金田一少年の事件簿の事件の一つ「墓場島殺人事件」。
本事件は歴代犯人の中でも多くの死者数を記録した復讐事件でもありますが、今回殺された被害者たちは読者から「クズ」と蔑まれています。
今回の被害者となったサバイバルゲームに興じる大学生グループは、はたして何をやって犯人の恨みを買ったのでしょうか。
今回は墓場島殺人事件の被害者がクズと呼ばれる理由についてご紹介したいと思います。
墓場島殺人事件の被害者と登場人物
墓場島殺人事件の被害者は、サバイバルゲームに興じる大学生グループ7名となります(8人中、1人犯人)。
| 岩野チーム | 米村チーム | ||
| 岩野渉 | |||
| 無関係の登場人物 | |||
| 金田一一 | 七瀬美雪 | 佐木竜二 | 森下麗美 |
| 岡崎浩司郎 | 陣馬剛史 | 平嶋千絵 | |
今回の被害者となったのはサバゲーに興じていた大学生グループ。彼らはとある事情から誰もいない無人島でサバゲーを楽しんでいましたが、2チームに分かれて遊んでいたところ、金田一一行が島に上陸、そして、米村チーム4人が犯人に殺害されたのをきっかけに事件が始まります。
墓場島殺人事件のあらすじ
夏休みに入ると、はじめたちはクラスメートの森下麗美の提案で、旅館を営む平嶋千絵の実家がある沖縄へバカンス旅行に出かけます。ところが旅館は想像以上に小さく、周囲に遊び場もないため一同はがっかり。そんな折、旅行会社の男が現れ、近くの無人島「墓場島」へのサバイバルツアーを勧めます。
島は太平洋戦争中の玉砕の地で、戦闘機の残骸や白骨が散乱する不気味な場所。伝説では旧日本軍の生き残り兵士が今も潜み、戦争を続けていると言われ、地元では「亡霊兵士を見た者は不幸になる」と恐れられていました。
一行が島に上陸すると、すでに大学生のサバイバルゲームチームが先に来ていて、二つのチームに分かれて遊んでいました。岩野チームと米村チームの計8人。はじめたちは彼らと合流し、キャンプを始めますが、初夜に山上で大爆発が発生。翌朝、音の場所を確かめにきたはじめたちは米村チームの4人が全滅している現場を発見することに。
これをきっかけに、はじめは事件の異常さに気づき、島の歴史や亡霊兵士の噂を調べるが──。
墓場島殺人事件の被害者と死因
| 名前 | 死因 | 詳細 |
| 米村 | 爆死? | 1日目の晩、チームで焚き火を囲いながら談笑中に席を外し立ちションに向かうと、背後から犯人に襲われる。その後、現場近くには彼のメガネが発見されたため爆発でバラバラになったと思われたが、実際には青酸カリで毒殺され日本兵の服に着替えさせられトリックに利用される。 |
| 井坂 | 爆死 | 1日目の晩、米村が立ちションから離れてしばらく後に、犯人が投げ込んだ手榴弾により爆死。手榴弾にいち早く気付き「うわっ…こ…これは!?」と焦るも、避難が間に合わず爆発に巻き込まれたようで、翌朝現場にやってきた岩野チームによってちぎれた生首を発見される。 |
| 河野 | 爆死 | 1日目の晩、犯人が投げ込んだ手榴弾により爆死。井坂らと同じく現場に肉片が飛び散った状態で発見される。現場近くに彼の双眼鏡が発見される。 |
| 守屋 | 爆死 | 1日目の晩、犯人が投げ込んだ手榴弾により爆死。井坂らと同じく現場に肉片が飛び散った状態で発見される。現場近くに彼のひび割れた腕時計が発見される。 |
| 萩元哲範 | 刺殺 | 2日目の晩、避難先の防空壕で寝袋に入って寝ているところ、犯人の銃剣で喉元を突き刺され殺害される。 |
| 難波昌平 | 刺殺 | 3日目の晩、飛行場跡でテントを張り寝袋で寝ていたところ、首の後ろをナイフで刺されて殺害される。 |
場島殺人事件の被害者がクズと言われる理由
被害者たちが「クズ」と呼ばれる最大の理由は、今回の犯人となった森下麗美と檜山達之の故郷の村を焼いてほとんどの住人を焼死させたこと、そして、保身からその事実を隠し他責思考になるばかりか罪悪感を持たずヘラヘラとしていたことがあげられます。
黒坂村全焼事件
2年前にワイドショーやニュースで何度も取り上げられた「長野県黒坂村全焼事件」。麓からの消防車は間に合わず、折からの強風に煽られて火は燃え広がり、火が完全に消えるまでに3日。村の生存者は森下と檜山を含めて数人しかおらず、ほとんどの住人は火に村を囲まれて逃げられず死亡してしまいました。
焼跡からは32人の無惨な焼死体が発見されており、二人の家族も被害者に含まれています。
こうして突然の火事で二人は家族も家も帰るべき故郷も、何もかもすべて失ってしまったのです。
黒坂村全焼の原因
黒坂村から出て東京の親戚を頼り進学した二人は、ある日、ファミレスで黒坂村の火事の全容を知ることになります。
少し離れた位置に座って談笑していたのはサバイバルゲームを趣味にする大学生集団。よく顔を見ていれば、その集団は火事発生当時、山の中から慌ただしく車で走り去っていった人物たちと瓜二つだと気付く二人。そして、彼らは「黒坂村って言ったかな、あの村──」と、村の生き残りが店内にいるとは露知らず、当時のことを話し始めます。
実は黒坂村の火災は天災ではなく人災、それも彼らがサバイバルゲームをしていた際の火の不始末にありました。2年前、彼らは黒坂村近くの山でサバイバルゲームをしていましたが、萩元の火の不始末が原因で火が燃え広がったため、火を放置して山を離れました。当時、空気が乾いていて風が強かったことも影響し、火は瞬く間に村を囲うほど広がってしまい、32人もの村人が死亡するという悲惨な結果を招いてしまったのです。
しかし、彼らは保身のことばかり考えており、萩元はママに叱れることを恐れ、他の奴らも「ニュースでは何も言ってなかったから大丈夫」と楽観視。秋元に至っては、千葉の山でボヤ騒ぎを起こした前科があり、その際も同じ言い訳をしていたことが発覚。
岩野はサバイバルチームのリーダーでありながら「仕方ないよ、あの時は風が強かったしさ」と他人事で、責任を負う立場にありながら、「空気も乾いてて風も強かった。過失じゃない」と過失を全面否定。消火活動や避難誘導を一切行わず、自分たちだけ逃げ延びた点を棚に上げる始末。
米村に関しては「でもさー、俺らの焚き火はあの村から離れていたよな!なんで逃げらんなかったんだ?案外、ちょうど同じ頃、村の誰かが火ィ出したんじゃない?」と主張し、被害者である村人を非難する始末です。
彼らは森下と檜山が聞いているとは知らず、反省せず、黒坂村の死者を嘲笑うかのような談笑を繰り広げました。
なお、墓場島本編でも、殺人事件に巻き込まれた萩元は「どうしてボクいっつもこんな目にあわなきゃなんないの~!?2年前の時だって──」と時間が経っても全く反省していないどころか、自分が被害者であるような発言をする模様。
復讐の決意
ファミレスで岩野たちの話を聞いた森下と檜山は、村を焼いた張本人を前に猛烈な怒りを沸き立たせますが、森下が彼らを警察に突き出そうとしたのを檜山は抑え留めます。
檜山が森下を抑えたのは、現時点では警察に突き出しても会話だけでは証拠不十分となりすぐ釈放されると考えたのも理由の一つですが、警察に突き出すよりも彼ら全員に家族や村の人達の苦しみを味わわせるために何年かかっても自分達の手で裁くという意志の表われでした。
こうした過去が檜山達之と森下麗美の復讐の引き金となり、いつか行う復讐に備え、その場で警察に突き出すのは止めて全員の顔を覚えるだけにとどめると、今回の墓場島で殺人を決行しました。島に誘い込んで「亡霊兵士」の噂を活用し、彼らを裁く計画を立てたのです。
岩野のその後
檜山と森下の復讐で唯一生き残った岩野ですが、その後どうなったかは描かれていません。
事件解決後、はじめは剣持に「森下の証言で岩野たちがやったこと何とかできないの?」と相談していますが、剣持が「うーん…まあ2年も前のことだが…」と返答しているあたり、物的証拠がない現状では岩野の罪を認めることは難しい段階にあるようです。
しかし、剣持は「今度のことで岩野って奴も相当参ってるようだ。ちょっと聞きゃあ、おとなしく白状するだろうよ」と続けているため、岩野が自らの過失を供述する可能性が高いことがうかがえます。とはいえ、2年前の出火元が特定できない限り、彼らが他責したように村の誰かの火元が原因の可能性が否めないので、黒坂村全焼の責任を問うには現実的に難しいように思えます。
一応、今回の殺人決行とはじめの言葉で檜山と森下の復讐と殺意の溜飲は下がっているので、仮に岩野が自供し数年しか刑に服さなくとも、森下が今後復讐することはないように思えます。
まとめ
以上「墓場島殺人事件の被害者がクズと言われる理由・過去・死因」の紹介でした。
墓場島殺人事件の被害者は、人口わずか40人程度の村を全焼させ32人の死人を出したにもかかわず、悪びれもせず過失を秘匿し、保身や他責にかまけるまさに人間のクズのような人種でした。
警察に届け出ても証拠不十分でもあるし、死人に対して刑期は軽くなる可能性もあるため、檜山と森下は復讐を計画したわけですが、7人中6人を殺害したものの、はじめに止められて檜山は自刃、森下は逮捕され自供することとなりました。
岩野のその後についてはおそらく自供し罪と向き合うとは思いますが、それでも32人を殺した罪と同等の処分のはずがないので、やりきれません。このような理由で墓場島殺人事件は、金田一少年の事件簿の中でも屈指のクズ被害者として心に残ることになりました。
