『ばからもん』は、ガンガンパワード2008年4月号に読切として掲載された作品ですが、反響により2009年2月よりガンガンONLINEに移籍し2019年まで連載されました。
作品の世界観は作者の出身地である長崎県五島列島を舞台にした日常を描くヒューマンドラマであり、かつゆったりとしたコメディ色の漫画作品となっています。
またタイトルになっている『ばからもん』は五島列島の方言で『元気者』の意。
既に完結済みの作品ですが2023年7月に実写ドラマ化が決定されたため、期間限定で復活連載されています。
今回は、漫画『ばからもん』の最終回が気になるという方に向けて最終回についてご紹介したいと思います。
この記事で紹介する内容は?
- 『ばらかもん』のあらすじ
- 『ばらかもん』の最終回のネタバレ
- 『ばらかもん 18+1』について
- 『ばらかもん 第19巻』について
- 『ばらかもん』の実写ドラマについて
『ばらかもん』のあらすじ
引用元:ヨシノサツキ『ばらかもん』 出版:スクウェア・エニックス
半田清舟(本名:半田清、23歳)は、書道界家元半田清明の跡継ぎで若き新鋭の書道家として名を馳せていました。
ある時、栄華賞受賞パーティ会場で館長から「まだ若いのに手本のような型にはまった実につまらん字だ」と作品を酷評された衝動から館長を殴り飛ばしてしまうと、父親から「お前は書道家の前に人間として欠けてる部分がある」として頭を冷やすように言われ長崎県の五島列島へと送り出されてしまいます。
都会の文明とはかけ離れた島を訪れた半田は父親の紹介で郷長と落ち合うと古い平屋に案内されそこで生活をすることに。しかし、長らく使われていない平屋には島の子供たちの秘密基地になっていたのでした。
東京からやってきた半田は島の住人である琴石なる(小1)、久保田陽菜(小1)、山村美和(中2)、新井珠子(中2)、木戸浩志(高3)や村人と交流を続ける内に島での生活に馴染み、自然に埋もれた感覚からこれまでにない作品のイメージが浮かんでくると徐々に自身を取り戻します。
そして、野村ヤス(ヤスば)から例えチャンスを掴み取れなくても「どうぞお先に」と相手に道を譲る精神を教示されると、次第に心にゆとりが芽生えて精神的に成長していくのでした。
本作では人として未熟の半田清舟が子供たちと何気ない日常を繰り広げることで自分らしい字に辿り着き書展へ出品するという成長の物語であるとともに、五島列島を舞台にした日常コメディ作品となっています。
2014年には制作『KINEMA CITRUS』にて日本テレビ系列で全12話でアニメ化されています。
『ばらかもん』最終回:主要キャラのそれぞれの動向
ばらかもんの最終回は単行本18巻に収録されています。
それぞれの進路・進学・動向は以下の通り。
- 琴石なると久保田陽菜たちは小学二年生に。
- 山村美和と新井珠子たちは中学三年生に進級。
- 山村美和:いつの日か巌の酒屋を継ぐために目下勉強。
- 新井珠子:ペンネーム『あらみたま』として応募した漫画作品『しばりちゃんとお兄ちゃん』が佳作賞。
- 新井明彦(あっきー):中学に進級し新入生代表の挨拶。(なお、公私混同はしないとして校内では話しかけるなと美和と珠子に警告)
- 木戸浩志:料理人になるために東京の調理専門学校へ進学。
- 山村巌:酒屋をたたみ優一郎の口利きで船に乗り単身赴任。
- 神崎康介:週に一回テレビ番組の書道コーナーに出演
なお、島の分校の新入生は0人の模様。
主人公・半田清舟はそのまま五島列島で書道教室を開き琴石なるを筆頭としたいつもの子供たちに書道を教えています。人に教える楽しさ、子供たちが上達していく姿は半田の新たな楽しみとなり己がやりたかったことに辿り着きました。
また、半田が受け持つ生徒の中でも次に島を出ていく年齢である美和や珠子にはちゃんと実績を持たせてやりたいとして高校卒業までに行けるところまで行ってほしいと書道の段位・級位を取らせようとはりきっています。
なお、資格ではないので履歴書には趣味の欄に記載。
最終巻のネタバレ
引用元:ヨシノサツキ『ばらかもん』 出版:スクウェア・エニックス
4月15日(半田の誕生日)は書道の昇級試験〆切であり、パーティの準備をしてきたなるたちが半田に急かされて提出品を清書することになりますが、なるたちが清書を後回しにしてパーティを開催すると子供たちのために自分一人がやる気を出して挑んでいる状況がバカみたいだと憤ります。
しかし、美和が『習字は先生のためにやってる』と勢いに任せて暴露したため半田は子供たちは字が上手になりたいから書道を学んでいるのではなく半田が誘ったからやっていることを知るのです。
真実を知った半田が一人部屋の隅に縮こまって落ち込んでいると、東京へ向かった浩志から着信が入り『誕生日おめでとう』と祝いの言葉を贈られます。
半田は浩志にこれまでの経緯を話し『オレは自分のやりたいことをあいつらに押し付けてるだけなのか』と相談すると、浩志はその通りだと即答。しかし、それは何事にもきっかけがあるということを前提としており、浩志が料理人を目指したのは母が初めて作った料理を褒めてくれたことだと話すと、なるたちのきっかけは半田に誘われたからだけではなく『半田先生を喜ばせたい』からではないかと諭すのです。
浩志はこれからどうなるかは分からないがなるたちの気持ちだけはわかってあげてほしいと伝えると、半田は浩志の言葉でなるたちの気持ちに気付かされるのでした。
浩志に諭された半田は出ていったなるたちを探すと自分の都合を押し付けてイライラをぶつけてしまったことを謝罪。なお、半田が素直に大人気なかったと反省すれば、なるたちは半田を前に『成長』という二文字を思い浮かべるのでした。
仲直りした後は誕生日プレゼントに『硯』を貰っています。
また、なるの父親・琴石優一郎からも誕生日プレゼントが届きますが、半田の誕生日なのに何故か『先生へ、電話なるに渡して』という手紙とともになる宛に携帯電話が梱包されていた模様。
優一郎からの電話が来ない中、半田が「自分からかけてみればいいだろ」と提案するなるは照れ臭そうに腕をバタバタ動かして「何も話すことないし」と断ると、半田が「オレがかけてやるから」と携帯を取るとワクワクした面持ちで「いや…ちょっと」と再度断ります。
しかし、ただ気恥ずかしいだけかと思えば半田がボタンを押そうとすると「ヤメロー!」と携帯を奪い激怒。ものすごくキレるのでした。それでもなるは携帯を肌身離さず持ち歩き優一郎からの連絡を待ち続けるのですが、自分から絶対に電話をかけない理由はどうやら本当に恥ずかしいからとのこと。
優一郎の紹介で酒屋をたたみ船に乗ることになった巌を心配した美和が同じ境遇のなるに悩みを打ち明けたところ、なるは携帯を美和に渡し優一郎に電話をすることに。優一郎から船生活の実情を聞いて安心した美和でしたが、最後に「一人で寂しくないですか?」と質問したところ、優一郎は「寂しかよ、早くなるに会いたかねー」と話したため、美和は自然に携帯をなるに渡すのでした。
そのため、なるは自然に優一郎と話すことができ、通話終わりに初めて「おっ、おっ、……お父さん」と口にして伝えることができました。
一方で美和も巌と話し合うと高校卒業し勉強もして家のことは守るから安心して行ってくるようにと涙を浮かべて父親を送り出しており、数日後に巌は船に乗り海へと旅立ちました。
ある時、半田はなるにお手本ではなく自分の字はもう書かないのかと聞かれると、半田は書道教室に通うなるたちの字が自分の字だと語ります。今の半田にとっては、全員が昇級してこの書道教室から書道家が出るかもしれないと考えるのが楽しみであり、なるたちが成長することが半田のやりたいことだと伝えました。
その後、いつも通りの日常が続くと新入生がいないのに分校で村人全員参加の新入生歓迎会が開催されると、後輩が欲しいなるたち二年生は代わりに半田を歓迎(なぜか美和や珠子、あっきー、東野らも歓迎会に参加)。子供たちとドッジボールを楽しみます。なお、半田ははじめて島に来たときのことをいじられる模様。
そんな中、半田は持ちつ持たれつつの関係を築く村の人たちを見て、村の人たちの好意はありがたいけど自分は何も恩返しできていないため申し訳ない気持ちがあると郷長に話します。しかし、郷長は村の人たちが誰かに何かをあげてるのは単純にたくさんあっていらないからあげているだけと説明。
半田の悩みに対し、郷長は好意とは受け取ってもらうだけでいいのだと解釈。ただ、村の人が半田に何かをあげるのは半田がなんでも快く受け取ってくれるから喜んでいるのだとして、半田が村人に凄く気に入られていると伝えます。
また、それでも何かを返したいと思ったら半田がその時できることを必要とする人にあげたらいいのではないかと提案すると、『お返し』という言葉をくっつけて渡されるよりは半田の好意を貰う方が嬉しいと語りました。
そして、なるたち二年生は書道パフォーマンス用の一番大きな紙と筆を用意し半田にサプライズでプレゼント。『ずっと先生には先生でいてほしい』『先生は字を書くのが見たい』となるに言われた半田は、子供たちや村人からそれぞれ言葉を贈られると、書道の先生になるために久しく忘れていた自分だけの作品を作る感覚を思い出し渾身の作品を完成させるのでした。
半田が書いた文字は『楽』。
巨大な紙にデカデカと書かれた『楽』の文字を背景に半田はなるたちと記念写真を撮ると、なるはその写真を浩志に送信するのでした。
場面は東京に代わり、 川藤と神崎と街を歩いている浩志がなるからのメールを受信すると、画像を開きます。
半田の作品を見た川藤は「なんだよアイツ、やる気マンマンじゃないか」と、こうしちゃおれんと携帯を取り出し仕事に取り掛かるのでした。
一方で半田は夕日を見ようと外出したところ琴石耕作に遭遇し運んでもらうと、堤防の上にはなるが座っていました。なるに誘われるように一緒に夕日を見る半田ですが「まあ、お前がいた方が楽しいか」と二人で夕日を眺めるのでした。
そして、翌日もいつもの日常が始まると半田書道教室には子供たちが集まっており、家電に出る半田の後ろで「先生」と呼ぶ子供たちの声がこだま。家を写したまま、なるが「先生ーーー」と声をあげてバァンという物音を立て半田が「うわっ、なる!おまえなぁ」と怒る様子とともに物語は完結するのでした。
ちなみに単行本18巻最終話の幕間には片手をポケットに突っ込んだ半田が片方の手を広げているデフォルメ絵が描かれています。
また、単行本18巻のカバーは半田清舟と琴石なるが腕組みをして仁王立ちしている後ろにこれまで登場したキャラクターの集合絵が描かれています。
『ばらかもん18+1』とは?
引用元:ヨシノサツキ『ばらかもん』 出版:スクウェア・エニックス
ばらかもんは全18巻で完結しましたが、2018年12月12日に『ばらかもん18+1』なるものが発売されています。
内容は月刊少年ガンガン掲載4コマ漫画・ばらかもん通信・ポスターコレクション・イラストギャラリーといったものから、最終話Act.134の続きとしてAct.135~138話が収録されています。
なお、漫画の内容は時系列や世界観がめちゃくちゃでありかなりギャグ要素が強いものとなっています。
また、東京へ向かった木戸浩志が神崎康介の案内で半田家に挨拶にいったり東京を案内されている小話も収録されています。
半田がセーラー服姿のアリコ(河本あいこ)に半田清舟がどれだけモテたのか自分の歴史を語りながら海釣りをしている姿が描かれており、成長したなるの後ろ姿も描かれています。(2歳の河本あいこが中学生くらいの年齢になっているので10年後くらいの設定…?)
以上のように『ばらかもん18+1』はファンに向けた一冊となっているため、本当の最終回と言われています。
ばらかもん 18+1 作者:ヨシノサツキ |
ばらかもん19巻
引用元:ヨシノサツキ『ばらかもん』 出版:スクウェア・エニックス
2018年12月12日発売の『ばらかもん18巻』そして『ばらかもん18+1』で完結したばらかもんですが、何と2023年7月12日に第19巻が発売されました。
『ばらかもん』は2023年4月に月刊少年ガンガンにて復活連載しており、約4年7カ月ぶりに復活連載時に掲載されたエピソードを収録した新刊が発売されたのです。
話数は『ばらかもん18+1』から継続しAct.139~Act.145が収録。
冒頭には最終話時点の一歳年を重ねたなるたちが「先生久しぶりー」と挨拶する4コマが掲載。
内容自体は半田を中心にいつもの何気ない日常が描かれたものや、調理専門学校に通いながら弁当屋で働く浩志の様子が描かれるほか、分校では将来の夢をテーマに作文が出されなるが色んな大人に将来の夢を訊ねて回ると、半田もまた「これからのことは大人だって考えるさ」と述べて考えさせられる回も収録されています。
久しぶりにばからもんの世界観を楽しめますが、またばらかもんが終わってしまうという葛藤を抱く矛盾…。
ばらかもん 単行本19巻 作者:ヨシノサツキ |
ばらかもんの実写ドラマ化
2023年7月12日毎週水曜日よりフジテレビ系列で実写版『ばからもん』が放送開始しています。
長崎県五島列島を舞台に『マルモのおきて』スタッフが贈るハートフル島コメディとして撮影された本作は、今の時代には珍しく極力原作漫画を再現した作品となっており、キャラ設定なども注力されています。
【原作】 | ヨシノサツキ『ばらかもん』 |
【脚本】 | 阿相クミコ 金沢達也 |
【音楽】 | 眞鍋昭大 宗形勇輝 |
【主題歌】 | Perfume『Moon』 |
【企画】 | 上原寿一 |
【演出】 | 河野圭太 植田泰史 木下高男 北坊信一 |
【プロデュース】 | 髙丸雅隆 高橋眞智子 |
【制作】 | 共同テレビジョン |
【製作】 | フジテレビジョン |
【放送局】 | フジテレビ系列 |
【キャスト】 | 半田清舟:杉野遥亮 琴石なる:宮崎莉里沙 久保田育江:田中みな実 木戸浩志:綱啓永 山村美和:豊嶋花 新井珠子:近藤華 木戸朋子:山口香緖里 木戸裕次郎:飯尾和樹(ずん) 八神龍之介:田中泯 神崎康介:荒木飛羽 川藤鷹生:中尾明慶 半田清明:遠藤憲一 |
さすがに全てを再現することは難しいので一部改変されている部分はありますが、実写版としては好感触ではないでしょうか。
まとめ
月刊ガンガンで連載されていた『ばらかもん』ですが、2014年にはアニメ化がされ、2023年には4年半ぶりに一巻分だけ復活連載されました。
完結後も何かと話題になるのはやはり五島列島を舞台に半田清舟という書道家の若者が自分らしさを探しに日常生活を繰り広げて成長するというテーマがいつの時代の人間にもささり、また作品自体がコメディ色が強いもののうまく人間関係や別れの大切さをしっかり描いているからではないでしょうか。
個人的には日常系の漫画作品でトップクラスに面白く、どの年代にもススめられる漫画だと思います。
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