神話の時代から生き続ける大魔法使い・ゼーリエ。
彼女はほぼあらゆる魔法を知る「生ける魔導書」と呼ばれ、長い年月の中で数多くの弟子を取ってきました。その多くは人間で、歴史に名を残せず先立っていく者も多くいましたが、ゼーリエは弟子一人ひとりの性格や好きな魔法を今も鮮明に覚えています。
今回はゼーリエの弟子一覧についてご紹介したいと思います。
ゼーリエと大陸魔法協会(一級魔法使い)の関係
引用元:山田鐘人・アベツカサ『葬送のフリーレン』 出版:小学館
ゼーリエは神話の時代から生き続けるエルフの大魔法使いであり、「生ける魔導書」と呼ばれるほど、ほぼあらゆる人類の魔法を身につけています。彼女が表舞台に姿を現したのは、およそ半世紀ほど前(勇者ヒンメルの死から29年時点)。それまで長らく歴史の表に出ることの少なかったゼーリエは、突如として大陸全土の魔法使いを束ねる組織――《大陸魔法協会》を創設しました。
大陸魔法協会は、魔法使いの実力を階級で整理し、試験によって後進を選別・育成し、必要に応じて魔族や災害への対応にも関与します。三年に一度、一級魔法使い試験が行われており、試験内容は試験管によって変化するようで、本編では一次試験はサバイバル、二次試験は未踏破のダンジョン攻略、三次試験は異例のゼーリエの面接が行われました。
合格した者には特権としてゼーリエから直々に「望む魔法を一つ」授けられます。
一級魔法使いになった者は、形式上ゼーリエの弟子に連なる存在として扱われるため、一級魔法使いに合格した時点で例外なくゼーリエの弟子となります。
ゼーリエは一貫して「魔法は選ばれし者のための特別なもの」という考えを持ち、万人に魔法を開こうとしたかつての弟子・フランメとは対照的な思想。過去、フランメの遺言で宮廷魔法使いの教育を託された際も、当初は拒んでいましたが、結果として協会を立ち上げ、一級試験という厳しい門を設けつつ後進を育てる道を選択しました。
現在、大陸魔法協会に所属する魔法使いは、例えば黄金郷のような大規模な脅威に対し封印や調査を行うため、大陸全土に広がる活躍を見せています。そのため、すでにゼーリエ個人では彼ら人材がいなくなればカバーしきれないほどの巨大な組織となりました。
ゼーリエが弟子に向ける本心
引用元:山田鐘人・アベツカサ『葬送のフリーレン』 出版:小学館
ゼーリエは、弟子に対して辛辣な印象です。
フランメに対して「正直フランメは失敗作だった。あれほどの才を持ちながら私ほどの高みへは辿り着けなかった」と落胆し、その後育てた弟子たちに対しても「どれも私の足元にも及ばないままほとんどが先立った」と突き放すように言いきっています。また、戦いで命を落とした弟子の前でも、表情を大きく崩さず涙を見せることもありません。
しかし、物語が進むにつれてその態度の裏側が少しずつ明らかにされます。一級魔法使いレルネンがゼーリエの弟子として彼女が生きた証を残そうとフリーレンに勝負を挑んだ際、フリーレンはゼーリエの言葉として『だが不思議なものだ。気まぐれで取ったはずの弟子なのに、一人一人の性格も好きな魔法も鮮明に思い出せる。なぜか私は弟子を取って後悔したことは一度もないんだ。たとえ歴史にその名を残せずとも』と、彼女が語ってくれたことを伝えました。
ゼーリエがフリーレンに語った言葉は彼女自身合理的ではなくとも抱いている本心であり、表向きは弟子を貶そうとも、実際にはフランメの夢や好きな魔法を今も忘れず記憶していたり、幼少期のフランメが夢を語る姿を一人だけ覚えていることに哀愁を抱いたりと、言葉の裏で弟子を大切に思っていました。
このようなゼーリエの言動に関しては、フリーレンも『自分の弟子にすら素直に気持ちを伝えられない本当に子供みたいな人』と評しており、その不器用さに呆れています。
ゼーリエの弟子一覧
※試験前時点の一級は約45名とされ、以下は名前が出た主な人物です。
| 名前 | 備考 |
| フランメ | 故人。ゼーリエの最初の弟子で伝説の大魔法使い。フリーレンの師匠。歴史に名を残した唯一に近い弟子。 |
| 名前 | 備考 |
| レルネン | 協会で最初の一級。ゼーリエの弟子。ゴーレム魔法。三次試験の通常担当。 |
| ゲナウ | 一次試験の試験官。黒金の翼を操る魔法(ディガドナハト)。 |
| ゼンゼ | 二次試験の試験官。長い髪を強化・操る。平和主義を自称。 |
| ファルシュ | 三次試験の案内役など。近接寄り。影を操る魔法を示唆。 |
| リネアール | 帝国で長期の諜報活動中の女性。 |
| 名前 | 備考 |
| フェルン | フリーレンの弟子。唯一ゼーリエの魔力の揺らぎを観測し合格。ゼーリエの弟子入りは拒否。 |
| デンケン |
帝国の宮廷魔法使い。野心がまだ燃えていると判断され合格。 |
| ユーベル | 面接ほぼ無言で合格。過去にブルグを殺害。 |
| ラント | 分身を会場に送る度胸をかわれ合格。 |
| ヴィアベル | 北部魔法隊隊長。「魔法は殺しの道具」と答え合格。 |
| メトーデ | ゼーリエを見て「小さくてかわいい」と回答したため合格。 |
| 名前 | 備考 |
| ブルグ | 不動の外套による防御の使い手。約2年前の二級試験で試験官を務めた際、受験者ユーベルに外套ごと斬られて死亡。 |
| タオ | 黄金郷の事前調査隊を率いる。マハトに敗れ死亡。 |
弟子たちとゼーリエの関係性
フランメ
フランメは、ゼーリエが約1000年前に取った弟子であり、歴史に名を残したほぼ唯一の存在。少女の頃からゼーリエのもとで育ち、本人は「気まぐれで育てた弟子」と突き放すように語る一方で、彼女の生き方を変えるほど影響を与えた弟子の一人。
フランメは「誰もが魔法を使える時代」を夢見、宮廷魔法使いの教育や人類への魔法普及に力を注いだ功労者。一方ゼーリエは「魔法は才ある者だけのもの」という考えだったため、両者の思想は真っ向から対立。
フランメの死後、フリーレンから渡された彼女の遺言状に宮廷魔法使いの教育を引き継いでほしいと書かれていたため、ゼーリエは最後までフランメと分かり合えなかったとその場で破り捨てますが、フリーレンがフランメはゼーリエが怒って遺言状を破り捨てると予測していながらも夢が叶ったことを伝えておきたかったと話していたと伝えると、ゼーリエはフリーレンを連れて散歩をしながらフランメの幼少時代の様子や夢について語る姿を話しました。
当時のゼーリエはフランメが夢見る時代はずっと先のことで実現不可能だろうと思っていましたが、エルフにとって無にも等しい短い人生の中で、フランメは人類の魔法の開祖に上り詰め、ついには夢を実現させたことに驚嘆。フランメが築き上げた誰もが魔法を使える時代の始まりを経て、これから先は時代が加速し、たった千年で人間の時代がやってきてエルフは人間に追い抜かれると断言しました。
フランメが好きだった「花畑を出す魔法」をくだらない魔法と貶す一方で、その魔法が彼女が子供の頃から好きだった魔法であることを覚えており、現在の自身の管理場所に使用する一面があり、帝国で見かけたフランメの像(実物とは異なる面影のない像)を前に「これだけの偉業を成し遂げても忘れ去られてしまうのか」と哀れみ、人類の誰もが魔法を使える時代──そんな夢物語を語った少女の笑顔はもう私しか覚えていないとどこか悲しい表情を浮かべることも。
レルネン
レルネンは、大陸魔法協会創設後に最初の一級魔法使いになった人物で、現存するゼーリエの弟子のなかでも最古参の一人となります(※黄金郷編の回想で登場した当時の一級魔法使いたちの生死は不明)。半世紀以上にわたってゼーリエの側に仕えており、協会の実務や試験運営を担う立場になります。
ゼーリエからは「臆病な坊や」と今でもからかわれますが、フリーレンの洗練された魔力制限を一目見て看破した者の一人(ゼーリエが知る限りでは魔王につぎ二人目)であり、ゼーリエからは『これだけの境地に立っておきながら──』『魔王軍との戦火の時代に生まれていれば名だたる英雄達と共に歴史にその名を残していた』とその腕前を高評価、フリーレンからは『とんでもない手練れだ。平和な時代には似つかわしくない』と技量をかわれています。
ゼーリエの弟子の中で歴史に名を残したのはおとぎ話となったフランメのみであることから、自身が老いて死ねばゼーリエの生きた証がまた一つ消えてしまう──ゼーリエを未来で一人孤独にさせたくないと考え、悪名であれフリーレンを討ち取り後世に名を残そうと勝負をしかけますが、フリーレンが「ゼーリエは全ての弟子を覚えている。取って後悔したことは一度もない」と言っていたことを伝えると、戦意を削がれ杖を下ろしました。
黄金郷編では、マハトと対峙しながらも生きて情報を持ち帰る腕前。
ゲナウ
ゲナウは、一級魔法使い試験編で一次試験の試験官を務めた人物で、冷徹で合理的な性格。一級魔法使いになった際には特権で力を願ったとされていますが、得た魔法は不明。得意魔法は「黒金の翼を操る魔法(ディガドナハト)」で、近接・防御面に特化した黒翼を纏うことができます。
神技のレヴォルテ編では、北部高原の魔族討伐任務中に相棒が子供を庇って死亡しており、ゼーリエは棺桶で眠る弟子を前に「この子は少し優しすぎたのかもしれんな」と、優しい魔法使いは長生きできないと冷酷に分析する一面も。その一方で、ゲナウには「お前は嫌な奴だ。優しさの欠片もない。ずっとそのままでいろ」と伝えていますが、その真意は相棒の死を踏まえたうえで、ゲナウが同じ轍を踏まないようにする諫言でもありました。
ゼンゼ
ゼンゼは一級魔法使い試験編で二次試験の試験官を担当した人物で、幼い見た目とは裏腹に、2年前には二級試験の試験官を、数年前には帝国の魔導特務隊と交戦し生き残った実力者です。
帝国編ではファルシュとともにゼーリエの護衛任務かつ周辺警護を担当していますが、暗殺計画を知っても物怖じしないエルフの感覚に思うところがあるようで、ゼーリエに「なぜ自分が任務に選ばれたのか」と選定基準についての素朴な疑問をぶつけると、ゼーリエは特権の望みに力を願った者と願わなかった者に分類し、願わなかった者は自分の想像を超える魔法使いになると説明。
その真意は自分でも整理しきれていないものの、自分の想像を超える結果が見たい気持ちの現れであり、自分では辿り着けない未来に辿り着けるかもしれないという期待を抱いてのものでした。帝国の建国祭では、ゼンゼの魔法を知りながらも彼女の髪を整え、このことについて語りました。
特権には、人を殺した後でもぐっすり眠れる魔法が欲しいと願っており、当時のゼーリエはゼンゼに類い稀なる才能を感じながらも特権の願いから決して強い魔法使いにはなれないと考えていたようです。
ファルシュ
ファルシュは一級魔法使い試験編で試験開始宣言の会場にいた試験官の一人で、フリーレンを見て「なんか熟練の老魔法使いみたいな魔力の人いる」と呟いた人物。
特段の活躍はまだ描かれていないものの、帝国編では護衛を拒むゼーリエの周辺警護を強行し「心配性め」と呆れられるほか、帝都にあるフランメ像を前に彼女の心中を察してか「…面影はありますか」と言葉を選ぶ一面も。ゼンゼ同様に近接・対戦士に特化した魔法を所持していることからゼーリエ暗殺計画の護衛任務に就いており、ゼーリエの身を案じています。
なお、特権で「声が自在に変えられる魔法」を願っており、その理由としてゼーリエの声が出せるようになりたいと説明すると、「えぇ…怖い」とドン引きされる模様。
リネアール
リネアールは過去に登場シーンはありませんが、帝国編にて15年以上にわたり帝国で諜報活動を続けていることが判明します。協会の接触役として情報を伝え、ゼーリエ暗殺計画などの動きを事前に察知し報告する役割を担います。
影なる戦士の人相書きの情報を送ったのも彼女であり、現在も危ない橋を渡っている真っ只中のため動向不明。一方で、模擬戦の場においてゼーリエに地に膝をつけさせるという、レルネンにも成し遂げられなかった快挙を成したことから対人戦という一点において彼女ほど優秀な魔法使いはいないとされています。
フェルン
本編中に描かれた一級魔法使い試験に合格した新たな一級魔法使いであり、三次試験の面接の場においてゼーリエから唯一直接『弟子』に勧誘された人物。
レルネンでさえも見抜けなかったゼーリエの魔力の揺らぎを観測したことから、ゼーリエは「私ならお前をより高みへと連れていける。未だかつて魔法使いが辿り着いたことのないほどの高みへ」と勧誘します。しかし、フェルンは自分はフリーレンの弟子であることを理由に弟子入りを拒否しました。
形式上、フェルンは一級魔法使いなのでゼーリエの弟子であり、大陸魔法協会からの任務を受ける立場にもありますが、帝国編では「彼女は一級魔法使いだは、それ以前にお前の弟子だからな」と、ゼーリエ暗殺計画の護衛任務参加への拒否権を与えていることから、フェルンの立ち位置は形式上ゼーリエの弟子に分類されるが弟子入りを断っているので本来の『弟子』としては微妙な立ち位置にいます。
なお、フェルンが特権で「服の汚れを落とす魔法」を選んだ際には「正気かお前?」と真顔でつっこみました。
デンケン
デンケンは現職の帝国の宮廷魔法使いでありながら特権を求めて一級魔法使い試験に挑戦し、見事に合格した人物です。
ゼーリエは彼と面識はないものの軍所属の魔法使いの叩き上げが北側諸国で最も権力を持つ宮廷魔法使いになったことを知っており、三次試験の面接時にはデンケンが血の気と野心に満ち溢れた若い頃に会ってみたかったと評価しています。
デンケンはマハトが操る七崩賢の人知を超えた呪いに対抗する手段を得るために、特権として「ミステイルジーラ(呪い返しの魔法)」を求めており、ゼーリエは100年を費やして習得した魔法を譲渡しました。
ユーベル
ユーベルは一級魔法使い試験編で合格した新たな一級魔法使いであり、帝国編ではゼーリエが護衛任務の一人に選定しています。
2年前、ユーベルは一級魔法使いのブルグ試験官を誤って殺害していますが、ゼーリエがそのことに言及する描写は今のところありません。一方で、三次試験の面接時にはユーベルに対し「合格だ」と即答し会話を必要としていないこと、帝国編でラントに彼女の手綱を握れるようになれと忠告していることから、彼女の素質を認めながらもその異常性に思うところがあるのかもしれません。
特権には「姉貴が見つかる魔法」を望んでいます。
ラント
ラントは一級魔法使い試験編で合格した新たな一級魔法使いであり、帝国編ではゼーリエが護衛任務の一人に選定しています。
三次試験の面接では、彼の分身を人目で見破り「…お前ふざけるなよ」と会場に姿を見せないことへの怒りを含ませることもありましたが、その度胸を買い合格としました。
帝国編では、ゼーリエはラントが帝都出身であることや彼の両親や祖母についても何か知っている口ぶりであり、単純に任務を言い渡せば彼が来ないことを推測しユーベルを派遣しペアを組ませるなど打算的な動きを見せ、不満を見せるラントに対し「私はお前達の相性が悪いとは考えていない。慎重さというお前の武器を生かしたいのなら、そいつの手綱を握れるようになっておくんだな」と忠告しました。
特権では「家族の遺体を探す魔法」を望んでいます。
ヴィアベル
ヴィアベルは一級魔法使い試験編で合格した新たな一級魔法使いであり、北部魔法隊隊長。
ゼーリエは彼を二級魔法使いの中では一番の武闘派と認識しており、三次試験の面接において、彼がゼーリエを一目見て勝てない相手を悟りながらもそれが恐怖による判断ではなく戦略的に身を引いたことを評価し、好きな魔法の質問に「魔法ってのは殺しの道具だぜ。好きも嫌いもあるか」と答えたことで合格を言い渡しました。
おそらく、ヴィアベルは特権で力を願った側の人物のため、ゼーリエの理想となる魔法使いだと思われます。
メトーデ
メトーデは一級魔法使い試験編で合格した新たな一級魔法使いであり、基本的な魔法に加え精神操作・拘束・探知魔法、更には女神さまの魔法として多少の回復魔法を使える器用な人物です。
三次試験の面接時には、ゼーリエの「お前、私を見てどう思った?」という問いかけに「…ええと、小っちゃくて可愛いなと思いました」と真顔で答えて合格しています。その一方で、合格後しばらくオイサーストにいたところ、嫌そうな表情をするゼーリエの頭を頻繁になでなでしていたことから、ゲナウから「なでなでは一日十分まで」という制限をつけることに。
そのため、唯一ゼーリエが距離を置きたい異例の弟子の一人。
まとめ
以上、「ゼーリエの弟子一覧」についての紹介でした。
ゼーリエの弟子は、フランメのような偉業をなし歴史に名を残した伝説級から、レルネンをはじめとする実力はあっても平和な時代で名を残せないでいる協会の一級魔法使いまで多層にわたります。
ゼーリエは表面上は冷淡でも、弟子一人ひとりの好みや性格を忘れず、例え歴史に名を残せなくても誰一人取って後悔したことはないと言い切るほど、本心では弟子たちを好いていました。その一方で、彼らの寿命の短さから長寿ゆえの孤独と不器用な性格を同時に示しています。
名も残せず去った多くの弟子たちすべてが、ゼーリエの長い時間のなかに確かに存在しています。
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