信頼を寄せられることになると、二人が秘密にしていた特殊能力持ちであることを打ち明ける関係になりました。
二人が人身売買の連中に連れ去られた際には、二人の安否を考えるだけで胸が痛み胸糞悪い気分になると苦悩し、連れ去られる間際の叫び声が耳にこびり付いて離れないと苦しみます。
これまで散々悪いことをしてきたヴァルは、二人と出会ったことにより、誰かを『大事』に思う感情を受け入れず発狂寸前になるほどでした。
そして、この胸糞悪い感情を『心配』と知る他、零れ落ちる涙は『家族を想う涙』であるとプライドに諭されています。
現在は三人でプライド直属の『配達人』の仕事をしています。
ヴァルはフリージア国の配達人になる
ヴァルの『土壁』とケメトの『能力増強』を組み合わせることで高速の移動手段を手に入れたヴァルは、ヴァル・ケメト・セフェクの三人で大事な書状を他国へ送り届ける『配達人』の仕事を引き受けると、フリージア国(プライド直属)の使いとして働くことになりました。
ヴァルの土壁で配達する荷物や身の安全の確保、セフェクの『水』の能力もあるため道中の水の心配もいらないことに加え、ケメトの『能力増強』があるので道中で盗賊に襲われてもヴァルとセフェクだけで撃退可能な過剰戦力があります。
また、ヴァルの隷属の契約により自分から暴力を振るえない状況でもセフェクが居れば二人を守ることができる布陣です。
加えて、ヴァルは元々野盗集団として国間の旅人を襲っていたため地理に詳しく、地図に載ってない穴場や岩場などにも精通しているので適任でした。
そして何といってもヴァルとケメトの融合技で成せるジェットコースター級の高速移動手段により、通常の馬車などの数十倍速い速度で確実に書状を届けられるのが最大のメリットです。
現在はアネモネ王国、ベロニカ王国、ライラック王国などのフリージアの同盟国を繋ぐ『同盟共同政策』に関する手紙のやり取りをするためにヴァルたちが書状を郵送しています。
全ての章で大体登場する準レギュラーとなっていますので、三人の活躍はまだまだ描かれています。
ヴァルについてのまとめ
- ヴァルは元盗賊でフリージア国の騎士団を襲撃した罪で処刑が決定するも、プライドの処罰により『隷属の契約』を交わして解放
- 乙女ゲーム『キミセカ』では、ただのモブ
- ヴァルの特殊能力は『土壁をつくる』
- ケメトの特殊能力『能力増強』と合わせると、や砂が元の物なら触れるだけで大規模且つ自在に操ることが可能
- 父は商人で7歳の頃に音信不通になり、母は他の男と恋仲になりヴァルを下級層に捨てた
- ヴァルは7歳から下級層で育ち劣悪な環境で特殊能力に目覚めると悪人として生きてきた
- プライドと『隷属の契約』を結んだ後は下級層でケメトとセフェクと出会い、4年も一緒に暮らしている
- ヴァルにとってケメトとセフェクは家族であり大切な存在
- 現在のヴァルはケメトとセフェクの三人でプライド直属の『配達人』として書状を届ける仕事をしている
- ヴァルはプライドに惚れている
物語の舞台となる『キミセカ』のゲーム本編では、ヴァルはただのぽっと出のモブキャラ程度の立ち位置でした。
しかし、ゲーム知識があるプライドによって序盤から登場すると、プライドの慈悲で罪を償う機会を与えられ、今ではフリージア国に欠かせない『配達人』の仕事をこなす充実した日常を送れるようになりました。
設定上悪人ではあるため贖罪は当然ではありますが、ヴァルとケメトとセフェクの三人の関係や絆は目頭が熱くなります。
また、プライドへ向ける感情の変化も読者視点では思わず応援したくなるので、ヴァルを好きな読者も多いのではないでしょうか。
早くアニメで活躍する姿を見てみたいものです。