漫画『アイシールド21』は、原作:稲垣理一郎・作画:村田雄介が描くアメリカンフットボールを題材とした作品で、2002年から2009年まで『週刊少年ジャンプ』で連載されました。
気弱な少年・小早川セナが正体不明の「アイシールド21」として出場し成長していく姿を描いた作品で、クリスマスボウルで優勝し、世界大会へと進みました。
そして連載終了から約15年後の2024年1月、連載開始21周年を記念して特別読み切り「BRAIN×BRAVE」が発表。本編最終話のその後を描いたこの読み切りは、セナ蛭魔妖一が大学の舞台で再び激突する内容となっています。
今回は特別読み切り『アイシールド21 BRAIN×BRAVE』のネタバレをご紹介したいと思います。
特別読み切り『アイシールド21 BRAIN×BRAVE』のネタバレ
物語は最終話の延長を舞台とした時間軸で、アメリカンフットボール全日本大学選手権の真っ只中。
本編最終話にて、高校三年の秋にクリフォードから留学招待を受け半年間だけ渡米しノートルダム大付属にて猛特訓を受けたセナは、帰国後、炎馬大学へ進学。進学早々に恋ヶ浜大学との対外試合を組まれ大学デビュー戦を行っています。
大学リーグ関東大会決勝戦
読切ではすでに関東大会決勝まで進んでおり、炎馬ファイヤーズ(炎馬大学)は、王城シルバーナイツ(王城大学)と甲子園ボウル出場をかけて試合をしています。
勝敗を決めるラストプレーにて、セナはデビルバットゴーストを使用しますが進の三叉槍タックルに止められボールをロスト。しかし、零れたボールをモン太が拾ったことで決着し、炎馬の優勝が決まりました。
決着後、モン太と桜庭が握手をしており、桜庭が「今年は見事リベンンジされたね」と発言しているため、昨年は王城に敗北したようです。また、大田原は栗田に泣きつき次戦へ向けてエールを送っていました。
一方で、セナは進と握手を交わすと、個人戦では最後までほとんど勝てなかったと悔しさを露に。そんなセナに向けて進は何かを伝えますが、台詞が崩されているため読めないようになっており、何を伝えたのかは不明。
こうして関東大会優勝を果たした炎馬は大学リーグ無敗の王者、ヒル魔率いる最京大ウィザーズと戦う甲子園ボウルへの出場権を獲得しました。
外国人練習生枠を賭けて戦うセナとヒル魔
ある日の練習後、部室に戻るとヒル魔と今やNFL選手になったドンの姿(ドンはSP付)が。
ドンが炎馬大学の部室にわざわざ赴いたのは『外国人練習生の日本人枠が一つあるため、小早川瀬那か蛭魔妖一のどちらか一人だけをチームに迎え入れる』と伝えるためでした。
ドンのいるチームは数年前からNFL選手に運用されているRFIDチップを活用し、AIにチームを優勝へ導くのに必要な選手を聞き出しました。このチップは選手のスピードや加速度など全てのデータをリアルタイム解析できる優れもので、AIはチーム優勝に『高速の走者』あるいは『変幻自在の投手』が必要であると導き出したのです。
そのため、ドンはその条件に適合するセナとヒル魔に外国人練習生の制度を伝えにきました。なお、セナとヒル魔、そのどちらを採るかパンサーに相談したところ、甲子園ボウルで直接対決が決まっていることから勝った方を採ると彼は答えました。こうして、かつて泥門デビルバッツに所属した先輩後輩同士で枠を奪い合うことになります。
その帰り道、セナは進路希望書に書いた『卒業後の希望進路はアメリカンフットボールのプロ選手です』という自身の夢を思い浮かべながら、かつてヒル魔が言っていた『俺の運動能力じゃ正面からNFLには行けねえ』という言葉を回想し、葛藤を抱くことに。
ヒル魔であればドンのAI判定の件もその気になれば脅迫手帳でどうにでもなるはずですが、セナはヒル魔がアメフトにはずっと真摯に向き合っていることを知っています。そのため、ヒル魔は目の前で脅迫手帳をゴミ箱に投げ入れると、「俺がテメーに勝って頂点のプロに行くからな、もうこんなもんも必要ねえ」と勝利宣言。その言葉の背景に、セナは泥門時代のことを重ねるとヒル魔に向き直り「でも、勝つのは僕だ。倒しに行きます、全力で。だからヒル魔さんも──」と、打倒ヒル魔を宣言しました。
【甲子園ボウル】炎馬ファイヤーズvs最京大ウィザーズ
阪神甲子園球場で行われる甲子園ボウル最終決戦当日。
炎馬に所属する栗田はセナとヒル魔の夢、そのどちらも本気で応援したい気持ちで揺れ動いていましたが、チームのためにヒル魔を倒すと決断。国内ベストメンバーの最強大ディフェンスラインを崩し、パスを潰すことで、炎馬は僅かにリードする立場にありました。観客席にて、社会人リーグで活躍する峨王が、栗田の護るものがある時の圧倒的パワーを絶賛。
残り時間僅か、互いのサイドラインから見守る炎馬の鈴音や最京大のまもりも緊張から息の飲みますが、ここでヒル魔の奇策が炸裂。プレー開始早々に『KILL』と連呼するヒル魔。KILLとは、アメフトで投手が出すサインの一つで、決まっていた作戦を完全に殺す、つまり急遽作戦をリセットする際の号令であり、炎馬はこちらの守備陣形を見てから何か変える腹積もりだとヒル魔を警戒します。
しかし、言葉とは裏腹に通常通りボールを受け取るヒル魔を見て、炎馬のQB雲水は『KILL』の連呼はスナップカウント──四回目のKILLでプレイ開始の合図だと見破りますが、突然プレイが始まったことで判断が遅れる炎馬チーム。パスかランか──、ヒル魔はランに見せかけて最京大WRの鷹へとパスを繋ぎタッチダウン。このタッチダウンによって最京大は逆転しました。
残り試合時間1秒の作戦会議
最京大ウィザーズの逆転勝利で優勝が決まったかに思えたところ、試合残り時間1秒あることに気付きます。
ヒル魔は試合時間もコントロールしたつもりでしたが、鷹はキャッチの際に地上に高速のセナ・空中にモン太が迫ってきていたことから1秒早くキャッチせざる得なかったと説明。執念のプレイで首の皮一つ繋がった炎馬。雲水を中心に円陣を組む中、セナはこうした局面に懐かしさを覚えます。
一方で、最京大側では阿含が『あのチビカス共以外が相手なら勝ち確だった』と決して侮らない姿勢を見せると、大和が続くように『俺たちは全員痛いほど知っているはずだ。こんな絶望でこそ力を爆発させる悪魔のような男たちがいたことを』と、かつて彼らが戦った泥門デビルバッツの姿を炎馬に重ねます。
最京大は円陣を組むと、炎馬は100%アイシールド21のランで来ると要警戒。一方で、炎馬はセナのランで行くため全員で走路を開ける作戦。セナの足に特化した作戦と、セナの足を封じることに特化した作戦で両者はぶつかることに。
運命の決着
ラスト1プレー開始とともに試合時間は0秒に。
まず、空高く蹴り上げられたボールを炎馬の陸がキャッチするとロデオドライブで相手を交わしますが、そのまま反転しセナへとバックパス。しかし、最京大の一休が先読みしボールに飛びつき片手でキャッチしかけますが、ここでセナが光速の走りを見せ、一休がボールを確保するより早くボールを奪取しそのまま駆け抜けます。
炎馬の作戦通りセナの走路を開けるべく炎馬の選手が総出で敵とぶつかり道を開くと、その先でセナは大和と一対一に。しかし、セナは縦横無尽の動きで大和を翻弄すると自身に触れさせることなく抜き去るのでした。
あとはタッチダウンするだけ──炎馬の逆転勝利まであとわずかのところで立ちはだかったのは阿含。神速のインパルスでセナの前に先回りすると、セナは完成されたデビルバットゴーストで躱すのが最適解と判断しますが、ここで脳裏を過ったのが関東大会決勝後に進に言われた言葉。それは『更なる高みに必要なのは最適解を凌駕する勇気だ』という言葉であり、セナが今以上に進化するための手掛かりでした。
進の言葉を思い出したセナは、どちらかに避ける二個の選択肢ではなく、正面からぶつかる三個目の選択肢を含めた『デビルバットトライデント』を即興で披露。普通に考えれば体格の恵まれていないセナが相手に少年から挑む選択肢はブラフと考えますが、ヒル魔は『だからこそ行く──だろ、セナ』とセナの心理を読みます。最適解探しではもう誰もAIに敵わない時代ですが、勇気だけで最適解の先を求めてもがき続けるのが人間であるとヒル魔は独白。
一方で阿含はヒル魔と幾度と闘った経験則からセナの行動に特段驚きはしないものの、油断もしない様子。そのバックで、ヒル魔が『プロ行って全員ブチ殺す!!頂点を超える!!その人間は──俺だ!!』と述べると、セナも答えるように『僕だ』と発言。
そして、阿含が伸ばした腕がセナの右肩を掠めユニフォームが破れますが、セナがボールを抱え込んだまま強引に阿含の腕を突破する見開きで読切は終了するのでした。
まとめ
以上、特別読み切り『アイシールド21 BRAIN×BRAVE』のネタバレの紹介でした。
今回の読切は単なるファンサービスではなく、本編では描かれなかったセナとヒル魔の対決、プロ選手を目指すセナの葛藤と更なる進化、他キャラクターのその後や成長がぎっしりと詰まった作品でした。
AI導入による利便性と最適解を凌駕する人間の構成や、セナ対ヒル魔、かつて絶望から這い上がってきた泥門魂をヒル魔が体験する側になる構図など、高校時代の熱い戦いを知っている読者ほど燃えるような展開となっています。
炎馬や最京大に進学したキャラの他にも、観客席に懐かしいキャラが顔出ししているので、アイシールド21ファンには一見の読切です。
その一方で、炎馬と最京大の勝敗は読者に委ねる形となっており、どちらがライスボウルに行き社会人リーグの王者と戦ったのか、そして大学と社会人でどちらが勝利したのかもわかりません。
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アイシールド21 稲垣理一郎・村田雄介(著) |
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