『東京喰種トーキョーグール』および続編『東京喰種:re』に登場するエトは、物語の核心に深く関わる重要キャラクターです。
劇中では隻眼の梟として恐れられ、アオギリの樹の実質的な創設者であり、人間と喰種の狭間で生きる存在として多くの読者の印象に残りました。複雑な過去と歪んだ世界への強い意志を持ち、物語を大きく動かす役割を果たしています。
今回はエトの正体・目的・最期・その後についてご紹介したいと思います。
エトとは
引用元:石田スイ『東京喰種 トーキョーグール』 出版:集英社
エトとは、当初アオギリの樹の幹部として全身を包帯で包んだ謎めいたキャラクターとして登場した小柄な喰種の女性。
表向きはタタラやノロイと行動を共にすることが多く、クロシロの攻撃を躱す身の軽さや精神攻撃性、万丈に気付かれずあばら骨を捥ぎ取る素早さ、他者を揶揄う幼児性を兼ね備えています。
エトの正体
引用元:石田スイ『東京喰種 トーキョーグール』 出版:集英社
エトの正体は、あんていくの店長・芳村(本名・功善)と人間の女性・憂那の間に生まれた天然の半喰種です。本名は芳村エト。父が喰種、母が人間という出自から、生まれつき隻眼の喰種として誕生しました。
父・芳村がV組織の追及を恐れて彼女を24区に預けたことから、幼少期を孤独に過ごしており、14歳頃からCCGの捜査局を襲撃し、多数の捜査官を殺害。特等となる人物たちにも大きな傷を負わせるなど、若くして大きな脅威『隻眼の梟』として認識され、黒磐巌に致命傷を負わされながらも驚異的な再生力で生き延び、その後アオギリの樹を設立しました。
一方で、父・芳村が「不殺の梟」として彼女の代わりに表に出ていた時期もあります。
エトの正体が判明したのは梟掃討戦の終幕。芳村が喰種捜査官らに敗北した直後、エトは赫者形態となり本物の『隻眼の梟』として登場すると、捜査官らに致命傷を与え芳村を奪取し逃走。その後、芳村を吐き出した上で赫者形態を解くと、中から包帯を取った全裸の芳村エトが「おと~~~さん♡」と姿を露にしたことで正体が明かされました。
高槻泉
引用元:石田スイ『東京喰種 トーキョーグール』 出版:集英社
表向きは全身を包帯で包む幹部「エト」として振る舞いながら、実際には創設者として組織を動かしていますが、人間社会では人気小説家・高槻泉として活動しています。
高槻泉は、人間社会で高い人気を誇るホラー小説家として活動する女性。独特の文体と、社会の暗部や人間の心理を鋭く抉る作品で知られ、多くの読者を魅了していました。代表作のひとつに『王のビレイグ』があり、物語の中でも重要な役割を果たす書籍として登場します。
彼女は表向き、派手さを抑えた地味な印象の女性として描かれ、記者会見や取材の場でも落ち着いた受け答えを見せます。しかしその作品には、単なる娯楽を超えた強いメッセージ性が込められており、喰種と人間が共存する世界の歪みや、抑圧された存在の生きづらさを間接的に表現していると解釈されることも少なくありません。
目的
エトの目的は『いびつな根源』の排除にあります。
人間と喰種が対立するこの世界の裏側には、V組織という支配構造が存在し、彼女はその根源を断ち切りたいと考えていました。喰種が当たり前に生きられる世界を目指すべく、まずはアオギリの樹を組織し喰種にとってよい世界の構築を求めCCGに対抗していましたが、最終目標はVの排除にありました。
CCGの母体が結成されたのは百年以上前に出現した隻眼の喰種に人間が対抗せざるを得なくなったためであり、この出来事から隻眼の喰種の出現は変革の予兆と言われていました。喰種にとって隻眼の喰種は『王』であるため、隻眼の梟として活動するエトはまさしく喰種の『王』と呼ばれる存在として崇められていましたが、実はエトは隻眼の王ではなく、有馬と共に「隻眼の王」という架空の存在を作り出し次の「王」を生み出すための役割を自らに課していました。
エトの最後と死亡
エト(高槻泉)の担当編集塩野を拘束し尋問した佐々木琲世は、彼から「高槻の部屋に人肉らしきものが保管されていた」と証言を受け、高槻泉の身柄を確保します。
しかし、エト(高槻泉)は編集部と対策局に便宜をはらってもらい最後に作品についての会見を開かせてもらうと、会見の場で新作『王のビレイグ』を発表すると共にその場で自身が『喰種』であることを公表します。また、この作品は自分と同じくこの世に生まれ間違え血肉を貪る孤独な同胞たちの為に──即ち、喰種の希望であり、同時に王に捧げる内容であることも打ち明けています。
10作目となる『王のビレイグ』のビレイグとは、北欧の神オーディンの別称で意味は片目を欠く者──つまり、隻眼の王を指しています。主人公である隻眼の喰種が王として喰種を率い喰種を弾圧する世界に対し反旗を翻す英雄劇となっており、著者が喰種の高槻泉という観点から、喰種に宛てたメッセージでもありました。また、本作は和修一族をモデルにした人間側の組織の描き方にあり、和修を喰種の協力者として描く内容から世間からCCGへの抗議の声や高槻泉の擁護の意見があがりました。
この世間の流れも彼女の想定内であり、この世界を自らの所有物と勘違いしている和修家への不信を煽るのも彼女の目的の一つでした。なお、本作品の着想は母・憂那が遺したノートに挟まれていたメモにあります。
エトvs旧多
引用元:石田スイ『東京喰種 トーキョーグール』 出版:集英社
エトの死亡が描かれたのは流島上陸とコクリア防衛作戦が同時進行する真っ只中です。
佐々木琲世含む有馬班はコクリア防衛に回り、コクリア収容中の笛口雛実の救出を実行するアオギリの樹(霧嶋絢都一行)と交戦。その直前、旧多二福は嫌がらせとして塩野で作ったパテをエトに差し入れています。
佐々木琲世改め金木研は雛実の脱獄を手伝うとその道中で有馬貴将と交戦。雛実を絢都らに託し、絢都らはコクリア脱出に向けて廃棄プレス場へ向かいます。しかし、そこには旧多がV所属の部下を率いて先回りしており、プレス機を作動しアオギリの樹の喰種を数名殺害。絢都らが余裕でプレス機を回避するのは想定内であったため、次の作戦に移行しようとしますが、そこで登場したのがエトでした。
エトは旧多が差し入れた塩野のパテを喰らうと彼の死を無駄にしないために行動を起こしたようで、赫者形態となりプレス機を破壊しながら突き進むと瞬く間にVの部下たちを殺害し旧多へと迫ります。旧多は引き顔で話し合い及び謝罪を持ち出しますが、エトは拒否。旧多はエトの追走を振り切る勢いで逃げ出すと、特等レベルのVの部下を全滅させつつ、旧多を追い詰めました。
しかし、エトが旧多を追い詰めとどめを刺そうとしたところ、旧多はそれまでの雑魚キャラを取り止め赫子を出し『平和的解決(一方的解決)』の下、エトの赫者形態を一撃で粉砕。場面が飛び、再びエトvs旧多に戻ると、エトは赫者形態を解かれた末に両足を失った状態で壁にもたれた状態で敗北していました。実は旧多もまた嘉納式でリゼの赫子を移植していたようで、これまでは立場上この姿を見られると面倒なのでギリギリまで控えていたようです。
一方で、旧多はエトが致命傷を負ったことを確認すると他にやることがあると述べ立ち去ったため、とどめを刺されていません。
エトの死亡
引用元:石田スイ『東京喰種 トーキョーグール』 出版:集英社
金木は有馬との死闘後、0番隊の平子らと共に逃走を開始。その道中、致命傷を負いながらも這って移動していた死にかけていたエトと遭遇します。
エトはその場に仰向けに直ると約束通り『手伝ってやった』と言います。約束というのは、拘束時に話していた「願いを聞いてくれたら手を貸す」という口約束のことであり、エトが廃棄プレス場で絢都らを助けたのはそういった意図がありました。しかし、結果は絢都らの逃走は叶ったものの、自身は旧多にこっぴどくやられてしまったと悪態づきます。
エトの願いというのは『隻眼の王を殺すこと』でしたが、金木の様子を察して「私の願いを聞く必要はない、もう──」と既に願いは成就されたといいます。エトと有馬は世界を滅茶苦茶に直すという目的で繋がっており、有馬貴将を殺した喰種が存在すればそれが必ず喰種たちの希望になると信じていました。つまり、エトの言う殺してほしい隻眼の王とは有馬貴将を差したものですが、それは次に隻眼の王となる喰種のために二人が共謀し温めておいた王座でもあったのです。
エトと有馬が新たな隻眼の王として目を付けたのが金木研であり、喰種が当たり前に生きられる世界の構築に金木という力が必要なだけで金木個人には特に理由はありません。しかし、今の金木にはそれだけ力が与えられたため、エトは金木に対して「金木研は有馬貴将を殺した喰種。すなわり、この世でもっとも力を持つ喰種。それが君が王となる理由だ。あとは…やるか、やらないかだ。選べ」と、今後の金木の在り方を選択させました。
その後、金木はコクリア脱出後、各勢力の仲間を従えて先代の隻眼の王(有馬貴将)の遺志を継ぎ喰種と人が理解し合える世界を作ることを目的として、新たな組織名『黒山羊(ゴート)』を統率します。
一方で、これが生前のエトの最後の登場であり、その後その場で力尽きたのか、あるいは喰種捜査官に回収されたのか──などの描写はありません。
再登場
引用元:石田スイ『東京喰種 トーキョーグール』 出版:集英社
最終章、CCGと黒山羊は協力して人間が喰種化する毒の出現元の調査に出ると、旧多はV(黒帽子)の戦力を動員、かつピエロが時間稼ぎに出動し各地で最終対決が描かれます。
そんな中、頭部のない隻眼の梟(首の断面にお面が縫われている状態)が戦場に降り立つと、CCG+黒山羊は一気に壊滅状態に陥ります。篠原・黒磐・法寺特等がいない中、対梟戦の経験がある宇井が先陣をきり、月山ら黒山羊と共闘し何とか隙を作ると、鈴屋が首を斬り落として決着──。
と思いきや、体の切断面から本体である芳村エト──首がなく十字架が刺さっている姿──が確認されることに。すると、首を切断したにもかかわらず、隻眼の梟は再び動き出し、第二ラウンドが始まり多くの犠牲者が出ます。
しかし、喰種のみが梟の攻撃時に笛の音が聞こえたことから何者かが隻眼の梟を操っていると推測を立てると、梟の出現位置や黒服・CCG・作戦本部などの位置・Re細胞の有効範囲から梟をコントロールする人物がいるある程度の位置を予測し、雛実の能力でその場所を特定。梟を操っている一団はピエロであり、梟(首のないエト)を操っていたのはクラウン──ドナート・ポルポラでした。
エトの復活と死亡再び?
引用元:石田スイ『東京喰種 トーキョーグール』 出版:集英社
雛実がドナートの位置を補足すると、現場に向かった亜門鋼太朗がドナートと対峙し、勝利。ドナートを倒した直後にエトのコントロールが解けたのか、戦地にいる隻眼の梟の動きが静止しますが、今度は芥子(黒帽子)がクインケの赫包コントロールと遠隔起動機構を応用した自立式人型クインケを使用し魔猿や黒狗の死体及びそれらが率いる大量の喰種を引き連れて和修の後釜を狙おうとCCGと黒山羊らを襲撃し、被害拡大。
芥子(黒帽子)は梟(芳村功善)のクインケを使用し隻眼の梟との戦いで活動限界の誓い鈴屋や、特等捜査官、鈴屋班、黒山羊、クインクスらを相手に優勢に立ち回りますが、機能停止していたと思っていた隻眼の梟──エトの体から首が生えると芥子(黒帽子)を背後から奇襲し右腕を切断。振り返った芥子(黒帽子)に対し、エトは中指を立てて煽るのでした。
その後、加勢にきた白スーツの軍団によりCCG及び黒山羊が数で優勢になると、平子が芥子(黒帽子)を討伐。芥子(黒帽子)の死亡により操られていた喰種もまた機能が停止していく中、平子が見つめる先には事切れたように仰向けに倒れたエトの姿(赫者形態から上半身が生えた状態)がありました。
その表情はどこか安らかに眠っているようにも見えますが、このコマを最後にエトの登場はなく、後日談にも触れられていません。
エトは死亡したのか
エトは旧多に敗れた際に致命傷を負いまもなく事切れる──と本人も死を自覚していたため、おそらくその場で死亡したのだと思いますが、最終戦でドナートがエトの肉体を操っているほか、ドナートの支配が解けた直後に芥子を急襲した際に自我を取り戻している描写から、実は死ぬ直前にドナート(当時コクリアにいたため)に回収されていたのではないかと思われます。
しかし、芥子を倒した後に彼女は力尽きているため、そのまま死亡した可能性もあります。
一方で、芥子撃破後に平子が倒れたエトの姿を意味深に見つめているほか、最終話のラストページにコーヒーカップが描かれていることから、実はエトは生きているのではないかと予想されています。
最終話のコーヒーカップ
引用元:石田スイ『東京喰種 トーキョーグール』 出版:集英社
東京喰種:reの最終回のラストページは、コーヒーカップが意味深に描かれています。
金木研を始め、彼を取り巻く喰種にとっての安息の地は物語のスタート地点でもあった芳村功善が開いた喫茶店「あんていく」であり、コーヒーは物語の象徴でもあります。そして、コーヒーカップといえば、功善が戸棚の奥に大事にしまっている小さなアンティーク調のコーヒーカップが印象強く残っています。
そのコーヒーカップに対し金木は「それが使われている所を一度も見た事がない」「きっと待ってたんだ、ずっと」と、功善がコーヒーカップを広げて誰かを待っている姿を想像していました。そのことから、功善が待っていたのは娘のエトであり、最終話のラストページで描かれたコーヒーカップはエトが使用した形跡ではと予想され、エトの生存説が囁かれました。
功善は梟討伐作戦の後、エトに回収され嘉納の赫包を採取する実験体ようのうな状態で保管(リゼと似たような境遇?)されていることが確認されていますが、その後の生死は不明となっています。もし、仮にエトがドナートの支配から解放された後も生きていたとすれば、親子でコーヒーを飲んでいたという可能性もあるのかもしれません。
コーヒーカップは別物
引用元:石田スイ『東京喰種 トーキョーグール』 出版:集英社
一方で、功善が大事に保管しているコーヒーカップおよぶ受け皿にはアンティーク調の模様が刻まれています。
漫画版ではささやかな装飾で、アニメ版では色もついて厳かな雰囲気になっていますが、最終話で描かれたコーヒーカップは無地のコーヒーカップです。最終話のコーヒーカップに関しては、漫画版もアニメ版も同じく無地のコーヒーカップであるため、使用されたのが功善のコーヒーカップではないことがわかります。
また、梟討伐作戦の後、喫茶店「あんていく」は解体工事を行われているため、あのアンティーク調のコーヒーカップの意味を知っている功善・金木・西尾(?)が事前に回収でもしないかぎりは一緒に撤去されているはずです。功善と金木は梟討伐作戦後は行動できず、西尾を含めた「あんていく」一派も迂闊に近寄れないことから、功善のコーヒーカップは店と一緒に解体されているのかもしれません。
功善のコーヒーカップがどうなったのかは分かりませんが、いずれにせよ、最終話のコーヒーカップと功善のコーヒーカップは別物であることは確かです。そのため、エトが使用したといううのは考えづらいと思われます。
しかし、エトの生死については言及されていないので、完結した今も生死不明となっています。
まとめ
以上「エトの正体・目的・最期」についての紹介でした。
エトは単なる敵役ではなく、その出生と生い立ちから歪んだ世界を変えようとした一人でした。半喰種として生まれ、孤独と憎しみの中で力をつけ、アオギリの樹を率いて時代を動かした彼女の行動は、物語のもう一人の主人公と言えます。
一方で、エトの生死についてはエピローグでも一切触れられていないため安否不明となっており、一部では最終話に登場したコーヒーカップを使用したのがエトではないかと生存説が浮上する事態にも。
功善同様に完結後も動向が気になる魅力あるキャラクターとなっています。
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東京喰種トーキョーグール 石田スイ (著) |
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東京喰種トーキョーグール:re 石田スイ (著) |
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