『鋼の錬金術師』に登場するロイ・マスタングは、アメストリス軍所属の国家錬金術師で階級は大佐。
本編の最終決戦が描かれた『約束の日』当日、マスタングは真理の扉を開いたことで通行料に『視力』を持って行かれて失明してしまいました。
今回は、マスタングが視力を失ったのは何話なのか、どうして真理の扉を開くことになったのか、そうなった経緯と視力を失った後はどうなったのかと紹介したいと思います。
※本記事の内容は原作漫画及び2009-2010年に放送されたアニメ版を準拠にしております。
ロイ・マスタングが失明した回は?
引用元:鋼の錬金術師 単行本25巻 作者:荒川弘
マスタングが失明したのは単行本25巻102話『扉の前』です。
アニメ『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』では第59話『失われた光』になります。
マスタングが失明した理由は?
マスタングは失明したのはプライドによって強制的に扉を開かされたことで真理を見てしまったからです。
しかし、マスタングはどうして視力を奪われたのか。
単行本25巻102話『扉の前』でお父様が「人間が思い上がらぬよう正しい絶望を与える」と独自の見解を述べています。
人体錬成を行ったエド、アル、イズミの三人は
- 母の温もりを求めたエドは立ち上がる為の足と弟を。
- 母の温もりを求めたアルは温もりすら感じられぬ姿に。
- 亡くなった赤ちゃんを求めたイズミは二度と子を与えられぬ身体に。
とそれぞれ人体錬成をするきっかけとなった部位を持って行かれています。
そしてマスタングが視力を持っていかれた理由は国の先を見据えた結果視力を失いその未来を見る事がかなわなくなったとのことです。
しかし、作中でエドの言葉を借りるように自発的に人体錬成をしたわけでもないマスタングが『正しい絶望を与えられる』というのは間違っているように思えますね。
マスタングが真理の扉を開いた経緯
まず本編の決戦を表す『約束の日』当日、単行本23巻93話『不倶戴天の敵』時点で、マスタングは以前ラストと戦った第三研究所の地下から地下道を通りお父様が潜むアジトへと向かっています。
地下で因縁のエンヴィー戦を乗り越えた単行本24巻99話『永遠の暇』でマスタング一行は地下道でキング・ブラッドレイを作り上げた研究者の男(通称:金歯の男)と遭遇。男は錬成陣を起動して人柱が確定しているエドワード・エルリック、アルフォンス・エルリック、イズミ・カーティスの3名をお父様の許へ転送させました。
そして単行本25巻100話『開かずの扉』では、金歯の男はキング・ブラッドレイになれなかった出来損ない人間たち(並の人間以上の身体能力を持つ)を使ってマスタング一行を生け捕りにして制圧。
金歯の男の目的はマスタングを五人目の人柱にすることでした。
この段階で『エド、エル、イズミ、ホーエンハイム』の4名が揃っていましたが残る一枠をマスタングに決めたのです。
金歯の男に捕縛されたマスタング一行。日食まで時間がないと言う金歯の男はマスタングに誰でもいいから(ヒューズでも誰でも)と人体錬成を強要します。しかし、頑として断るマスタングに業を煮やす金歯の男は部下にホークアイの肩を斬らせ瀕死の状態にします。
続く101話『五人目の人柱』では、金歯の男はホークアイを錬成陣の上に移動しマスタングに人体錬成をするように迫ります。しかし、男の頭上の穴にはキメラ組やメイが潜んでおり男を強襲。金歯の男は捕獲され、男が持っていた賢者の石も地面に転がり、マスタング一行と男の部下が乱戦状態になりますが、その最中メイが錬丹術でホークアイを治療し何とか危機的状況を打開。
と、思った矢先に中央司令部での死闘を終えてたどり着いた満身創痍のキング・ブラッドレイ大総統がその場に現れるのでした。
マスタングは強制的に真理の扉を開かされた
マスタングが現れたキング・ブラッドレイと話していると、金歯の男を捕えていたジェルソ(ガマガエル型合成獣)が突如現れたプライドによって負傷し、マスタング一行はキング・ブラッドレイとプライドの二体のホムンクルスと対峙することに。
プライドに気を取られたマスタングの隙を突いてブラッドレイが落ちていた剣を拾い一気に間合いを詰めると、マスタングの火花を躱して飛び掛かり、マスタングの両手を剣で貫いて地面へ磔にします。
そして、プライドは金歯の男を影で拘束し磔にされたマスタングが寝そべる床に影で人体錬成の構築式を刻むと強制的に扉を開けさせるのでした。マスタングにその気が無くとも構築式の知識は金歯の男が持っており、プライドは人体錬成を発動。
金歯の男は真理を見て戻ってくる技量が無いのか肉団子となって床に転がりました。
一方、マスタングは白い空間に聳える真理の扉の前に立ち膨大な知識を与えられてお父様の許へ転送されますが、先にお父様のアジトに転送されたエド達が現れたマスタングに駆け寄ると、マスタングは「真っ暗で何も見えん」と発言。
こうしてマスタングは真理の扉を開くと同時に視力を奪われたのでした。
マスタングは視力を失っても強い
マスタングの焔の錬金術はホムンクルスも警戒する最も厄介な能力であり、実際にラストとエンヴィーがマスタングに敗北しています。
それ故にプライドもマスタングが視力を持って行かれたことには結果オーライと述べており、視力を失ったマスタングの戦闘力はこれで0に等しいと語っていました。
しかし、マスタングはホークアイに支えられながらも戦場に立ち、ホークアイの指示で敵の方向を把握し焔の錬金術を使っています。その際、いつものフィンガースナップは手合わせ錬成に切り替わっていますが、視力を失ったかと言って焔を使えないわけでも、ましてや火力が下がったわけでもありません。
むしろ手合わせ錬成でエドやアルが使うような防壁を生み出したりできるようになっています。
確かに視力を失っているため機動力は最低値になりましたが、ホークアイのサポートがあれば以前より万能な固定砲台となりました。マスタング自身も「手合わせ錬成はオールマイティーで便利だな」と言うほどです。防衛戦では最強なのではないでしょうか。
ロイ・マスタングはその後視力を取り戻している
引用元:鋼の錬金術師 単行本27巻 作者:荒川弘
単行本107話『最後の戦い』では、エドがアルと取り戻したようにマスタングも自分の扉を通行料にと考えましたが、それではエドのように帰りの通路が無くなるため実行できません。
目が見えない軍人は退役させられる制度のため、このままではマスタングはトップを目指すどころか軍人でさえ居られない状況でした。
そこに現れたのがドクター・マルコー。マルコーは賢者の石を通行料にして視力を取り戻す方法を提案しにやってきました。
そのため最終話となる108話『旅路の果て』では、視力を取り戻したマスタングがイシュヴァール政策の指揮をとっているような写真が描かれています。
マスタングはイシュヴァール政策に尽くす
マスタングに賢者の石を提供したマルコーですが、石を譲る条件にイシュヴァール政策を持ち出しています。
『約束の日』に向けた作戦はイシュヴァール人の協力なくしては成功しなかった作戦です。
賢者の石を譲る条件は『イシュヴァール政策』とは
- イシュヴァール閉鎖地区の解放
- 各スラムにいるイシュヴァール人を聖地に帰す
- マルコーがそこで医者として暮らすことを認める
マスタングは同じイシュヴァール殲滅戦の経験者として、マルコーの条件をのみイシュヴァール政策に全力を尽くすことを誓っています。
ロイ・マスタングの失明とその後のまとめ
マスタングの失明の要点
- マスタングが失明したのは単行本25巻102話『扉の前』
- アニメ『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』は第59話『失われた光』
- マスタングが失明した理由は、『国の先を見据えていたから視力を失いその未来を見る事がかなわなくなった』から
- マスタングが扉を開いた理由は、プライドに強制的に扉を開けさせられた
- お父様を倒した後、マスタングはマルコーが提供した賢者の石を使って視力を取り戻している
- 最終回後はマルコーとの約束通り『イシュヴァール政策』に取り掛かっている
ヒューズの死を前に一時期は人体錬成の構築式を頭の中に思い描いていたマスタングですが、強い意志を持って最後まで人体錬成に手を出すことはありませんでしたが、プライドにより強制的に扉を開けることになり、結果視力を失ってしまいました。
しかし、お父様との決戦後、ドクター・マルコーが提供した賢者の石を使うことで視力を取り戻し、マルコーと共にイシュヴァール政策に奮闘している姿が数年後を描く最終話の写真の一枚に写っています。
イシュヴァール人を虐殺しイシュヴァール殲滅戦の英雄と言われたマスタングがイシュヴァール人を犠牲とした賢者の石で視力を取り戻すのは何とも皮肉なものですが、仇敵傷の男と共にイシュヴァール復興に向けて指揮を執る姿はホムンクルスの支配から抜け出した大きな一歩に思えますね。