漫画『るろうに剣心』に登場する十本刀の一人・魚沼宇水。
彼は視力を失ったにも関わらず「心眼」を用いて剣客として再起しており、作中でもその実力は十本刀二強と呼ばれています。
では、宇水はどのようにして視力を失い「心眼」を獲得したのでしょうか。また、彼はどのような最期を迎えたのでしょうか。
今回は魚沼宇水の心眼と最期についてご紹介したいと思います。
◆ この記事で紹介する内容は? |
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魚沼宇水とは
引用元:和月伸宏『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』 出版:集英社
魚沼宇水(うおぬまうすい)とは、京都編に登場した志々雄真実が揃えた10人の剣客・十本刀の一人。
武器はティンベーとローチンを使用。
盲目を隠すように心眼と書かれた布を巻いており、両耳にピアス、チョビ髭、顎を擦る癖が特徴。二つ名は『盲剣の宇水』。
十本刀では宗次郎に次ぐ実力者であることから志々雄からの評価も高く、神戸では斎藤らが厳選した警察50人を暗殺、アジトでも仲間であるはずの志々雄一派の手下を斬り伏せるなど冷酷無比。
元は幕府側に雇われた対人斬り用の凄腕の剣客であり、幾人もの名の知れた人斬りを狩りとった実績を持ちますが、志々雄真実に敗れました。
現在、天剣の宗次郎と盲剣の宇水の二人は十本刀二強と言われています。
流派
亀甲の丸みを使い相手の武器を捌く盾『ティンベー』と手槍『ローチン』を扱う琉球に伝わる王家秘伝武術を使用します。
正式名は眼力琉球武術(ガンリュウりゅうきゅうぶじゅつ)。
ティンベーで相手の攻撃を捌きながら視界を封じて手槍で突く、という基本的戦法を得意としており、これに『心眼』を加えることで相手の攻撃動作を先読みし『攻撃を防ぐ→視界を遮る→反撃で突く』の三連動作を極めました。
心眼の会得と正体
幕末のある日、幕府側についていた宇水は当時長州派維新志の人斬りを担う士志々雄真実と対峙し両目を斬られたことで視力を失うと、幕府は使い物にならなくなった宇水を見捨て追い出してしまいます。
光を失い路頭に迷った宇水はやがて山中に迷い込み生死の境を彷徨うことになりますが、飢えを凌ぐにあたり喉の渇きを潤すために水の音を聞きつけ走り続けると日が暮れるころにようやく小川に辿り着くことができました(相当離れた位置から水の音を聞きつけた)。
その際、宇水は小川に辿り着くと同時にはるか遠くの小川のせせらぎの音を聞き取る『異常聴覚』に気が付くのです。
異常聴覚は人間などの音の塊から様々な情報を宇水に教えてくれます。
例えば、心臓の鼓動の変化一つで相手の心理状態を。例えば、筋肉の伸縮と骨の摩擦音は攻撃態勢を。宇水が盲目でありながら常人と変わらず行動できるのは、いずれも『異常聴覚』で周囲の音を聞き取り情報を得ているからです。
心眼の開花は宇水を以前より強く成長させました。
魚沼宇水の死亡と最期は何巻何話?
宇水の死亡と最期は以下の通りです。
漫画・新書版 | 単行本14巻第114幕「突きたてる牙」 |
漫画・完全版 | 単行本11巻第114幕「突きたてる牙」 |
アニメ(1996年版) | 第49話「心眼をとらえた狼・炸裂する牙突零式!」 |
アニメ(2023年版) | 未定 |
魚沼宇水vs斎藤一
魚沼宇水を倒したのは斎藤一(元新選組三番隊組長・現警視庁の密偵警部補)です。
緋村剣心一行と志々雄真実の決闘の場となる比叡山のアジトにて、宇水は第二の間で一行を出迎えると、斎藤は自ら対戦を志望し剣心たちを先に行かせ一対一の決闘に持ち込みました。
宇水の心眼によれば、斎藤が対戦相手を希望したのは志々雄一派討伐に集めた精鋭50名を神戸で宇水に皆殺しにされた恨みであると解析しますが、中らずと雖も遠からず。心理的には推察通りである一方で、かつての新選組や今の警察とは日本の治安と民衆の生活を守るのが任務であるため、職に就いた以上は任務の過程で命を落とすのは至極当然のことであり、気にする方がおかしいという考えが基づいているものの、復讐のつもりはないが死んだ者が安心してあの世に行けるように残りの任務を完遂すること──即ち斎藤自身の正義『悪・即・斬』の名の下に正義を執行する思考は心眼でも読めないと返しました。
斎藤の牙突をローチンの柄にある鉄球部分で受け止めると、宇水は『宝剣宝玉・百花繚乱』の乱れ突きで反撃し左肩・右もも・額の三カ所に斬り傷を与えます。
そして、なぜ盲目であるはずの彼が的確に動きを把握し読み取れるのか、宇水が心眼の会得過程を打ち明けると、斎藤は宇水が志々雄の仲間になった本当の理由は『心眼を得て強くなったと思った後に再会した志々雄がそれ以上に強くなっていたため、戦ったところで敗北は必至。しかし、それでは自分のこれまでの人生が全て無駄に帰すため、いかなる時でも殺していいという条件付きで十本刀に加わり常に志々雄を狙うフリを続けていれば周囲の人間に自分の敗北を悟られずに済む』と考えたからだと洞察力を以て論破。
斎藤に心の内を見透かされた宇水は不意に笑みがこぼれると高笑いし、斎藤も釣られるように笑うと宇水は「何が可笑しい!」と激昂。王家秘伝武術を駆使し斎藤を殺すことを宣言するのでした。
宇水の敗北
ティンベーの装甲の丸みで牙突を防ぎつつ視界を遮り、その影からローチンで突くの三連動作で今度は斎藤の左ももを突き刺し機動力を奪うも、斎藤は果敢に牙突。両足を負傷した斎藤を前に牙突の踏ん張りが効かないと判断した宇水は自身の勝利を確信しほくそ笑みます。
しかし、宇水が自分の心の中を知った斎藤を痛めつけて殺すことを宣言すると、斎藤はこれまで宇水が弱者を斬り捨てて来たのは志々雄を倒すという満たされない欲求の憂さ晴らしであり、おそらく志々雄も宇水の自尊心を見透かした上で知らないフリをして利用しているのだと推察します。
宇水は思い当たる節があるのか核心を突かれ狼狽。
斎藤を痛めつけることを止め、次の反撃で顔面に突きを入れて殺そうと考え盾を構えます。
宇水は心眼で斎藤の動きを全て把握できるという絶対的な自信がありました──が、次の瞬間、斎藤は零距離射程から上半身のバネで放つ『牙突・零式』でティンベーの装甲を打ち破るとそのまま宇水の上半身を貫くのです。
そして、その衝撃で宇水の上半身と下半身が分断されると、斎藤が刀を手放したことでその勢いのまま宇水の身体は刀を軸に壁に張り付けられるのでした(※旧アニメ版では体が分断されずそのまま磔)。
この牙突・零式はいずれ緋村抜刀斎と決着をつける時のとっておきでしたが、斎藤は宇水に使用しました。
宇水の死亡と最期
宇水は自身の敗北を悟ると志々雄ではなく斎藤に殺されたことを不服そうに悔やみます。
しかし、斎藤は今の宇水の姿を見て「惨めだな」と一蹴。志々雄に闘わずして負けた時に剣を捨てていればよかったものを、形だけでも取り繕おうと虚栄を張ったのが間違いであると説き伏せます。
己の信念を貫けなかった男など死んでも生きてても惨めなものだと、痛烈な皮肉を面と向かって言い放ちました。
そして、宇水は斎藤という男を理解すると「一片の淀みなく己が道を貫く、簡単なようで何と難しいことよ。斎藤、お前はこれから近代化する明治でどこまで刀に生き悪・即・斬を貫けるかな…」と言い残し、息を引き取るのでした。
なお、斎藤は「無論、死ぬまで」と返答していますが、宇水が息を引き取るまでに届いていたのかは不明。
宇水のその後
宇水のその後は対して語られていませんが、志々雄との決戦時において、斎藤が牙突で奇襲した際に斎藤の牙突が宇水との戦闘で負った怪我により多少弱体化していたため多少なりは志々雄の役に立っていたように思えます。
また、志々雄と由美が地獄に堕ちた際に、由美が「宇水も多分こっちに来てると思うから今度は本当の仲間にしてあげましょうよ」と述べており、志々雄も「そうだな、考えておくか」と返しているため、宇水も地獄に堕ち志々雄と再会しているかもしれません。
その際、決着をつけるか仲間に加わるかはわかりませんが、斎藤に敗れて以降宇水の登場はありません。
北海道編での補足
続編の『北海道編』では、魚沼宇水の弟弟子である伊差川糸魚(いさがわいとい)が登場。
そして、本来ならば眼力琉球武術の代々最強の使い手(宇水)には『黄金玄武(クガニゲンブゥ)』と呼ばれる黄金の宝具(ティンベーとローチン)が受け継がれるはずだったことが判明。
伊差川糸魚は劍客兵器に所属し宇水の無念を晴らすべく斎藤との対戦を望んでおり、北海道の地で一度交戦しますが、斎藤は凍座白也との闘いで愛刀を失っていたため急遽永倉新八から渡された刀で使用。しかし、刀身の反り具合が愛刀と異なるため満足な牙突を撃てず、糸魚の『百花繚乱』に打ち負けました。
しかしながら、糸魚は宇水を倒した斎藤の実力がこの程度ではないことを理解していたため「本気を出せ」と激昂。それに対し、永倉が斎藤の愛刀が折れているため万全な状態ではないことを教えると、糸魚は武器の不全であると言うのならそれは黄金玄武を持たなかった宇水にも当てはまるとして、宇水の名誉を挽回するべき斎藤が万全の状態での決闘を約束し一度引き返すのでした。
なお、たびたび伊差川糸魚を宇水の「弟子」と勘違いする人がいるようですが、彼は宇水と同じ流派の「弟弟子」です。
弟弟子に代々最強と評価されたり、名誉挽回のために斎藤に真っ向から決闘を仕掛けるなど、かなり慕われているようです。
まとめ
魚沼宇水の過去と最期のまとめ
- 魚沼宇水のプロフィール
- 志々雄真実が揃えた10人の剣客・十本刀の一人で、十本刀の二強と呼ばれる実力者
- 二つ名は『盲剣の宇水』
- 眼力琉球武術を流派とするティンベーとローチンの使い手
- 元は幕府側に雇われた対人斬り用の凄腕の剣客で、志々雄真実に敗れた際に目を斬られ視力を失う
- 山中に迷い込み生死の境を彷徨った際に『異常聴覚』に目覚める
- 異常聴覚は音の塊から様々な情報を掴む
- 魚沼宇水の最期
- 志々雄一派比叡山アジトの第二の間で斎藤一と対戦
- 斎藤に傷を与えるも牙突・零式でティンベーを砕かれ上半身を貫かれて死亡する
- 死後はおそらく地獄に堕ちている
- 北海道編にて弟弟子・伊差川糸魚が登場し、眼力琉球武術の代々最強の使い手に宝具『黄金玄武』が継承されることが判明するが、宇水が継承しなかった理由は今現在語られていない(※今後明かされる可能性あり)
- 魚沼宇水の死亡・最後は何巻何話?
- 漫画・新書版:単行本14巻第114幕「突きたてる牙」
- 漫画・完全版:単行本11巻第114幕「突きたてる牙」
- アニメ(1996年版):第49話「心眼をとらえた狼・炸裂する牙突零式!」
- アニメ(2023年版):未定
十本刀の二強と呼ばれ、本戦以前にも暗殺術の高さを匂わせていた描写からかなりの強敵と思われた宇水ですが、斎藤の牙突の前にあっさりと敗北しました。
読者からは彼が発した「何が可笑しい」という台詞がネタにされたり、彼の本領が発揮されるのは暗闇であるのに対し第二の間に明かりがともされていたことから「志々雄の嫌がらせじゃないのか」など揶揄われたりと話題に事欠かないキャラクターです。
北海道編では彼の弟弟子が登場し、斎藤に負けた敗因として武器の不全があげられますが、仮に宇水が黄金玄武を継承していれば牙突・零式を防げていたのかは気になりますね。
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るろうに剣心 裏幕―炎を統べる― 作者:和月伸宏 |
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