2000年代初頭に放送されたアニメ「学校の怪談」。
本作は主に小学生の主人公たちを視点に学校や町内でオバケに遭遇し対処するというオムニバス形式のホラーアニメですが、その中でも異様な恐怖で語り継がれるのが「ババサレ」です。
今回は当時の子供に強烈なトラウマを残した「ババサレ」について解説していきます。
学校の怪談の「ババサレ」とは?
引用元:スタジオぴえろ「学校の怪談」
学校の怪談に登場する怪奇現象は主に幽霊や妖怪による仕業であり、主人公たちが原因の解明と霊を封印する「霊眠」を行うことで解決するオムニバス形式。
今回紹介する「ババサレ」は、本編中に幽霊か妖怪の言及はなく、主人公・宮ノ下さつきの亡くなった母が小学生時代に霊眠させたものが、土地開発によって封印が壊れ現代に復活したもの。一般的な妖怪退治の構造とは異なり、不可解で説明不足な恐怖が前面に出た、特に異色のエピソードとなっています。
「ババサレ」回のあらすじ
引用元:スタジオぴえろ「学校の怪談」
物語は、一人留守番をする小学生男児から始まります。
夜10時前、電気を消してお菓子を食べながらテレビを見ていたところ、不意に玄関を叩く音が聞こえたので怯えながらも確認に向かう男児。しかし、ドアの向こうから母親の「ただいま」という声が聞こえたので安心した男児がドアノブに手をかけたところ、急に不安感が押し寄せ、恐る恐るドアを開けてみると…。
そこには死神の出で立ちをした鎌を持つ老婆のような外見をした怪異「ババサレ」が佇んでいたのです。
これをきっかけに天の川小学校の児童の間に「ババサレ(※この時点では名称は不明)」の噂が広まり、一人で留守番をしている子供は不安を募らせていきます。そして、連鎖的に次の被害者が出て行く中、さつきも親が仕事で遅くなるため弟の敬一郎と留守番をすることになり──。
本編の内容
家が両隣のさつきとハジメは、都合よく同じ日に親の帰宅が遅くなるため子供だけで留守番することになり、ハジメは敬一郎を自宅に呼んでゲーム、さつきは桃子を呼んで自宅でご飯を作っていました。
一方で、レオも一人で留守番をしていると「ババサレ」が出現。辛うじて逃げ出すと、その足でさつきの家に助けを求めにいきます。この時、買い出しに出かけていた桃子とすれ違うも、桃子には「ババサレ」が見えていなかったのでレオが一人で走っているように映ります。
さつきの家にはお腹を空かせたハジメが訪れており、レオがババサレを連れてきたことで停電などの怪奇現象が発生。何とか家に上がり込み助かるレオですが、今度はハジメの家に残って一人でゲームをして遊んでいた敬一郎の方にババサレが向かったため、さつきとハジメで救出に向かい敬一郎を連れて再びさつきの家へ。
しかし、ババサレがさつきの家の中へ入り込んだことで、さつきたちは風呂場まで追いつめられることに。が、夕飯に作ったカレー鍋をひっくり返してその液体を浴びたババサレが苦しみ付着部分を透過させた現象を見ていたさつきは、瞬時に熱いものに弱いと見抜き、急いで風呂を沸かせます。
そして、ババサレが脱衣所を通り浴室に顔を出したところで、ハジメとレオが掃除道具(デッキブラシなど)を使い叩き込み、熱した浴槽へと落とし込むと、ババサレはもがき苦しみながら水の底へと沈んでいきますが──。
天の邪鬼が「なんかお前達勘違いしてねえか。あいつは子供の恐怖心に付け込んで現れるオバケだ。だから、はなっからオバケを信じてねえ大人には見えないんだよ。つまり、お前達が怖がらなきゃあ現れない。逆に怖いと思えば何度でも来やがる。お湯が弱点なんてことはないはずだぜ」と説明すると、油断したさつきたちの背後の浴槽内──水面からババサレの復活。
しかし、悲鳴を上げ、覚悟を決めるさつきたちでしたが、ババサレの鎌が振り下ろされたところで父親が帰宅し点灯。気づけばババサレも忽然と姿を消していました。玄関に行けば、道中でばったり会った桃子も一緒に帰宅しており、さつきたちは辛うじて難を逃れるのでした。
結末
翌日、五人は天の邪鬼から聞いたことと桃子や父親がババサレの姿を確認できなかったことから、恐怖を抱かなければ勝手にいなくなると知り「あの苦労はなんだったんだ…」とくたびれます。
しかし、最後に場面は土地開発で壊されたと思しき瓦礫の山(神社の社跡)を映し出すと、ネガポジ反転描写で地中からババサレの腕が飛び出して物語は終了、そのままEDへと移行しました。
この演出から、天の邪鬼が言ったようにお湯は弱点ではなく、霊眠場所となっていた神社の社も壊れているため霊眠もできていない状態であることが窺い知れます。つまり、ババサレは今後も野放しの状態であり、さつきたちの知らない場所で次の被害を産み続けていることになります。
「ババサレ」の能力
引用元:スタジオぴえろ「学校の怪談」
「ババサレ」は鎌を持っていますが、実際に怪我や重傷を与えることはなく、あくまでも精神的恐怖を与えるオバケのようです。
ババサレ自体は死神を連想させるマントと鎌を持った老婆のような外見が特徴。親の留守中に一人でいる子供を狙う習性を持ち、被害に遭った児童は何れもババサレと会った後は意識を失い倒れ、意識が戻ってもただ怯えるという症状が報告されています。
劇中では子供を後ろから鎌で切りつけている描写がありますが、怪我を負ったという報告や後日談もないため、切りつけも精神的な恐怖を与える手段の一つと言えます。
「ババサレ」の出現条件
ババサレは親の留守中に一人でいる子供のもとに現れるとされますが、天の邪鬼が言ったように「子供の恐怖心に付け込んで現れるオバケ」であるため、正確には怖がっている子供の前に現れるということになります。
つまり、同じ子供でも桃子のように通常時に恐怖心を抱いていなければ一人で留守番をしていてもババサレは現れない、もしくは見えないということであり、万が一現れても恐怖心を捨てれば消えるということです。
一方で、天の邪鬼の説明では大人はオバケを信じていないから見えないとされていますが、仮にオバケを信じて怖がっている大人がいれば、その大人はババサレが見えるのかどうかについては不明です。
「ババサレ」の霊眠方法
ババサレの霊眠方法は以下の通り。
- 「ババサレ」と3回唱える
過去に佳耶子はこの方法でババサレを神社の社に霊眠させましたが、街の宅地開発によって神社の周りに貼られた悪霊封じの結界が効力を発揮できなくなり、現代に蘇りました。
しかし、現代に蘇ったババサレは、上述の理由で結界の効力が発揮できないことから「ババサレ」と3回唱えても霊眠できなくなっており、天の邪鬼でさえ「こうなったらもうババサレを霊眠できる方法はないぜ」と釘を刺しています。
「ババサレ」の弱点
ババサレには熱湯を嫌う性質があります。
これは偶然作り立てのカレー鍋が倒れた際、カレーがババサレにかかると嫌がり動きが鈍くなるほか、一瞬だけ体が透けるなどの減少が起きたのをさつきが見ていたことで発覚します。
つまり、一時的にお湯に沈めるなどして自由を奪うことが可能ということですが、あくまでも対処であって霊眠方法ではありません。また、熱湯が弱点というのも、劇中で天の邪鬼が否定しているため、たまたまさつきたちが弱点と思い込んだことが影響しているのかもしれません。
加えて、現代でババサレを霊眠できる手段は今のところ不明です。
「ババサレ」がトラウマ回と呼ばれる理由
引用元:スタジオぴえろ「学校の怪談」
1. 異質すぎる演出
この回の最大の特徴は、説明不足になります。
通常のエピソードでは妖怪の正体や発生の理由から対処法がある程度提示されていますが、ババサレにおいては特に理由付けなく発生しています。一応は佳耶子の「オバケ日記」に霊眠方法が書かれていたものの、結界が効果を失っていたため同じ方法では霊眠できないというのも特別感があります。
加えて、親が不在で一人留守番をしている子供──それも内心に恐怖心を抱いている子供を標的に出現するという条件は、当時の視聴者だった子供たちに強い不安感を与えました。恐怖を抱く子供が狙われるという演出はとにかく異質な空気感を生み出しています。
2. 未解決の後味の悪さ
夕飯時に放送されていたアニメとしては、内容があまりにも重く不気味であるのがこの回の特徴です。
これまでのエピソードでは、ある程度の恐怖を乗り越え霊眠するという決着が用意されていますが、ババサレ回は「解決」したわけでなく運良く助かったにすぎず、後味の悪さが際立っています。
浴槽に張った高音のお湯に沈めて弱らせてはいるものの、ババサレ自体は時間が経てば動ける状態にあり、さつきたちの前から忽然と消えたのは、父親が帰宅し恐怖心が無くなったことが関係しているため、実際にはババサレはさつきの家からいなくなっただけで今もどこかを彷徨っていることになります。
3. 音響の恐怖演出
特に「ババサレ」回で印象に残っているのは、ババサレが出現し子供に迫る際に使用された音響です。
この音源は唐突な静寂から正体不明の不気味な存在が迫りくる様子を的確に表現したもので、襲われる子供の緊迫感と迫りくる恐怖感が体現され、聴覚的な恐怖が強調されています。
また、ババサレの音声は機械的に編集されたもので、“人の声なのに人ではない”ような違和感が、心理的な不安を増幅させます。音をうまく使ったホラー回でもありました。
視聴者の反応
放送当時から「怖すぎる」という声は多く、ネット上でも長年語り継がれているババサレ回。よく見られる反応としては以下のようなものがあります。
- 意味が分からなくて逆に怖い
- 夢に出てきた
- 見た後しばらく一人でいられなかった
- 他の回とは別物に感じる
- 原因が曖昧
- 解決が不完全
以上のように、ババサレ回は当時の子供を震え上がらせました。
特に「原因→対処→解決」という一蓮の枠組みを外れた回でもあったため、たった一度の放送を見た切りでもババサレ回のことは何となく覚えているという視聴者も多く、本回がそれだけ印象的だったことを物語っています。
まとめ
以上「学校の怪談トラウマ回ババサレ」についての紹介でした。
「ババサレ」は子供の恐怖に巣食う要素や劇中の説明不足感、音響の演出などを含み、当時の視聴者にトラウマを植え付けた異色のホラー回です。解決しない恐怖と不気味な演出が、強烈な印象を残したことで、今なお語り継がれています。




