荒川弘先生の漫画作品『鋼の錬金術師』は、架空の部隊となる軍事国家アメストリスで巻き起こるダークファンタジーです。
そして作中のラスボスとなるのがホムンクルスの首魁である『お父様』と呼ばれる未知の存在でした。
今回は、お父様とは何なのか、どういう最後を迎えたのかなど、お父様についての情報をご紹介したいと思います。
この記事で紹介する内容は?
- お父様の正体
- お父様とホーエンハイムの関係
- お父様の目的とホムンクルスを生んだ理由
- お父様の最後について
- お父様の声優『家弓家正』さんについて
お父様の正体は?
引用元: 荒川弘『鋼の錬金術師』 出版:スクウェア・エニックス アニメーション制作:ボンズ
お父様の正体は、数百年前に繁栄したと言われている古の国クセルクセス王国の錬金術で偶然に生み出された『フラスコの中の小人』であり、真理の扉の向こう側から来たマリモのような形状の真っ黒い影のような生物です。
聡明と名を馳せたクセルクセス王が不老不死に執着し始めると、元々先鋭的な錬金術の発展があったクセルクセスの錬金術師が偶然フラスコの中の小人を生み出すことに。
フラスコの中の小人はフラスコから出ると死んでしまう生命体ですが生まれながらにしてこの世のあらゆる知識を身に付けており、錬金術の秘儀などの知識量は膨大でした。
一方で、不老不死を得るために国民を犠牲にすることも厭わなくなったクセルクセス王にフラスコの中の小人は不老不死の法を教えます。
しかし、クセルクセス王に教えた不老不死の法とは、フラスコの中の小人が外に出るための人間の入れ物を手に入れる手段であり、国土全域に錬成陣を描くことで血の紋を刻みクセルクセスの国民を賢者の石に変える目的でした。
こうしてクセルクセスは一夜にして滅ぶと同時に、クセルクセスの国民を材料にした賢者の石を宿す不老不死が二人誕生したのです。
一人は後にアメストリス国を裏で支配する『お父様』として顕現し、もう一人はヴァン・ホーエンハイムとなります。
お父様とホーエンハイムの関係は?
ヴァン・ホーエンハイムはクセルクセス王国の元奴隷であり、名前も無く、奴隷二十三号という数字で呼ばれる雑用係でした。
そんな彼に声を掛けたのが、ホーエンハイムの主人である錬金術師が偶然生み出したフラスコの中の小人であり、ホーエンハイムを気に入ったフラスコの中の小人はホーエンハイムの血の情報を元に生み出された礼として名前と知識を与えます。
初期に与えようとした名前はテオフラストゥス・ボムバストゥス──と長尺であったもののホーエンハイムが長いと拒否したため縮めて『ヴァン・ホーエンハイム』と命名。(※元ネタはスイスの錬金術師etcパラケルススの本名を参照。)
そして、名前と知識を得たホーエンハイムはフラスコの中の小人のおかげで奴隷から錬金術師となり自由と権利を得ました。
しかし、お父様はフラスコの外に出ることを目的にしており、クセルクセス王を利用して国土錬成陣を作り上げるとクセルクセス国民を材料に賢者の石を造成しホーエンハイムの血の情報を元に『人間の入れ物』を手に入れました。
そのためお父様とホーエンハイムの容姿は瓜二つとなっております。
なお、外見はホーエンハイムそのものですが中身となる本体は人型になった真っ黒い影のような塊に幾つもの目を持ったフラスコの中の小人であり、擬態中も筋肉・内臓・骨格は存在しません。
また、数百年の間にホーエンハイムの擬態から抜け出し本体のまま外に出ても存在できるように進化しています。
お父様の目的は何?
お父様は人造人間を使い賢者の石を造成していましたが、その真の目的は完全な存在になることであり、地球を一つの生命体に見立て、莫大な宇宙の情報を記憶する地球の扉を開き『神』と呼ばれる存在を手に入れることを目的にしています。
しかし、神を内に捕らえ続けるためには莫大なエネルギーが必要であり、アメストリスの国民はそのためのエネルギー源でした。
過去に100万人以上のクセルクセス国民を犠牲に作り出した賢者の石は不完全な物だったため、来たるべき日に向けて3000年以上の時を費やし完全な存在になるべく暗躍し準備を進めることに。
アメストリスを牛耳り裏から操ると、クセルクセスの倍に等しい国土錬成陣を敷くために人造人間を使ってアメストリス国全土に血の紋を刻もうと画策。作中での『約束の日=日食』に向けて門を開くのに必要な『五人の人柱』を集めました。
劇中では、約束の日当日、五人の人柱を利用して地球の門を開くと、国土に等しい巨大な門から巨大なお父様(フラスコの中の小人の人型形態)が姿を現し、日食(月の正面)に開かれた真理の扉から覗く『神』と呼ぶ存在を引きずり下ろしその身に宿すのでした。
お父様がアメストリス国を訪れたのは有史以前(作中200年以上前)であり、その際にプライドを生み出しています。
お父様がホムンクルスを生み出した理由は?
目的の一段階であるフラスコから抜け出して自由になることを果たしたお父様の次に行ったことはより完全な存在へと進化するために不要な感情を排除することでした。
七つの大罪になぞらえた感情をホムンクルスとして生み出すと、その後は彼らホムンクルスを自らの手足として目的のために動かす駒として使う合理的な手法をとっています。
ホムンクルスの姿は完成された個体として生み出されており、それぞれがお父様の分離した感情に対するイメージが具現化した容姿です。
生み出す手段は二通りあり、
- お父様の分身として肉体を作り出す
- 人間をベースにして賢者の石の力を与える
大体が①に当てはまります。
人間ベースで生み出されたホムンクルスは今のところキング・ブラッドレイ(ラース)とリン・ヤオ(グリード)の二名のみ判明。
お父様の最後はどうなった?
お父様の最後が描かれたのは『約束の日』の最終決戦となる、単行本27巻(アニメ62~63話)であり、エドワード・エルリックによって倒されました。
中央司令部地下で交戦したのはエド、アル、ホーエンハイム、イズミ、マスタング、メイとシャオメイ。
約束の日当日、日食になると五人の人柱を使い国土錬成陣を発動したお父様はアメストリスの国民を賢者の石に変え神を引きずり落とし自身の肉体に押しとどめました。
しかし、ホーエンハイムが事前に用意していた日食の影を利用した錬成陣によりアメストリス国民の魂が肉体に戻ると、お父様の力が弱まり神を抑え込むのが困難になります。
更に、スカーの兄が研究していた逆転の錬成陣(アメストリス国の地下に張り巡らされた錬金術を阻害する壁を取り除く)により、エドワード達の錬金術が使用可能になるばかりか威力が向上すると、お父様は地下から地上・中央司令部広場へ飛び出し新たな賢者の石の造成を目論みました。
その後、地上でエド達を含める中央兵及びブリッグズ兵、更にアームストロング少佐やリン達といった戦闘に秀でたこれまでの登場キャラクターと総力戦になると防戦一方になり残った賢者の石を消耗。
リンからグリードを抽出し回復を狙うものの再びグリードに裏切られ、右腕と左足を最も脆い炭に変化させられ崩壊。(反抗されたためグリードを消滅)
そして、弱ったところをエドに畳みかけられると、胸に風穴を空けられてしまい、同時に抑えきれなくなった神が解放されることに。
更に、穴から無数の手(真理の扉の向こう側から延びる影の手)が飛び出しお父様の肉体を掴むと、吸い込まれるようにお父様は風穴に引きずり込まれて消滅してしまうのでした。
お父様(フラスコの中の小人)の最後
風穴に吸い込まれたお父様はフラスコの中の小人の姿に戻り真理の扉の前にやってきました。
扉の前に現れたのは自身の生き写しのような同じ姿恰好をした白いフラスコの中の小人であり、人間が世界、或いは宇宙、或いは神、或いは真理、或いは全、或いは一と呼ばれる存在。
真理とは人が思い上がらないように正しい絶望を与える存在であると、かつてお父様が述べたように、フラスコの中の小人の前に現れた真理もまたフラスコの中の小人に正しい絶望を与えます。
真理の扉が開くと触手のような無数の手が伸びてフラスコの中の小人を捕らえると、フラスコの中の小人は「そこには縛られ続けるのはいやだ」と必死に抵抗するも呆気なく扉の向こう側に引きずり込まれるのでした。
お父様の声優『家弓家正』さんとは?
◇ 家弓家正さんの情報 ◇
- 出身:東京都
- 生年月日:1933年10月31日
- 没年月日:2014年9月30日
- 職業:声優、俳優
- 事務所: 81プロデュース
- 『名探偵コナン』… ジェイムズ・ブラック
- 『ONE PIECE』… ネフェルタリ・コブラ
- 『戦国英雄伝説 新釈 眞田十勇士 The Animation』… 織田有楽斎長益
- 『ポケットモンスター ダイヤモンド&パール』… ナナカマド博士
- 『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』… シュレーダー博士
- 『ガンダムビルドファイターズ』… ネメシス会長
- 『スペース☆ダンディ』… デュラン博士
お父様についてのまとめ
- お父様の正体はクセルクセス王国の錬金術で偶然に生み出された『フラスコの中の小人』
- ホーエンハイムの血の情報を元に生まれた
- ホーエンハイムに名前を付けたのはフラスコの中の小人であり、ホーエンハイムは名前と知識を与えられ自由と権利を得た
- フラスコから出たら死んでしまうが、クセルクセス王を利用してクセルクセスで国土錬成陣を発動し賢者の石に変えるとホーエンハイムの皮を模した『入れ物』を手に入れてフラスコの外に出る
- お父様の真の目的は『完全な存在』になること
- 3000年以上の時を費やしアメストリスを牛耳り巨大な国土錬成陣を敷くと、アメストリス国民と五人の人柱を使い地球を一つに生命い見立て扉を開き、神を引きずりおろし内に宿した
- 国土錬成陣発動後は、ホーエンハイムが事前に仕込んだ日食の影を利用した錬成陣でアメストリス国民の魂が解放され神を抑え込むことができなくなり、スカーの兄が研究していた逆転の錬成陣により錬金術封じが突破されエド達の反撃に遭う
- 最終的には総力戦でエネルギーを消耗させられ、神を解き放ったあとはエドに倒される
- その後は生まれた場所、真理の扉の向こう側へ引きずり込まれた
完璧な存在を求めるといった思い上がった願望を持ったフラスコの中の小人の最後は皮肉にも自分が述べた結末を迎えてしまいましたが、当初の目的通り外に出たいという願望で踏みとどめておけば悲惨な結末を辿らずに済んだのでしょうね。
アニメ版ではフラスコの中の小人の気持ちを知ったホーエンハイムの表情が加筆されていたのが良かったです。