るろうに剣心の主人公『緋村剣心』は実が既婚者なのです。
しかし、本編開始時点で剣心は流浪人として一人で各地を巡っていますが、果たしてなぜ剣心は一人で流浪人をしているのでしょうか。
この記事で紹介する内容は?
- 緋村剣心と雪代巴の関係
- 雪代巴の正体と許嫁
- 緋村剣心が雪代巴を斬った理由
- 緋村剣心の十字傷の理由
※緋村剣心の過去はこちら
緋村剣心と雪代巴の関係
引用元: 和月伸宏『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』 出版:集英社
10年前(物語開始時の明治11年からみて)、剣心が人斬り抜刀斎時代に出会ったのが雪代巴(ゆきしろともえ)という女性であり、本編では既に故人。『京都編』終了後に、剣心が墓参りすることでその存在が明らかにされます。
元治元年、許嫁を殺害された巴は死の真相を探るべく京都へ赴くと、居酒屋で似非志士のチンピラに絡まれているところを居合わせた剣心に助けられます。が、互いに何も交わさずに剣心は店を立ち去ることに。
剣心は、店を出た人通りのない道で幕府側の刺客の襲撃を受けますが難無く返り討ちに。しかし、追いかけてきた巴に世に認知される前の人斬り抜刀斎の姿を目撃されてしまうのでした。
「よく惨劇の場は血の雨が降ると表しますけど、あたなは本当に血の雨を降らすのですね」と怯えの無い無表情で述べる巴の姿に剣心は目を奪われていると、巴が失神したことで剣心は咄嗟に抱きかかえることに。一瞬、口封じを考えた剣心でしたが、巴の独特な雰囲気や白梅香の香水の香りにあてられて調子を狂わされてしまったのです。(なお、巴は失神ではなく先ほどの居酒屋で酒を飲み酔いつぶれていただけの模様)
こうして巴と出会った剣心はその場に彼女を置いていくわけにはいかなったため、剣心や志士が寝泊まりする下宿先『小萩屋』に連れ帰るのでした。
巴はそのまま小萩屋の女将に気に入られて居座ることに。
剣心は皆が安心して暮らせる新時代のために人斬りを引き受けている、市井の人はもちろん敵であっても『刀を持たぬ者は斬らない』という意思を持って戦っていることを伝えると、巴はもし『私が刀を手にしたら斬るのか』という質問をします。が、この時の剣心は巴の問いかけに答えることはできませんでした。
ただ、巴の前ではどうしても調子を狂わされて人斬り抜刀斎ではなく心太としての素が出てしまうほか、巴との出会いを経て剣のキレが鈍っていくのでした。
また、巴は桂小五郎直々に今の剣心には松下村塾の恩師・吉田松陰の教えの一つ『新時代を築くという大業を成すには我々もまた今は狂に至らねばならない』の最も過酷な『狂』の役割を剣心には務めてもらっていることを聞かされます。
しかし、巴は今の剣心には狂気を押さえる鞘が必要だと述べて剣心の側に居続けることを選択しました。
そんな巴に剣心は『もし巴が刀を手にしたら斬るか否か』の問いかけの答えとして『どんなコトがあろうと巴だけは絶対に斬らない』という意思を改めて伝えます。
そして、人斬り抜刀斎と恐れられた剣心は巴の前で熟睡するまでに心を開くことに。
剣心と雪代巴の結婚
時は少し経過して『池田谷事件』や『禁門の変』を経過し下宿先の小萩屋も焼け落ちた情勢時、剣心は運良く生き延びた桂小五郎が用意した京の外れの農村の家で身をひそめることになります。
若い男一人の身より若夫婦として過ごした方が周囲の目をごまかせるとして、桂は巴に剣心と暮らすことを提案したことで、巴は剣心に決断を委ねること。剣心はいつまで続くか分からないが『できれば形だけでなく一緒に暮らそう』と巴に告白めいた言葉を告げます。
そして、桂小太郎の失脚と高杉晋作の発病の時期、元治元年晩夏の剣心15歳に巴18歳のころに二人は結婚しました。
雪代巴の正体と心変わり
禁門の変から五ヶ月後の十二月、桂小五郎とは連絡がつかず、業を煮やした高杉晋作が奇兵隊を率いて藩政奪回を決起した内乱状態。
この時、剣心は桂が用意した家で巴と暮らしつつ薬屋の『検心』と名乗り村人と交流を持っていました。
剣心はこの五ヵ月、田園での巴との暮らしで村人と交流を持つことでよく笑うようになると、幸せというものがどんなものか全く知る由もなかった頃と一転して自分が何のために闘いこれからも闘っていくのかを知るのです。
しかし、兼ねてより剣心と親しかった長州藩の飯塚が内通者と判明すると、飯塚は巴との出会いで目の色が変わった人斬り抜刀斎を殺すならば今しかないと密告。その密告相手というのが『人誅編』の登場キャラとも関わりのある江戸幕府直属の暗殺組織闇乃武の長・辰巳(戌亥番神の師匠)、角田、八ツ目無名異、中条(乙和瓢湖の親友)、そして当時まだ子供の雪代縁でした。
そして剣心が暮らす家にやってきたのが縁であり、巴はこの一年誰とも連絡を取っていなかったため縁の来訪は予想外なものでした。剣心が姉弟で積もる話があると気を利かせて席を離れると、縁は「抜刀斎に天誅を下せる時が来た」と告白し、巴は動揺。
実は、巴もまた辰巳に言われて人斬り抜刀斎の懐に入り込み一挙手一投足を観察し弱点を引き出すことを目的とした復讐者の一人だったのです。京都所司代重倉十兵衛を暗殺した際に剣心が殺した清里明良という剣客こそが巴の許嫁だったのです。
ただ、この五ヵ月、巴は剣心と過ごすことで心変わりをしており、縁が去ったあとでようやく自分のことを剣心に話すことになります。
江戸に一家三人、身分は御家人、裕福でも貧しくもない平和な暮らしをしており、病弱で縁を産んで亡くなった母の代わりに縁を子守りしてきたことを話すと、嫁ぎ先の話を切り出します。
相手は同じ御家人の次男で幼馴染。父と似て文武はからきしながら誰にも優しく何よりも努力の人。ただ、その許嫁は御家人の次男程度では巴を幸せにできないととして、一廉の武士として誰からも認められなければならないと決起すると、祝言を延ばして動乱の最中京都見廻組へ参加。
その結果、何者かに斬られて亡くなったと剣心に話すのです。
そして、巴は最愛の許嫁の訃報を聞いていてもいられずに京都へ訪れたと剣心に告げますが、内心には『人斬り抜刀斎を殺す策略に身を委ねて』という部分は伏せていました。また、その許嫁の名前が清里明良であり、人斬り抜刀斎に殺害されたこともこの段階では伏せています。
剣心は涙する巴を支えると、自身が長州派維新志士に身を投じた経緯を話し、巴との出会いが『自分が守ろうとしていた人々の幸せ』が何だったのか、ましてや『人の幸せの全てを担うことは決してできない』ことを知ったと語ります。
そして、剣心ができることは目に映る人々の幸せを一つ一つ守ることだと気付くと、新時代を迎えられたら人斬りではなく手にかけてきた人達の幸せを奪った罪を背負い償う道を探して巴が一度失った幸せを今度こそは守り抜くと誓うのでした。
そんな剣心の心に触れた巴の心境は『この人は私の幸せを奪った人』でありながら『もう一つの幸せをくれた人』に昇華することとなり、『今ここで決して死なせてはならない人』となったのです。
剣心が雪代巴を斬った理由
引用元: 和月伸宏『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』 出版:集英社
ある時、巴は辰巳たちの元へ報告に訪れますが、巴は人斬り抜刀斎の弱点を『寝込み』と偽りました。
しかし、辰巳のそもそもの作戦は抜刀斎が巴を愛しているかどうかにかかっており、巴の本当の役割は剣心の弱点を探るのではなく弱点そのものになることと暴露。辰巳は巴を呼び出した裏で、既に縁を使い自分達の領域に剣心を誘い込む文を届けさせていました。
巴は結局自分が剣心を窮地に追い込んだことを後悔して辰巳に斬りかかるものの返り討ちに遭って気絶。
その間、剣心は辰巳の目論見通り文を読むと巴を奪還すべく『闇之武』が待ち構える結界の森に出陣し、闇之武と戦闘。
巴の幸せは俺が守る、行く手を阻む奴は誰であろうと斬るのもと、中条、角田、八ツ目を撃破。しかし、彼らの小細工により剣心は直感・聴覚・視覚を一時的に奪われてしまうのでした。(爆破や閃光弾の影響)
そして残った一人、辰巳との戦闘中に巴は目を覚ますと、剣心が大量の出血と極寒気温の相乗効果で体表の感覚が麻痺状態に陥っている場面を目撃。剣心の敗戦は濃厚でしたが、剣心は相打ち覚悟で目をつむると一瞬の打ち合いに勝敗をかけることにしました。
しかし、剣心が目を閉じて刀を振り下ろした直前に香る白梅香。
目を開けると、眼前には剣心の壁となり辰巳の攻撃を受け止めた巴。そして、その巴とともに辰巳を斬り裂く自分の太刀筋が映っていました。
辰巳は剣心の一撃で死亡しましたが、巴はまだ息があり、剣心はうろたえるように巴を抱きかかえます。
が、巴は『これで良いんです……だから泣かないで下さい…』と伝えると最期に苦手と言っていた笑顔を向けて剣心の腕の中で事切れるのでした。
剣心は巴を助けるために闇之武と相打ちの覚悟でやってきたましたが、その結果、剣心は逆に巴に命を救われることになったのです。そして、巴もまた、殺された許嫁の復讐として人斬り抜刀斎に接触したものの、いつしか本当に愛してしまったため、命を張って剣心を守り死亡してしまいました。
剣心が巴を斬ったのは故意ではなかったものの、巴が一度失った幸せを今度こそは守り抜くと誓った直後の悲劇だったのです。
巴の日記帳
巴の死後、剣心は巴と五ヵ月過ごした家で茫然としているとふと彼女の日記帳に目がいきます。
中身を読んでみると亡くなったという許嫁の名前が記されており、その人物の名が清里明良と知ります。剣心は聞き覚えのあるその響きから記憶を手繰ると、かつて自分が殺した男が今際の際に確かに『と…』と誰かの名前を呼んでいたことを思い出します。
そこから繋がる名前は『ともえ』。
剣心はようやく自分が巴の許嫁を殺した仇であり、彼女の幸せを奪った張本人だと知るのでした。
そこにやってきたのは姿を晦ませていた桂小五郎であり、本件の話(闇之武との闘い)を聞いてやってきたと話す桂は剣心が巴の許嫁を斬った不運と、その剣心が巴自信を愛してしまった不運。その二つの不運が重なっただけで剣心の責任ではないと慰めます。
そして、内通者である飯塚には既に追手を差し向けてあると語っており、飯塚は当時人斬り抜刀斎の後釜として入った志々雄真実に斬られて死亡します。
なお巴の日記帳は鳥羽伏見の戦いの後、剣心が京都を去る時に巴の墓のある寺に預けてきたとして、『人誅編』で薫が操にお願いして探してもらい、『人誅編』のラストには薫の手から縁の手に渡ることとなります。
剣心は遊撃剣士となり人斬り抜刀斎の名が広まる
桂は、新選組をはじめとする幕府側の志士狩りが激化したため志々雄真実に暗殺稼業を任せる一方で剣心には『遊撃剣士』として最前線で志士を守る役割を頼みます。
剣心は巴の日記帳を抱えた上で『ここで刀を捨ててしまえばこれまで俺が殺めた命全てが本当の無に帰してしまう』として、巴が教えてくれた人々が営む小さな幸せがより多く灯される新時代を作るまで剣を振るい続けることを桂に誓います。
ただ、新時代が訪れたらもう二度と人は殺めないとも誓うのでした。
こうして『人斬り抜刀斎』の名は大衆に広がることとなり、新選組と剣を交えることで斎藤一とも死闘を繰り広げる仲に。
そして待ち望んだ新時代を迎えて剣心は人斬り抜刀斎を辞めると、明治になって10年間日本全国を流れるものの、『人斬り抜刀斎』を知る人が多い京都だけは寄れば望まぬ闘争が起きると思い避け続けてきました。
京都を避けていた真の理由は『人斬り抜刀斎だった頃の自分』と『この手で殺めた雪代巴の思い出』を強く思い出してしまうためでしたが、志々雄真実との激闘を終えた後にようやく巴の墓前に花を供える決心がつきました。
緋村剣心の義理の弟・雪代縁
『人誅編』に登場した敵の頭目にして、剣心の義理の弟である雪代縁は、剣心がその手で殺めた雪代巴の実の弟です。
そして縁は最悪にも結界の森にて剣心が巴を斬り伏せた場面を目撃して以降、その憎悪からあらゆる負の感情を身に宿すことに。
鳥羽伏見の戦いから11年、巴を失い戊辰戦争で一家離散した縁は、ただ巴の敵を討ちたい復讐心から日本を離れて上海で過酷な環境を生き抜いてきました。
11年間の積み重ねで縁は大陸経由の密造武器全てを取りしきる上海闇社会の頭目に上り詰めると、人斬り抜刀斎に恨みを持つ同志を集めて緋村剣心とそれに関わりのある周辺の人物を無差別に襲撃したのが『人誅編』であり、剣心の人斬り時代が明かされた章でもあります。
また、志々雄真実の甲鉄軍艦『煉獄』を手配したのも縁でした。
緋村剣心の十字傷の理由
剣心の左頬には消えない十字傷が刻まれています。
剣心の十字傷の一つ(縦に長いほう)は、重倉十兵衛を暗殺した際に交戦した清里明良がつけた傷。
清里は来月に巴と祝言を挙げる予定でしたが、人斬り抜刀斎と遭遇した際には『死にたくない』と強く願いながらも生きて巴に会うために最期まで剣客として剣心に挑んだものの斬り捨てられることに。
その最期は「死に…たくない…やっと…祝言…なのに…」と生きて帰るために必死に手を伸ばした後に「と…」と巴の名前を口にしようとしたところを剣心に止めを刺されるという残酷なもの。
しかし、生きるという執念から剣心に一太刀浴びせたのでした。
もう一つの十字傷(横の短いほう)は、剣心が巴を斬った際に巴が握っていた短刀が手から零れ落ちた時に剣心の頬を掠めたもの。
この時、巴には剣心を恨む気持ちよりも剣心を死なせたくないという想いが強く灯っていましたが、結果として消えない傷を刻み込むこととなりました。
剣心の十字傷は清里明良と雪代巴が遺した生涯消えない傷──強い想いの籠った刀傷とはその想いが晴れない限り決して消えることがない傷とされてきましたが、4年後(明治15年)にはだいぶ薄くなっています。
まとめ
- 緋村剣心と雪代巴の関係は夫婦であり、剣心が巴の許嫁の仇でもある
- 緋村剣心は雪代巴の許嫁・清里明良を人斬り抜刀斎として殺害している
- 雪代巴は許嫁の死の真相を調べるために『闇之武』と協力し緋村剣心に接触した
- 雪代巴の目的は人斬り抜刀斎の弱点を探ること
- 緋村剣心と雪代巴は、次第に愛し合うこととなり夫婦になる
- 江戸幕府直属の暗殺組織『闇之武』が行動を移すと、剣心は巴を救出するために闇之武と闘うもあらゆる感覚を失うこととなり、剣心が目を閉じて辰巳と斬り合っている中、巴が剣心を死なせないために剣心の壁となり辰巳の攻撃を防ぐと、目を閉じていた剣心は巴ごと辰巳を斬り巴を斬殺してしまう
- 緋村剣心の十字傷は清里明良がつけたものと、雪代巴がつけたものが合わさったもの
- 緋村剣心は『ここで刀を捨ててしまえばこれまで俺が殺めた命全てが本当の無に帰してしまう』と維新を成し遂げるまで人斬り抜刀斎を続けた
- 新時代が訪れた後は『もう二度と人は殺めない』と誓う
雪代巴は許嫁の死の真相を知るために剣心に接触を図りましたが、剣心は巴が亡くなり日記帳を読むまでその真意を知ることはありませんでした。
しかし、巴自身は剣心の葛藤を前に復讐よりも『死なせたくない人』として剣心を受けれることとなり、剣心を生かすために自ら犠牲となります。
剣心もまた、巴に対して『どんなコトがあろうと巴だけは絶対に斬らない』や『巴が一度失った幸せを今度こそは守り抜く』と誓った矢先の悲劇であったため、その罪の意識は流浪人となった現在でも消えない痛みとして継続するものの、『人誅編』でようやく剣心なりの答えを導き出すことができました。
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