スパイの父、殺し屋の母、超能力者の娘、未来予知の犬。全くの他人が仮初の家族を演じる大人気漫画『SPY×FAMILY』。
今回はフォージャー家の父を演じるスパイ『ロイド・フォージャー』の過去やスパイになった理由について紹介したいと思います。
※ちなみに過去篇でもロイドの名前は伏字となっているため本名を知ることはできませんのご注意ください。
ロイド・フォージャーのプロフィール
引用元:遠藤達哉『SPY×FAMILY』 出版:集英社
【名前】 | ロイド・フォージャー(偽名) |
【コードネーム】 | 黄昏 |
【年齢】 | 不明 |
【所属】 | 西国情報局対東課バーリント総合病院 |
【職業】 | 諜報員 / 精神科医 |
【身長】 | 187㎝ |
【体重】 | 70~90㎏ |
【髪色】 | ブロンド |
【瞳の色】 | 青 |
【パンツの色】 | 黒 |
【特技】 | 変装 |
次の任務、東西平和を脅かす危険人物国家統一党総裁ドノバン・デズモンドに近づいて不穏な動きを探る仕事を引き受けた黄昏。しかし、デズモンドが表舞台に現れるのは息子が通う名門校で開かれる懇親会のみ。そのため黄昏には結婚と子どもという家族が必要になります。
そして、黄昏は懇親会に潜入するために仮初の家族を集めるのですが、娘や母も犬でさえ異色のメンバーが集うことに。
黄昏は『ロイド・フォージャー』と名乗り、仮初のフォージャー家の父になりきり表向きは精神科医として勤務し、裏ではスパイの仕事をこなす一日22時間+31日の激務の日々。父としての二重生活は一難去ってまた一難と慌ただしく過ぎていくのでした。
それでは、結婚と人並みの幸せはスパイとなった日に身分証とともに処分したと語るロイドの過去を見ていきましょう。
ロイド・フォージャーの過去篇
引用元:遠藤達哉『SPY×FAMILY』 出版:集英社
単行本10巻MISSION:62──、アーニャがドノバン・デズモンドの息子ダミアンと仲良しになったと報告して一時喜ぶロイドでしたが、逆に『雷』を貰ったことでこれまでの疲労が出たのか眩暈とともに昏倒。
そして始まったのがロイドの過去篇でした。
ロイドの出身は西国東部ルーウェン。子供時代のあだ名は『参謀』で『大将』『伍長』『少佐』と呼ばれる友達数人と兵隊ごっこをする表情豊かな手先の器用な子供でした。
ただロイドの父親は躾に厳しく、ロイドが友達と一緒に将来は軍隊に入ると言うと『臆病者が戦場に出ても足手まとい』と一蹴。そしてロイドが東の国の悪人を全員やっつけると言うと頬を叩き『東国人の悪行を実際に自分の目で見たのか、直接話をしてどんな連中か知っているのか、自ら争いを望むな』と言い聞かせます。
ロイドの子供時代から既に西国と東国の仲は悪く、いつ戦争になるか分からない空気でした。
ロイドの初めての嘘
ロイドが初めて嘘をついたのは『兵隊セット』を購入するときです。
軍隊に入るには兵隊セットが必要らしく、子供内でもまだ兵隊セットを持っていなかったロイドはある日父に参考書が欲しいと嘘をついてお小遣いを貰いました。
父は勉強に熱心なロイドの言葉に大いに喜び、次のお祭りに一緒に出掛けることを約束しますが、ロイドの胸にチクリとした痛みが走ります。ロイドは、嘘をついた罪悪感でその日のご飯の味はしなかったと語りました。
結局『兵隊セット』を購入したロイドですが、友達との遊びを途中で断り、顔なじみのおばちゃんにお店の手伝いで10ダルク(兵隊セットの代金)をすぐに稼げるかと相談している姿が。
罪悪感に耐えられなかったロイドは働いて父に代金を返し謝罪しようと考えていました。
西国東部ルーウェンは東国軍の攻撃で陥落
突然の空襲と共にロイドの住む街は戦火に包まれます。
東国軍が国境を越え東部各州への攻撃を開始したと臨時放送が繰り返す中、空を見上げるロイドの目の前で着弾し爆発。訳も分からない内に気を失ったロイドが次に目覚めると、さっきまであったはずのおばちゃんの店が崩壊し瓦礫の下敷きに。
サイレンの音が響く中、負傷したロイドが辺りを見渡せば街は無残にも空襲で破壊しつくされていました。
生き残った住人はパニックになりながらも避難を開始し、ロイドは探しに来た母と再会。母はすぐに荷物をまとめてキールバーグ(地名)の伯父のところへ避難すると伝えると、ロイドは学校や父と約束したお祭りはどうなるのかと反発。しかし、崩壊した街並みを見て次第に状況を察していくのでした。
避難先キールバーグで母を失う
数日後、西国軍の抵抗むなしくロイドの故郷東部ルーウェンは陥落とのニュースが流れます。
戦争はおきない──。協定で仲良くする──。それなのに戦争が起きたことでロイドは大人たちは嘘つきだと心の中で綴っています。そして、一緒にお祭りに行くと約束した父が戻ってくることはありませんでした。
父は嘘つきだが、ロイドも父に嘘をついたままだと後悔しますが、ロイドは母と共に新天地キールバーグで生活していくことになります。
しかし、ロイドがご飯のために釣りをしている最中に再び空襲警報が街に響くと、住民はパニックになり防空壕へ。ロイドは避難する群衆に呑み込まれて防空壕に追いやられますが、その間に爆撃で街は凄惨なことに。
ロイドが防空壕から飛び出して母の許へ駆けつけるとそこはまっさらな大地と瓦礫が嵩張るだけで何も残っていませんでした。ロイドはただ無力感に苛まれてその場で立ち尽くして泣き続けました。
ロイドが軍隊に入った理由
それから数年はドブネズミみたいな生活を続けたと独白されており、大好きなものを奪われた世界には嫌いなものしか残っていないと語っています。
それらの経験がロイドが銃を握るには充分な理由であり、成長したロイドは『ローランド・スプーフィー、18歳(偽装)』として自ら徴兵に志願し軍隊に入っています。そこからは常に戦線で人を殺し、いつからか何万の屍を築けば水平線の先に夜明けが見えるのかと疲弊し始めていました。
その時の戦地で出会ったのが脱走中の東国人フランキーであり、当初は東国人という理由で射殺しようとしますが、フランキーのキャラに思わず笑ってしまうと煙草を分けてあげることに。
ただ東国ではルーウェンの爆撃も西の自作自演で第三国に頼んで東国軍を扇動したと噂されていると知り、ロイドは怒りの余りに家族と友達を失った恨みを一喝。対してフランキーが『そりゃお互いさまだ…!』と睨むと、ロイドはフランキー暴行。
かつて父は東国人の悪行をその目で見たのかと問うてきたことがありますが、ロイドは軍隊に入ってからというもの東国人の悪行をさんざん目の当たりにしており、次第に東国人は自分から全てを奪った悪だと考えるようになっていました。だから皆の仇をとり、同じ目に遭わせようと心が荒んでいました。
なお、ロイドが発砲したためフランキーを追ってきた東の部隊に居場所を知られると弾丸の雨が飛び交いロイドのヘルメットに命中。この機に乗じてフランキーは逃亡し、負傷したロイドもすぐに立ち去ることになります。
ロイドは大将たちと再会するが……
フランキーの一件で負傷したロイドは怪我が治るまで後方に送られることになり、調理の雑用をしていました。
そんな折に「もしかして参謀か…?」と声を掛ける人物が現れると、そこには子供の頃の面影がある『大将』『少佐』『伍長』の姿が。三人はロイドが『参謀』だと気づき駆け寄ると歓喜の声を上げ、奇跡的に数年越しの再会を果たすことになります。
東部ルーウェンの空襲の最中に三人はロイドを探しており、結局見つからなかったことからロイドが死んだと思っていたそうで、逆にロイドも彼らが死んだと思っていました。
そのためロイドはボロボロと涙が零れて嬉し泣きをすることに。そんなロイドを囲んで三人は「相変わらず弱虫だな」と笑うのでした。
久しぶりに会った友達を前にロイドは普通に遊びたいと申し出ますが、残念ながら大将たちが所属する隊は今夜から町を出てロベルツ攻略戦に駆り出されると言います。落ち込むロイドですが戻ったら必ず連絡するように伝え、三人を見送りました。
しかし、後から聞いた話では、大将たちが参加した作戦は無謀な作戦であり、戻ってきたのは『認識票』だけだったと言います。
ロイド・フォージャーがスパイになった理由
引用元:遠藤達哉『SPY×FAMILY』 出版:集英社
家族、再会した友人、全てを失ったロイドは『作戦を知ってたら大将たちを引き止められただろうか?』それとも『敵の動向を知ってたら作戦自体を中止にできてただろうか?』と苦悩します。
答えは全て否であり、ロイド自身には力も立場もありません。
開戦の本当の理由さえも知らないロイドは、戦争は起きないと思い込み、大将たちが爆撃で死んだと思い込みこんでた己の無知を呪いました。
ロイドの無知とは?
- 盲目的に敵を憎む
- 盲目的に銃を取る
- 盲目的に国に従う
そして、ロイドは自身の無知を『悪』だと考えます。
そんなロイドの許に一人の男が現れると、軍曹ローランド・スプーフィーではなくロイドの本名を訊ねます。更に入隊の年齢制限のごまかしや、ロイドが同郷で亡くなった年上のローランドという男に成りすましていたことも言い当てるのです。
このご時世では身分の偽装はスパイの嫌疑をかけられても仕方がありません。
ロイドが焦り「アンタ憲兵か…?」と訪ねると、男は『陸軍情報部』と名乗りロイドを諜報員としてスカウトに来たと告げます。
『情報』とは最強にして最重要の国家の武器。男はロイドに相応しい武器は情報だと言い、この戦の勝利のために力を貸してほしいと交渉します(来ないと軍法会議にかけると脅す)。
今更武器を変えても失った者は戻ってこないと考えるロイドでしたが、後日荷物をまとめて男の許へ訪れると、男はロイドの荷物を焚火にくべて今日からその名も地位も捨てて国家のための影となることを伝えます。
そしてロイドはスパイになる際にこう語っています。
- 本名に関しては元々誰も覚えていない。
- 国家だの戦争の勝利だの、そんなものもどうでもいい。
- 別に理由なんてない。
ただし、そう告げるロイドの横を笑顔の子供たちが通り過ぎていくと、ロイドは目を細めていました。また、男はロイドの答えを聞いた後に「うそつき坊主」と言っていますので、ロイドにはちゃんとスパイになった理由は存在しますがこの時に明かすことはありませんでした。
その後、ロイドの上官にシルビア・シャーウッドがつくことになり、一流の諜報員となるべく厳しい訓練に明け暮れるのでした。
ちなみにこの回想編から目を覚ましたロイドは自身の過去を『血と埃と硝煙の匂いの景色』と表現しています。
ロイドがスパイになった本当の理由は?
ロイドの過去篇が収録された単行本10巻では『別に理由なんてない』と答えています。
しかし、本当の理由は既に単行本1巻MISSION:1で『子どもが泣かない世界、それを作りたくてオレはスパイになったんだ』と独白しています。
ロイドがアーニャに言った一言
目覚めたロイドは今の自分の役を思い出ししばらく頭を押さえていましたが、アーニャが頭を撫でると少し照れ顔に。しかし、自分が倒れたのがアーニャが『雷』を取ってきたからだと思い出し、アーニャは逃走。
オペレーション『梟』にダメージが生じるのでロイドもため息をつきますが、アーニャは落ち込んで謝るとダミアンと仲良くなったなら問題ないと慰めます。
そして、幼い頃の大将たちを思い描きながら「良かったじゃないか、友だちは大切にしろ」とアーニャに伝えるのでした。
ロイド・フォージャーの過去とスパイになった理由のまとめ
ロイドの過去の要点
- ロイドの過去篇は『単行本10巻MISSION:62』に収録
- ロイドの出身は西国東部ルーウェン
- 子ども時代のあだ名は『参謀』で手先が器用
- 東国軍の空襲で東部ルーウェンが陥落しロイドは母とキールバーグに避難
- ルーウェンの空襲時に父親と友達の『大将、少佐、伍長』と生き別れ、馴染みのおばちゃんが空爆で吹き飛ぶ
- 東国軍の空襲でキールバーグが陥落し、母を失う
- 成長したロイドは『ローランド・スプーフィー、18歳』と詐称し徴兵に志願し戦線へ
- 戦場で東国軍から脱走したフランキーと出会うが追っての東国軍の銃撃を受け負傷し、ロイドは後方へ異動
- ルーウェンで死亡したはずの『大将、少佐、伍長』と再会
- 『大将、少佐、伍長』の部隊が全滅し『認識票』だけが戻ってくる
- ロイドは開戦の本当の理由を知らない自分自身の無知を『悪』と考え苦悩する
- 突然、陸軍情報部を名乗る男がロイドを諜報員にスカウトし、引き受ける
- その日から名前も地位も全て捨てて国家の影になることを誓う
『SPY×FAMILY』は、基本的にはギャグ調をベースとした物語になりますが、ロイドの過去は民間人から兵隊までのストーリーを戦争体験者視点で描かれたシリアスなもので、ロイドがスパイになった理由を真に訴えかけるような内容でした。
壮絶な体験から出したロイドの答えは「国家だの戦争の勝利だの、そんなものもどうでもいい。別に理由なんてない」という回答でしたが、その先にはおそらく子供たちが笑顔で生きていける国にするためだと思われます。
そのため、単行本1巻でアーニャが拉致された際に子供が泣いていると腹が立つ理由が『小さかった頃の自分を思い出すからだ』という独白に繋がっています。
かつてキールバーグが空襲で陥落し、母を失ったロイド。ロイドは泣いている子供を見ると、誰も救いの手を差し伸べてくれない孤独や絶望とただ泣くことしかできない無力感に襲われた小さかった頃の自分を思い出し、捨て去った過去の自分と無意識に重ねていたことを悟っていました。
そんなロイドの心を読んだからこそアーニャはロイドを『かっこいいうそつき』として慕うようになりました。
『SPY×FAMILY』は何故か鬼滅の刃と同じく小さい子どもがいるファミリー向けのアニメとして番宣されていますが、ロイドの過去篇を放送して変なクレームが来ないか心配ですね……。ヨルさんは人を殺しまくっていますが…笑