漫画『きのこいぬ』の登場キャラクターである「きのこいぬ」は、元々ほたるの家の庭に生えていたまピンク色のきのこでしたが、ある日突如として犬型の生物に変化しました。
「きのこいぬ」は、言葉は話せないものの人語を理解し文字を書くことも、ご飯を作り食事をとり二足歩行もできますが、果たしてどういった生物になるのでしょうか。
今回はきのこいぬの正体や最終回でどうなったのかついてご紹介したいと思います。
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きのこいぬは最終回でどうなる?
引用元:蒼星きまま『きのこいぬ』 出版:徳間書店
きのこいぬの最終回は、夕闇ほたるが天野こまこにプロポーズしたことで同棲に向けた引っ越しや、これまでの登場キャラクターがほたるの家で過ごしている日常回(台詞なしで日常風景を描写)が描かれました。
そして、肝心のきのこいぬですが、最後までほたると一緒に過ごしています。
最終話のきのこいぬ
最終話を締めくくるのはきのこいぬの視点でした。
ほたるとこまこのプロポーズ(同棲)祝いとして、ほたるの家でピザパーティーを開く一同。初めてのピザを満腹になるまで味わったきのこいぬは一息つくように縁側から庭に飛び出ると、自身が生えていた場所からほたるの家に向き直ります。
当時きのこだったきのこいぬは、この位置から幼少期のほたるがはなこと楽しそうに過ごしている光景を見ていましたが、きのこいぬとなって改めて同じ視点で見てみると、そこには幸せそうな表情を浮かべて友人たちと語らうほたるの姿がありました。
はなこを失ってから抜け殻のようになっていたほたるでしたが、今は「悲しみ」を感じさせないほどに成長しました。
きのこいぬが庭からほたるを見ていると、きのこいぬが庭に出ていることに気づいたほたるは名前を呼びます。すると、きのこいぬは満足げに微笑み親指を立てるのでした。
きのこいぬは消滅していない
『きのこいぬ』の最終回予想で「きのこいぬが消える」という考察が散見されたようですが、本編の最終回できのこいぬは消えていません。
最終回の一ページは、きのこいぬが親指を立てて微笑むシーンで終了しているため、消滅エンドでないことがわかります。
また、最終巻である単行本15巻の巻末コメントにて、作者様が「きのこいぬの最後」について全くそのつもりはないと綴られるほか、これからもきのこいぬ達の日々は楽しくそして時々嫌なこともドキドキすることもありつつたこ焼きを食べながら続いていくと言及されているため、最終回以降もきのこいぬはほたると一緒に過ごしているようです。
きのこいぬの生態
作中でもたびたびどこから来たのか疑問が寄せられていたきのこいぬですが、なぜ犬になったのかはわかっていません。
なお、きのこ研究所の職員・矢良によれば「さくらしめじ」に色が近いらしいものの、通常きのこ本体は土の中に広がる菌糸であるためきのこいぬのように自立している理由は不明とのこと。
きのこいぬが犬になった理由
ある時、ほたるになぜ犬になったのかと問われたきのこいぬは「好きだから」と応えています。
何が好きなのかについてはほたるが「この庭ではなこのいた日々をずっとお前は想っててくれたのか」と独白している通り、きのこいぬは庭に生えている間ずっとほたるを見守っていました。したがって、きのこいぬが好きなものはほたるであると窺えます。
第一話でほたるが綴っているように、はなこが亡くなって気持ちが沈んでいるほたるを元気づけるために犬になったのかもしれません。
なお、肝心のほたるには「はなこのことが好きで犬になった」と解釈されたため、想いが伝わらず呆れてため息を吐いています。
しかしながら、犬を選んだ理由はおおよそ見当がついたものの、どうして犬になれたのかという根本的な謎は解明されていません。
判明している特性
きのこいぬは分類上「きのこ」なのはある程度確定しており、初めての山でもキノコ同士呼び合うのか独自の感覚で他のきのこ種が自生している場所を見つけることができます。
一方で、きのこなのに人間のように暮らして食事を作って食べるという習慣から、その生態はほとんど解明されないまま完結してしまいました。
最終回までに分かっているきのこいぬの特性は以下の通りです。
- 食事をとる
- 人語を理解し文字を書く、スマホの文字入力が可能
- 水をかけるとツヤツヤになる
- 歯はないが舌はある
- 胞子を飛ばす(トイレ行動疑惑)
- 酒は飲める(変化なしと思われたが、白い胞子を飛ばす)
- 食べ物に合わせて体温が変化(たこ焼きを食べたら熱く、アイスを食べると冷たく体温調節可能)
- 鳴き声は出せる(「ファン」と鳴く)
- コタツに入るとカラカラに乾いて固くなる
- プラムは照れて熱くなり過ぎると黒く焦げる(時間経過で元に戻る)
- 発光する
- 火傷を負っても濡らすと元通り
きのこいぬの研究
作中できのこいぬの研究が行われた際に、きのこいぬは研究所で細胞診と体力テストに協力しました。
握力測定はそこそこの数値、腹筋は体系的に測定不能(0回)、反復横跳びは恐ろしく速いものの50m走は亀の歩み。一方で立ち幅跳びは10m以上の記録を出すほか、ソフトボール投げは描写されないほどの飛距離を記録しました。
なお、細胞の採取は行われたものの、レントゲンや血液採取(そもそも血液なのかも不明)、耳のキノコ部分の中身の確認は本人が拒絶したため調査不足。
研究所の申し出を受け入れたのは、きのこいぬの体質が多少わかっていれば今後怪我をした時などに対応できて安心という思いからでしたが、研究結果でわかったのはきのこいぬが至って健康であるという事実のみで、病気もなく運動能力も平均以上であること以外何も解明されませんでした。
一方で、葉山所長は「きのこいぬは人との出会いによって変容していく」と述べています。
きのこいぬの正体は…?
屋良の上司である星鳩町きのこ研究所所長・葉山龍男はきのこいぬを「一号」と見間違えていますが、一号とは何なのでしょうか。
葉山所長は昔、星鳩公園で粘菌を探していると鮮やかなピンク色の粘菌を発見し採取し、研究室で調べていました。その際、変色しても見分けがつくように「ピンク色は一号」と番号を付けたと言います(他にも粘菌を採取しており、二号・三号と順に命名)。
まずは餌を与えて観察したところ、粘菌は通常時速数センチずつしか動かないはずが所長が目を離した隙に瞬く間に餌を捕食。一号は食欲旺盛で日々異常な食欲を見せており、数日で二号・三号より育ちました。
ある日、粘菌はきのこも食べるということから所長は一号にきのこを与えたところ、仕事のため一時離籍。そして、数時間後に研究室に戻ってみるとそこにはピンク色のきのこが育っていたのです。
NEOきのこ
粘菌は餌がなくなったり乾燥したり一定の条件を満たすと子実体(キノコのようなもの)になりますが、所長も粘菌の子実体が通常のキノコほどに大きくなったのは見たことがありませんでした。
所長が名付けた一号(粘菌)は食欲旺盛で元が大きかったから子実体も育ったのか──。それとも、与えたきのこと結合したのか──。あるいは、アメーバの状態で他のアメーバとくっついて一つになることがあるがその現象なのか──、所長は色々と可能性をまさぐりますが結局育った理由は解明できていません。
したがって、一号の状態は所長の見解でも「意味不明」であり、異常な食欲・猛烈な成長速度・きのこ(多種)との出会いという情報量から『NEOきのこ』に進化したと考察しました。
きのこいぬ=一号
葉山所長は偶然きのこいぬを見かけた際に、きのこいぬの特徴的なピンクのきのこ部分が一号の模様と瓜二つであったことから、「勘」できのこいぬが一号と同一きのこだと感じています。
一号はNEOきのこに進化した直後に姿を晦ましたそうですが、きのこいぬは当時のことはまったく覚えていなかったものの、所長から与えられた食べ物のことや実験(迷路のゴールにエサを置いて粘菌が到達できるかの実験)のことを覚えていたことから、きのこいぬ=一号が確定しました。
結局、きのこいぬ(一号)の正体は不明
葉山所長曰く、きのこいぬは『NEOきのこ』になった一号だと明かされましたが、肝心のそもそもの正体については謎が残ったままです。
そもそも所長はピンクの粘菌を採取した際にそれが粘菌であると思い込んでいたため最初に細胞を調べていなかったらしく、今となっては本当に初めの形態も粘菌だったのか怪しいところです。
また、きのこいぬが飛ばす胞子をマイクロスコープで覗いたところ、一つ一つの組織がきのこいぬの柄であったことから前代未聞・摩訶不思議・超新種・歴史的発見と現実逃避するほどの衝撃を受けました。
ちなみに、きのこいぬと結合したきのこは研究室で改良した『スーパーしいたけ』であり、運送中にしいたけの傘が破れないよう肌を強化したもの。これが関係しているのかは不明です。
作中ではきのこいぬをUMAと同列に語るキャラクターもいますが、きのこいぬがUMAの類なのかも解明されていません。
祖母が正体を知っている?
ほたるがあゆむ(こまこの弟)ときのこいぬの三人で墓参りに訪れた際、ほたるは祖母が「ばぁちゃん、面白いきのこ見つけたの。でもね、じっちゃんには内緒ね」と言っていた記憶を思い出しています。
祖母がほたるのために遺した日記によると、きのこ研究所の裏にある星鳩公園の山道中で派手なきのこを見つけたのが発端(祖母がみつけたピンク色のきのこは研究所から忽然と消えた一号)であり、祖母は植物と会話する不思議な人であったため、まずはきのこに話しかけて反応を確かめたが無反応だったと綴っています。
しかし、何度も話しかけている内に徐々に反応を示すようになると、祖母はきのこに正体を訊ねたそうです。
──が、残念ながら祖母の日記を読んでいる最中、ほたるが立ち上がった拍子に日記を落としてしまうと日記は庭へ滑り落ちてしまうことに。また、突然の来客もありほたるが日記が落ちたことに気づかずに離れると、運悪く雨が降り始めます。そして、土砂降りの中にしばらく放置したあとに日記に気づいて回収しますが、インクが滲み続きを読むことができなくなってしまったのです。
そのため、唯一きのこいぬの正体のヒントになりそうな祖母の日記からは情報を得ることができなくなりました。
一方で、ほたるが思い出した記憶によると、ほたるは子供の頃に祖母に連れられて星鳩公園を訪れており、その際に祖母がピンク色のきのこを紹介し、このきのこが「連れてってほしい」と言っていると述べて家に持ち帰ったことが判明しています。
つまり、祖母がピンク色のきのこを庭に植え直した人物でした。
また、祖母曰くそのきのこは「落ちこぼれ」らしく、当時のほたるが理由を訊ねても「その内きっと分かるわ」と意味深に告げるだけで答えを教えてくれなかったと言います。
なお、祖母はきのこいぬを庭に連れ帰ってすぐに亡くなっています。
ちなみに時系列を整理すると、
- 葉山所長が星鳩公園でピンク色の粘菌を発見し採取
- 研究所で観察し育てている際にスーパーしいたけを捕食させてピンク色の子実体に独自進化
- ピンク色のきのこが研究所から消える
- 祖母が星鳩公園でピンク色のきのこを発見
- 祖母がほたるを連れて星鳩公園でピンク色のきのこを見せると、きのこの願いを叶えて家に持ち帰る
- ピンク色のきのこが庭に植えられる
- 祖父がはなこを拾う
- はなこの死後、ピンク色のきのこは「きのこいぬ」となってほたるの前に現れる
となります。
きのこいぬがほたるを助ける理由
きのこいぬが犬の姿となってほたるの前に現れた理由はほたるを助けるためですが、実はほたるを助けることは生前の祖母との約束でもあったのです。
祖母は「連れて行ってほしい」というきのこいぬの願いを叶えましたが、祖母がきのこを庭に植え直した際に見返りに自身の願いを話しました。
「ほたるがね、どうしようもなく一人で悲しそうにしてたら助けてあげてくれる?」というのが祖母の願いであり、きのこいぬ(当時はただのピンク色のきのこ)は祖母の願いを聞き入れるように頷く動きを見せています。
したがって、きのこいぬは自らの意志であの家まで連れて行ってもらった後、成長を見守ってきたほたるが悲しそうにしていたため、祖母との約束通りほたるを助ける行動に出たというわけでした。
そのため、最終回できのこいぬが充足した表情を浮かべたのは、ほたるから「悲しさ」が消えたからだと考えられます。
まとめ
きのこいぬの最後や正体のまとめ
- きのこいぬの最後
- 友人たちと楽しく過ごすほたるから「悲しさ」が消えたことを感じ取り、満足げに微笑み親指を立てる
- きのこいぬは消滅せず、今後もほたると暮らしていく
- きのこいぬの生態
- きのこいぬが「犬」になれた理由は不明
- 研究所で細胞診と体力テストを行った結果、健康体であることが分かっただけで生物としての解明はされなかった
- 葉山所長曰く「きのこいぬは人との出会いによって変容していく」とのこと
- きのこいぬの正体
- 最後まで正体は明かされていない
- 元々は葉山所長が星鳩公園で発見したピンク色の粘菌(確定ではない)であり、採取して研究するため「一号」と名付けた
- 研究所で改良された「スーパーしいたけ」を与えたところピン色のきのこに育つ
- 「一号」が研究所から姿を消した後、ほたるの祖母が星鳩公園でピンク色のきのこを発見する
- 祖母はきのこと会話(実際にきのこが話すわけではなく、動いて反応)することでコミュニケーションを取ると、ほたるを連れていき紹介する
- 祖母はきのこが「連れていってほしい」と言っていると述べて採取すると、自宅の庭に植え直す
- 祖母は「ほたるがね、どうしようもなく一人で悲しそうにしてたら助けてあげてくれる?」ときのこに頼むと、きのこは頷く
- 数年後、はなこが死亡してほたるが一人で悲しんでいると、きのこは「きのこいぬ」となってほたるの前に現れる
- 祖母の日記にきのこいぬの正体に関する記述が見受けられたが、雨に濡れて滲んだため読めなくなる
「きのこいぬ」の最終回は大団円で終了しました。
かねてから予想されていたきのこいぬの消滅はなく、最終回後もきのこいぬはほたると暮らしてることが作者様が語っているため、ハッピーエンドで完結です。
しかしながら、結局きのこいぬはなぜ生まれてきたのか、その正体も粘菌なのかどうかわからないまま終わってしまったため、きのこいぬについては謎が深まるばかりでした。
元々きのこいぬ生誕の設定を考えていなかったのか、それともあえて正体には触れずに終了したのかはわかりませんが、どこかで回答されるといいですね。
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きのこいぬ 作者:蒼星きまま |
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