漫画『るろうに剣心』の登場キャラクター、沢下条張(さわげじょうちょう)。
彼は新井赤空の最後の一振りを巡り緋村剣心の前に立ちはだかりましたが、剣心との決闘後、どのような処罰を受けたのでしょうか。
今回は沢下条張のその後についてご紹介したいと思います。
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沢下条張とは
引用元:和月伸宏『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』 出版:集英社
沢下条張とは、志々雄真実の配下の中でも精鋭を集めた直属の特攻部隊『十本刀』の一人。
通称『刀狩りの張』。
関西弁と箒のような頭髪が特徴であり、趣味は刀剣収集。
志々雄直々に勧誘しており、当時お互いの所有する刀全てをかけて勝負したところ大敗。その後、志々雄は刀はいらないから配下になれと述べたことで、十本刀に加入しました。
沢下条張と緋村剣心の闘い
新月村で逆刃刀を瀬田宗次郎に折られた緋村剣心は、刀匠・新井赤空の息子である青空と接触を計りますが、張は幕末の名刀匠と名高い新井赤空の最後の一振りに関心を持ち、個人的に新井青空の下を訪問。
そして、新井赤空の最後の一振りを秘匿する青空に対し、その息子でまだ幼い伊織を人質に刀の所在を聞き出すと、御神刀として奉納されているという白山神社に赴くのでした。
その際、操は御庭番衆の情報伝達能力の要である鳩を使って一連の事情を翁(柏崎念至)に伝えると、翁から剣心に事情が伝わり、剣心は折れた逆刃刀を携え一目散に白山神社へ。
白山神社で剣心と対峙した張は、敵と遭遇しておきながら闘いもせず見逃せば志々雄に処罰される・せっかく新しい刀を手に入れても試し斬りする素材がなければ楽しみが半減するという理由から、逆刃刀が折れている状態の剣心と決闘を行います。
しかし、初手を躱されるとともに飛天御剣流・龍巻閃を背部に受けたことで背負っていた数本の刀が破損。愛刀が衝撃を緩和したことで戦闘不能には及ばず、張は立ち上がり赤空初期の殺人奇剣『連刃刀』を構えて再び斬りかかりますが、剣心は連刃刀を受け止めた上で飛天御剣流・龍翔閃で反撃に出ます。
張を倒したと早合点した剣心は伊織の救出に向かいますが、張は胴体に胴鎧を巻いていたため、龍翔閃のダメージを防いでおり、上着を脱ぐと胴鎧と思われたものを解放。その正体は赤空作後期型殺人奇剣『薄刃乃太刀』であり、張一番の愛刀だったのです(※ここで青空夫婦や操たちが到着)。
張の敗北
薄刃乃太刀の特徴は、刃の強度を保ったまま可能な限り薄く鍛え、更に剣先をわずかに重くすることによって手首の微妙な返しをそのまま刀の軌道に伝え操ることができるというものであり、撓る鞭の如く太刀筋を変幻自在に操ることができます。
そして、薄刃乃太刀を極めた張は我流の技『大蛇』を披露。蛇のように素早く地面を這い獲物に飛び込むような軌道で剣心を捉えると剣心の要である逆刃刀の鞘を破壊。得物を失った剣心は真剣に対抗する術を失い、回避に専念すること。
一方で張は絶体絶命の中でも剣心の眼光が揺るがないことにイラつきを覚えると、ガキ(人質の伊織)一人のために命を張っている場合ではないと警告。しかし、剣心はかつて新時代を開くために大勢の人間を斬った償いから、死闘も流血も知ることもない家庭で健やかに育つ子供は自身にとってかけがえのない新時代の申し子であると称し、命にかえても伊織を家族の元に無事に帰すと固い決意を見せます。
張が「この先は志々雄様の下でこの薄刃乃太刀がまた新たな時代を創るさかい安心して死ねや」と高言すると、剣心は時代を創るのは「刀」でなくそれを扱う「人」であると説き伏せ、剣心が張の注意を引きつけている隙に青空が伊織の救出に出ます。
張が青空に斬りかかると、剣心は納刀していた逆刃刀を飛ばして張の太刀筋を阻害。張は矛先を剣心に変えて再び斬りかかりますが、剣心は破損した鞘の残骸で斬撃を防ぐと間合いに飛び込み額に肘鉄。青天を向いて倒れる張でしたが、剣心の反撃を受けて冷静さを取り戻しました。
一方で伊織を助けるために飛び出したはずの青空は神社の祠を開けると奉納されている『刀』を取り出し、平和を守るために影で闘い続けている剣心にこの赤空の最後の一振りを託そうと決意。青空が放り投げた『刀』を受け取った剣心を前に、立ち上がった張は真剣での決着を望みます。
しかし、『刀』を手にした剣心には逆刃刀以外の抜刀は禁忌であるという不殺の信念が枷となり、伊織を救うために今一度人斬りに戻るのか、それとも流浪人のままでいるか葛藤が渦巻いていました。
そんな剣心の心情を見透かしたように、張は抜刀を躊躇する剣心の殺意を引き出すために伊織に刃を向けます。
すると、遂に剣心は真剣での抜刀を決意。抜刀へ向けて踏み込んだところ、張はまんまと挑発に乗って向かってきた剣心に向き直り『大蛇』を展開し迎え撃とうとしますが、剣心は大蛇を超反応で回避しつつ空中で反転し飛天御剣流・龍巻閃「旋」を放ち張を一刀両断するのでした。
張は死亡した?
誰もが剣心が人斬りに戻ったと息を呑んだところ、実は赤空最後の一振りが逆刃刀であることが発覚。そのため、龍巻閃「旋」を受けた張は身動きできないダメージは負ったものの死んではいません。
意識を失う直前には、なぜ志々雄が国盗りを前に緋村剣心を相手にするのかを身をもって理解したと口上し、十本刀が京都に集結していると忠告しますが、操に殴られて昏倒させられました。
張の身柄
翁の発案で志々雄一派の情報を引き出すため一度葵屋に連行しようとしたところ、剣心は警察に引き渡すことを提案。
現在、警察には志々雄一派の件で全権を任されている斎藤一がいるため、有事の際にも斎藤の監視下に置いたほうがよいと判断し、張の身柄は警察に引き渡すことに決まりました。
沢下条張のその後
京都の警察署牢獄の最奥に一層厳重に隔離された牢屋があり、張は第一級重要人物として手枷・足枷をつけられた状態で収容されています。
情報の提供
張は収容中、志々雄一派の動向を探る情報源として活用されています。
斎藤が京都に到着した先日、軍と警察から選出した剣客約50人からなる志々雄討伐隊がたった一人の賊の手で一夜にして壊滅するという事件が起きたため、斎藤はさっそくそのようなことが実行可能な人物が志々雄の配下にいるかどうか張を尋問し問い詰めました。
斎藤は情報と引き換えに釈放を約束しますが、警察などのつまらない奴の言いなりになることが嫌だったため取引を拒否。
しかし、同時期に京都の警察に厄介になっていた左之助が同伴し張と言い合いになった結果、両者が勝負し左之助が勝てば何でも質問に答えるという交渉が成立。勝敗は見送られたものの、張は斎藤の質問に答えるように二つの情報を提供しました。
- 『志々雄討伐隊を壊滅させた人物』
- 『志々雄が画策する京都破壊計画』
これにより、警察は十本刀には大久保卿暗殺を成し遂げた瀬田宗次郎に次ぐ実力者が存在することと、京都大火に備えて約5000人の警官を京都に配備する猶予を設けました。
警官・密偵に登用
志々雄一派壊滅後、警察に捕まった十本刀の多くは裏取引に応じて恩赦を与えられています。
常人離れした能力を買われた十本刀は恩赦を与えられた後、政府の支配下に組み込まれると、それぞれ適材適所の任に就いており、張は警視庁の密偵(斎藤一の配下)になりました。
恩赦を受けた後は葵屋に顔を出して剣心一行に十本刀の処遇を報告しており、帰り際には剣心から志々雄の忠臣の本名を聞かれ『佐渡島方治』の名を教えています。また、剣心から「歴史に残ることがなくても志々雄一派のことは胸の内に留め置くと霊前に伝えて欲しい」と頼まれ、後に方治の霊前に伝える役目を担いました。
なお、密偵の仕事は当面の繋ぎでありきりがよいところで逃亡する腹積もりとのこと。
人誅編の動向
京都編のラストでは、斎藤とともに次の任務に向かっている姿が描かれており、続く人誅編では斎藤とともに志々雄事変最大最重要の事後処理『鋼鉄艦・煉獄を売りさばいた武器密売組織の探索』の任務に就いていました。
そして、張は密偵として密売組織のアジトを突き止めて斎藤に報告。その後もアジトに潜入して情報収集に励んでおり、地下室にある外印の実験室にも忍び込み様々な情報を入手した模様。そのため、張が地下室の実験室で見つけた情報から縁に殺害された薫の死体が作り物であるという事実を一足先に斎藤は掴んでいます。
人誅編終了後には、剣心が斎藤に宛てた決闘の手紙を斎藤から読ませてもらっており、決闘時間には密偵の仕事を辞めて金目の物を奪って逃亡しようとしたところ、決闘に行かず執務に残っていた斎藤とうっかり遭遇したため未遂に終わりました。
北海道編の再登場
本作における敵対組織・劍客兵器の集団を相手取る際、凍座白也の要求として猛者を集めることになりました。
劍客兵器についての調査を命じられていた斎藤一は北海道での任務に当たっており、凍座白也の件にも関与。劍客兵器が求める猛者の招集に応じて剣心一行と5年振りの再開を果たすとともに、剣心では猛者を集められないと見越して警察側で選別した者を招集していました。
そして、新選組終焉の墓標である碧血碑を合流地点と定め、元十本刀であり現在は政府の支配下である警察に所属する沢下条張・本条鎌足・刈羽蝙也の3名が再登場、かつ剣心一行に加入。なお、招集に応じたのは断れば問答無用で死罪、任務を遂行すれば無罪放免となった上で一つ希望を叶えてくれるという半ば強制的な契約が行われたためであり、張に関しては極上の刀の一振りを貰うことを条件に招集に応じました。
後に瀬田宗次郎と悠久山安慈も合流すると、五稜郭で劍客兵器とそれぞれ対決。
張は鎌足とペアを組み戦型・偽身暗鬼を持つ権宮剛豪と戦型・神通覚を持つ天智実命と交戦。前作では未登場の殺人奇剣を数多披露するとともに、未だ志々雄真実の十本刀を名乗り劍客兵器を相手に本物の悪党を見せつけるのでした。
まとめ
沢下条張の生死とその後のまとめ
- 沢下条張の生死
- 幕末の名刀匠新井赤空の最後の一振りを求め青空の息子伊織を人質に取る
- 白山神社で緋村剣心と決闘し敗北するが生存
- 京都警察署に引き渡された後、第一級重要人物として厳重に禁固
- 志々雄一派の件の全権を任された斎藤一と交渉し情報を提供(※左之助が一役買う)
- 沢下条張のその後
- 志々雄一派壊滅後、裏取引に応じることで恩赦を受け政府の支配下にて警視庁の密偵に登用される
- 人誅編では『鋼鉄艦・煉獄を売りさばいた武器密売組織の探索』の任務に就き、雪代縁のアジトを特定かつさまざまな情報を収集し斎藤に計上
- 人誅編エピローグで密偵を辞めて逃亡しようとしたところ斎藤に見つかり未遂に終わる
- 続編の北海道編では、劍客兵器と戦う戦力として招集を受けて戦闘に参加
十本刀としては最初に脱落した張ですが、愛嬌のあるキャラクターからか京都編後には斎藤の配下となりちょこちょこと再登場しています。
密偵として有能なようで、本人の腕もあり危ない場所に忍び込むことも可能のため、斎藤にこき使われているのが笑えます。
人誅編でとんずらを失敗していますが北海道編で招集されたということは、変わらず東京で密偵をやらされていたのでしょうか。
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るろうに剣心 裏幕―炎を統べる― 作者:和月伸宏 |
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