コビーを助けるために遂に英雄ガープが海賊島を根城にする黒ひげ海賊団ももとへ殴り込みにいきましたが、果たしてガープは、そしてコビーはどうなったのでしょうか。
今回はガープvs黒ひげ海賊団幹部を筆頭にその戦いと結末の背景をご紹介したいと思います。
この記事で紹介する内容は?
- ガープ率いるSWORDvs黒ひげ海賊団の幹部の詳細
- ガープの敗北と死亡について
- コビーの安否について
ガープが海賊島に出撃した経緯
引用元:尾田栄一郎『ONE PIECE』 出版:集英社
ガープが海賊島に乗り込むことになったのは黒ひげに拉致されたコビーを救出ためです。
第1059話『コビー大佐の一件』では、数週間前の回想としてアマゾンリリーに海軍と新型パシフィスタ『セラフィム』が上陸して元七武海ボア・ハンコックの捕縛に出向いており、コビーも参戦しています。
しかし、そこに登場し横槍を入れるのが黒ひげ海賊団提督マーシャル・D・ティーチとカタリーナ・デボンとバスコ・ショットの三名。
ボア・ハンコック、マーシャル・D・ティーチ、セラフィムの三竦みとなるこの戦いは、ほとんどの海兵と海賊をハンコックが石化したためにハンコック優勢に思えましたが、ティーチは闇水でハンコックを引き寄せて首を掴み上げることで戦場は膠着状態に。
その際、敵でありながら石化を免れたコビーでしたが、この均衡を崩すように現れたのが元ロジャー海賊団副船長シルバーズ・レイリーであり、レイリーが仲介しティーチを威嚇することで何もしない変わりにこの場は引いて島を出るように交渉。ハンコックが石化を解き、ティーチはアマゾンリリーから撤退を余儀なくされました。
しかしこの回の最後、新聞で報道された見出しに『コビー大佐、四皇黒ひげ海賊団により拉致!!生死不明──』という煽りが入ったのです。
なぜコビーが拉致されたのか、その真相が判明したのは第1088話『最後の授業』。
アマゾンリリーでの戦闘解除後、実は海兵の多くは黒ひげ海賊団に捕縛されており、相手が四皇という理由から仲間を奪われているのに海軍は上からの許可が一切下りずに抵抗できない状況でした。
しかし、SWORDに籍を置くコビーはすでにマリンコードを返上しているために他の海兵よりも自由がきくことから、黒ひげ海賊団が連れ去ろうとする『海兵800名』と『軍艦一隻』をコビー自身が身代わりになることで取引したのです。
また、黒ひげも今後の海軍との交渉材料に英雄コビーの名前は使えるとふんで取引に応じ、結果、コビーは連れ去られたというわけでした。
その結果、第1071話『英雄出撃』にて、ガープはコビーを助けるために海賊島への殴り込みを海運本部G-14支部のドールに報告。
ドールが四皇が支配する海賊島へ喧嘩を売りにいくには上の許可がいると釘を刺すも「…え?なぜじゃ?」とすっとぼけ「何十年海兵やってんだよ!!」とツッコまれる始末。
しかし、ガープは連絡と同時にすでに海運本部G-14支部に到着しており、コビーを助けたいと懇願するヘルメッポやSWORDの一員を乗船させて海賊島──通称『ハチノス』へ出航を始めるのでした。
※この時、麦わらの一味はエッグヘッドでCP0およびセラフィムと戦闘中。
ガープ率いるSWORDと黒ひげ海賊団の開戦
ガープが海賊島『ハチノス』に乗り込んだのは第1080話『伝説の英雄』。
マーシャル・D・ティーチ、ジーザス・バージェス、ヴァン・オーガー、ドクQ、カタリーナ・デボン、ラフィットの留守中にコビーは足枷(鉄球)を付けた状態で他に黒ひげ海賊団に捕まっていた奴隷たちを救出し脱走。(投獄されたコビーを助けたのはモリアを助けにきたペローナ)
捕縛に出向くのはシリュウ、アバロ・ピサロ、サンファン・ウルフ、バスコ・ショット、クザンの幹部を筆頭にした海賊島の海賊たち。
そんな中海賊島に現れたのがSWORDの面々と、空を飛んで現れた軍艦に乗るガープでした。
『伝説の英雄』の登場にシリュウたち幹部も臨戦態勢になると、ガープは『コビーは海軍の未来』と口上し、船から飛び降りると上空から地上に『拳骨衝突』を叩きこんでその場に居た有象無象の海賊とともに街を半壊させるのでした。
ガープの上陸とともに軍艦も着地し、奴隷たちを解放して逃げ回っていたコビーと合流。ヘルメッポを筆頭にコビーの安否を確認すると歓喜すると、コビー救出に参加したメンバーの中にはたしぎの姿も。
しかし、コビーの足枷が取れずに難航するひばり中佐が突然氷結すると、現れたのは元海軍大将のクザン。クザンは黒ひげ海賊団10番船船長に就いており、ガープの前に立ちはだかるのでした。
クザンはガープの一番弟子という経歴を持っており、ガープは愛弟子を救うためにかつての一番弟子を倒す他ありません。しかし、目の前に立ちはだかるクザンに『今を生きろと教えた筈じゃ』とクザンの氷結攻撃を物ともせずに突進し、強力な覇気を纏う『海底落下(クザンの顔を鷲掴み地面に叩きつける技)』を放つのでした。
ガープとクザン(青キジ)の回想
第1087話『軍艦バッグ』では、一旦勝負の行方を置いて回想が繰り広げられます。
何でも若き日のガープは何十年もの間『覇気や能力を使わずに廃船場で軍艦の装甲をサンドバッグ代わりに殴り続ける』というものを日課にしていたとか。故に『軍艦バッグ』と呼ばれていました。
その跡地には今も二つの穴ぼこ状態の廃船が転がっており、一つはガープが破壊した軍艦。もう一つは一番弟子のクザンが破壊したものでした。
その昔、クザンは海軍の教官たちの指導を終えた後、まだ黒髪時代のガープに「弟子にしてくれ」と志願しており、その時にガープは「黙れ!失せろ!」と一蹴していますが、次のコマでは既にガープとクザンは一緒に軍艦バッグを繰り広げていました。
来る日も来る日も軍艦を殴り続ける描写には時の経過を知らせるように『息子が革命家になった』『孫が海賊にあると言い出した』というガープの台詞と白髪になったガープの姿が描かれており、いつの間にかクザンも大将になっています。
しかし、クザンが大将になってもガープはおやつを食べる際にクザンを誘っており、クザンも文句を言いつつもガープの我が儘に付き合うのでした。
ガープvs黒ひげ海賊団幹部
第1087話『軍艦バッグ』では、ガープとクザンの回想を挟みつつ戦闘が描かれています。
ガープはクザンを『海底落下』で沈めた後に、次にサンファン・ウルフを島の外まで殴り飛ばして海に沈めています。そして、バスコ・ショットが放つ『酒豪炉火(飲んだ酒を吐き出して着火した火の玉)』を地面に転がっているモブの海賊を肉壁に使って防御すると、情けなのかそのままモブを振り回して鎮火させているような動きを披露。
そして、ガープが暴れている間にSWORDの面々が海賊島に捕まっていた人々及び負傷者含む海兵全員を船に乗せて海へ避難したという連絡が入ると、ガープは島に残っているSWORDのメンバーであるコビー、ヘルメッポ、グルスに退散を命令。
海賊島は次から次へと海賊が湧いて出てくる為、いくらガープでも黒ひげ海賊団幹部と無数の海賊を相手にするのは浪費。コビー救出の目的が済んだら後は逃げ出す算段でした。(いつの間にかコビーの足枷は外されている)
しかし、海賊たちに囲まれたガープ、コビー、ヘルメッポ、グルスの前にまたしても立ちはだかったのは立ち上がったクザン。
ガープは後は軍艦が待つ海岸まで走り抜けるだけだと部下を励ますと「死ぬなよ!!」と一言。
そんな中、コビーの視界には海賊に追いかけられている民間の女性の姿が映り込み、コビーは女性を助けるために駆け出します。しかし、それは海賊の罠であり、女性自身も海賊でただの演技。
コビーの隙を突くのは『スケスケの実』の能力で透明化したシリュウであり、シリュウはコビーめがけて刀を突き刺すのです──が、コビーは寸前でガープに弾き飛ばされるとガープはコビーを庇ってシリュウに腹を一突きされるのでした。
吐血し一瞬険しい表情を浮かべるガープでしたが、即座に透明化したシリュウの襟元を掴むと地面に叩きつけるとシリュウの姿が露見。しかし、致命傷を受けたガープの足元がふらつき、海賊側は鉄のガープを弱らせたと士気が上がることに。
ガープの心配をするヘルメッポとグルス、自分のせいでガープが負傷したと悔やむコビーですが、ガープは「先に船へ」と促します。
なお、クロスギルドがガープに賭けた懸賞金は約30億ベリーと判明し、海賊たちが弱ったガープの首を取るために群がってきますが、両手両足を縛っても雑魚ではガープには勝てないとしてクザンが動きます。
ガープとクザンが衝突する直前に二人の師弟時代の回想を挟むと、クザンは「厄介な敵を育てましたね」と一言述べます。対してガープは「破門じゃ、バカ弟子」と返答すると、クザンの『氷拳(ヒエヒエの実と覇気を纏った氷のパンチ)』とガープの覇気を纏った拳が激突。
覇気が衝突した衝撃で辺り一帯が吹き飛ぶと同時にガープとクザンも弾き飛ばされると、倒れたガープを守るようにグルスが海賊を牽制。
そこに追い打ちをかけるように『シマシマの実』の能力を持つアバロ・ピサロが海賊島そのもと同化して孤島ほどの巨大な手足を生み出すと、軍艦を沈めようと腕を伸ばすのでした。
そして、うろたえるコビーにガープは仰向けに倒れたまま「うろたえるな、正義は勝つ」と力強く述べるのです。
コビーの覚醒
第1088話『最後の授業』では、まだコビーが雑用時代の回想が描かれています。
若い海兵に教鞭を振るうガープが若い海兵たちに出題するのは『ジジイと赤ん坊が猛獣だらけの島に取り残されており、お前は二人しか乗れないボートに乗っている。さて、どうする?』という心理テストさながらの問題。
コビーは自分が降りて二人が助かる道を選択しますが、ガープは「ハズレじゃ!」とマジックを投げつけて激怒。何とガープの答えは『老い先短いジジイは見捨ててよし!』であり、ガープは人の未来を救うために海兵になったのではないかと叱咤。ならば、ジジイよりも海兵と赤ん坊二人の未来を優先して生きろと豪語するのです。(なお、教鞭後は『命は平等』と言われて他の海兵に怒られた模様)
回想が終わると再びアバロ・ピサロが『シマシマの実』の能力で船を沈めようとする場面に戻り、海兵たちは窮地に。しかし、狼狽えるコビー、ヘルメッポ、グルスに「お前らなら救える!!」と一声かけると、
- ガープは自分は一瞬の隙を作る
- コビー大佐は島の怪物の手を破壊せよ
- グルス少将はその破壊の落石から軍艦を守れ
- ヘルメッポ少佐は誰にも二人の邪魔をさせるな
と海軍中将としてそれぞれに指示を与えます。
かなりの無茶ぶりでしたがガープは「いつでも判断は一瞬」と彼らの声を遮ると、ガープの「飛べ」を合図に『剃』で役割を全うするために散開。
海賊たちは動き出したコビーたちを仕留めるために大砲を撃ち込みますが、ヘルメッポはガープの指令を思い出してコビーたちの邪魔をさせないために身を挺して被弾し妨害。
ガープもまた疲労困憊およびシリュウに刺された傷跡から出血しながらも立ち上がると、有象無象の海賊たちとクザンを前に暴れ出し、海賊島のシンボルの巨大な髑髏岩に同化したアバロ・ピサロのもとに一っ飛びすると『拳骨唐竹割』を撃ち込みます。
ガープの言っていた隙を作るとはこの行動を指しており、その破壊力を受けたアバロ・ピサロが仰け反ると同調したように島を覆うほどの巨大な腕も上に上がることに。しかし、この段階ではまだアバロ・ピサロに対したダメージはなく、再び同化した巨大な腕を叩きつけようとするのです。
しかし、そこに飛び込んだのがコビーでした。コビーは海兵入隊後の雑用時代から人より戦いの才能が無いとして、ガープの特訓の後に『100倍200倍の訓練』を課してきました。そして、毎晩毎晩拳に血を流し痛みに耐えながら『軍艦バッグ』を続けてきたのです。
そんなコビーが放った技は『実直拳骨』。
実直拳骨は孤島ほどの巨大な腕を真っ二つに割くように破壊すると、その余波で海賊島のシンボルの髑髏岩も切断し同化していたアバロ・ピサロの腕がメキメキと悲鳴を上げて嗚咽。
コビーが放った一撃を見て「ぶわっはっはっは!!」と感涙するガープと、コビーが砕いた残骸の落石を『グニョグニョの実(粘土人間)』の能力で蜘蛛の巣を張るようにして受け止めるグルス。
そして、ヘルメッポは力を使い果たして墜落するコビーをキャッチすると感激するのでした。
ガープの敗北と最後
引用元:尾田栄一郎『ONE PIECE』 出版:集英社
コビーの覚醒で犠牲者を出さずに済み、後は軍艦で退散するだけとなりました。
グルスは落石を受け止める際に、ヘルメッポは墜落するコビーをキャッチした足で既に軍艦に乗船。残すはガープの乗船を待つだけとなります。
黒ひげ海賊団幹部と海賊島の海賊たち相手に完全勝利を目前した海兵たちは祝杯ムードで大喜びしていると、電伝虫に着信が入りたしきが受話を担当。
しかし、ガープはコビー大佐救出任務は完了したことを伝えると、たしぎはガープも急いで戻るように伝えますが、ガープはそのまま全軍前進で海賊島を離れることを通達するのです。耳を疑い聞き返すヘルメッポと真顔になるSWORDの面々。
ガープは自分は何とでもなると告げると、あくまでもお前たちが無事なことが最重要事項と告げると、いずれこの一件が海賊たちの脅威となることを確信したように話すのです。
すぐに船を引き返そうと提案するコビーですが、グルスは黙ってコビーを制止。
そして、場面が軍艦から海賊島に切り替わると、そこには半氷漬けにされたガープが仰向けに寝転び腹に氷柱が打ち付けられている状態でした。さらに、瀕死のガープを取り囲むのはクザンを筆頭とした黒ひげ海賊団幹部たちと海賊島の有象無象の海賊たちだったのです。
そんな絶体絶命の中でガープは「前進せよ──お前たちが海軍の未来じゃ!!!」と告げると通話を切り、いつものように「ぶわっはっはっは!!」と涙を浮かべて大笑いをしながらクザンによって凍らされていくのでした。
なお、ガープ自身は黒ひげ海賊団に敗北した形ですが、コビー救出の当初の目的は完遂しているのでミッション的には自分が犠牲になったものの勝利扱いですね。
ガープの死亡について
ガープの死亡についてはまだ確定ではありません。
今回の海賊島の一件は翌日の新聞で公開されており、その一面は『海軍の若き英雄コビー大佐の生還と海賊島にて消息不明の伝説の英雄ガープ中将』というもの。
ガープの生死については、
- ガープは最後にクザンに凍結されている
- クザンがアイスタイムで凍らせたハグワール・D・サウロが生存している
- 消息不明と書かれている
などの情報から見てもまだ死んではいないと考えた方が良いでしょう。
今後処刑や何かに利用される可能性も否定できませんし、何よりガープの死亡を描かずに退場させる意味もないと思うので、やはりいずれどこかで再登場するか、処刑は改めてどこかで行われるのかもしれませんね。
コビーの安否について
コビーはSWORDとガープの奮闘により無事生還することができました。
しかし、自分のせいでガープが犠牲になったという現実からどう転がるのかは予想できません。まあ、コビーなので正義として強く成長してガープの意志を引き継ぐとは思いますが、どこかでルフィと再会した時にはこの一件は打ち明けるでしょうね。
コビーが習得した『実直拳骨』、そして『若き英雄』としてガープの後継として描かれていることから、今後海軍を引っ張っていく未来の英雄として大きな功績を遺しそうです。
まとめ
ガープが海賊島に出撃し敗北するまでの流れ
- 第1059話:コビーが黒ひげ海賊団に拉致される
- 第1071話:ガープが上の許可を得ずSWORDやたしぎを連れて海賊島に出航開始
- 第1080話:海賊島に到着しシリュウ、アバロ・ピサロ、サンファン・ウルフ、バスコ・ショット、クザン、海賊島の海賊たちと交戦しコビーと合流
- 第1087話:コビーを庇ってガープがシリュウに腹を刺されて致命傷を負う
- 第1088話:コビーが覚醒して『実直拳骨』を放ちアバロ・ピサロの山のような腕を破壊し軍艦を救う
- 第1088話:ガープ以外が軍艦に脱出を果たすが、ガープは既に黒ひげ海賊団幹部と海賊たちに取り囲まれており、『全軍前進』を指示
- 第1088話:ガープは氷柱が腹に刺さったまま半凍結状態で仰向けで倒れており、電伝虫でコビーたちに『お前たちが海軍の未来じゃ』と伝えて通話を切り、クザンに凍らされた
- ガープの死亡は確定ではなく『消息不明』となっている
ルフィの祖父にして長年海軍中将を続けた現役の海兵こと『英雄ガープ』ですが、コビーを救助するために自分が犠牲になるという最後を迎えました。
展開的にはエースと白ひげ海賊団の頂上戦争のオマージュに思えますが、結果はちゃんと目的を遂行して逃がしているのでさすがはガープですね。互いの戦力は少ないですが。
ガープの最後にはクザンやコビーの回想と成長が見れて何だか内容が圧縮されているように思えましたが、あっという間でした。
ただ、まだ消息不明扱いなのでいずれ最終章のどこかで再登場することを祈るばかりです。
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