2005年から2017年まで長期連載された青春ラブコメ漫画の大作『君に届け』。
本作は黒沼爽子と風早翔太の恋愛をメインにレギュラーキャラクターの恋愛をも描くラブコメ群像劇ですが、どのような卒業式を迎え、どのような進路を選択したのでしょうか。
今回は黒沼爽子たちの卒業と登場キャラクターたちの進路やその後をご紹介したいと思います。なお、『君に届け』の最終回のネタバレになりますのでご注意ください。
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「君に届け」の最終回はどうなった?
引用元: 椎名軽穂『君に届け』 出版:集英社
「君に届け」の最終回は、北幌に戻ってきた爽子と風早が抱き締め合ったところで終了しています。
登場キャラクターが北幌高校を卒業後、それぞれの進学や就職によって一人ずつ別れを描写。地元ではあるものの風早も一人暮らしで一人立ちしており、最後は爽子の旅立ちが描かれます。
風早は札幌に旅立つ爽子を見送ると、爽子は電車内で風早からの手紙に目を通します。 爽子が風早の手紙を黙読する中、これまでの回想とそれぞれのその後の様子が差し込まれると、大学を卒業し北幌に戻ってきたと思われる爽子と彼女を待っていた風早が抱擁を交わして完結を迎えました。
爽子たちの卒業式
卒業式当日、3年D組の教室は賑わっており、一部では卒業文集の爽子の自画像が話題になっていました。
文集に目を通す風早は「足の速い人」や「面白い人」のランキングに爽子がランクインし、今では爽子がクラスに馴染んでいることに嬉しそうな表情を浮かべます。
爽子の手作りマスコットブローチ
一人の生徒が机の中に変なモノを見つけたと報告。
つられるように全員が自分の机の中を確認すると「顔」を模した小さなマスコット──ピンがついたブローチ──が出てきました。クラスの全員はこの独特な画風から作ったのは爽子だと直感すると、そのタイミングで爽子が入室。
皆から人形について聞かれた爽子は今までのお礼の気持ちから作った人形であると伝えた上で「何か悪いことが起きた時などに身代わり人形として捨ててくれれば」と、最悪いらなければ捨ててくれても構わないとしどろもどろに説明。 しかし、意外にも人形は好評であり、誰かの提案で卒業の花と一緒に爽子の手作りブローチを胸につけることが決まりました。
そのため、3年D組だけは花と一緒に爽子手作りブローチをつけています。
爽子の答辞
卒業生入場および卒業証書授与式が滞りなく終了すると卒業生代表として爽子が答辞を行います。
緊張する爽子ですが風早の「いつも通り黒沼の言葉できっと大丈夫」という言葉を勇気に登壇し答辞を読みます。答辞を読んでいる最中に一年生の頃からの思い出が想起される演出がありますが、途中で爽子が口を噤むと会場はやや騒然。
しかし、爽子はアドリブで自分のあだ名である「貞子」について話し始めると、入学時には本名で呼ばれることが目標だったものの今ではもうどっちでもよくなるほど楽しかった、貞子として過ごした日々を誇りに思うと述べた上で笑顔で感謝を伝えます。
無事、爽子の答辞が終了すると式歌斉唱。歌を歌いながら爽子の半生が描かれ、爽子の友達・仲間・ライバルがクローズアップされます。
3年D組の退場
式歌斉唱が終わりいよいよ卒業生退場に差し迫ると、3年D組は教師に内緒で個々でクラッカーを配布。
爽子は教室に遅れてきたため、この時クラスメイトの一人からクラッカーを投げ渡されると、退場前に鳴らすから隠すように言われます。
そして、3年D組の退場になると風早の合図でD組全員で盛大にクラッカーを鳴らして体育館を去っていくのでした。 なお、D組退場直後にピンはこってり怒られたらしく、教室に移動後、D組生徒たちに恨みを告げるのでした。
爽子の交友関係
卒業式後、3年生たちが校内で友人や彼氏彼女と最後の別れを交わす中、爽子も友人たちと挨拶を交わします。
一人目は一年生の時のクラスメイトである高橋。実は卒業式前に全80Pの同人誌を受け取っていたため、そのお返しとこれまでのお礼としてクラスメイトに作ったものと同じ手作りの顔ブローチをプレゼントしました。
二人目は恋のライバルである胡桃沢。高橋と別れた後、くるみを見つけた爽子は彼女に声を掛けると、くるみにも手作りの顔ブローチをプレゼントします。なお、くるみが「爽子ちゃんにはこーいう風にわたしが見えていたわけね」と皮肉を言うも、全く伝わらず。
しかし、くるみの母親が迎えに来ると、母親に「あら、お友達?」と聞かれて爽子が「はい」と答えたたため、くるみは少し照れくさそうに「…ただの親友!」と言って母親の方へ向かうのでした。
風早のネクタイ
最後の別れを惜しむように風早の周りには大勢の男子と女子が溢れており、写真撮影を頼まれていました。
そんな中、後輩女子たちにネクタイの譲渡を求められますが、風早は「ごめん、俺誰にもあげてないんだ」とやんわりと断りをいれます。一方で、D組だけ手作りのブローチを付けて卒業式に出ていたことを羨ましがられたり、爽子と二人で歩いている姿が憧れだったと伝えられると嬉しそうに感謝を述べました。
その後、最後にD組で記念写真を撮ることになると風早は爽子を探しに行きますが、風早は爽子だけマスコットのブローチがないことに気付くとブローチの代わりに自分のネクタイを爽子にプレゼントします。
風早が爽子を連れて教室に戻ると皆の視線は爽子がつけているネクタイに集まり「あ──風早それ──」とツッコんだところ、風早はお茶目にあかんべえ。皆で記念写真を撮って無事高校を卒業しました。
爽子たちの進学・旅立ち・別れ
卒業後、爽子たちの進学から旅立ちに向けた準備、別れの様子が描かれています。
登場キャラクターの進路先
合格祝い
最後の合格発表者である爽子とくるみが高校に合格を伝えた帰り、校門で待っていた風早から祝福の言葉を受けると、龍の家で合格祝いを開くことに。その際、爽子はくるみと一緒に喜びたいと伝え、風早もくるみを誘ったためくるみも龍の家に一緒に向かいます。
そして、くるみは龍の家で再会した矢野と吉田に一年時のことを正式に謝罪すると、二人は謝罪を受け入れ和解。過去の蟠りが解消された後、爽子、風早、あやね、千鶴、龍、そしてくるみを含めた6人で合格祝いのパーティーを行うのでした。
なお、話題は自然とそれぞれの引っ越し時期について転がることになり、旅立ちの日を意識することになりますが、くるみは風早に対して「わたしの方が爽子ちゃんといる時間が長くなるね」とマウント。そのため、あやねと千鶴はくるみを風早のライバルに認定します。
真田龍の旅立ち
いつものメンバーで最初に旅立ったのは龍。
旅立ちの朝、龍は千鶴に「したら行くから」と挨拶しますが、千鶴は精一杯の笑顔で「いてら!」と見送ります。しかし、龍にはやせ我慢していることを見透かされており、そこは泣いてもいいと言われると千鶴は涙目に。
が、龍は続けて「卒業したら結婚な」と卒業後の婚約を取り付けるのです。
龍から飛び切りの言葉を貰った千鶴は車で駅に向かう龍にエールを贈りながら大きく手を振って見送りました。
矢野あやねの旅立ち
次に旅立つのはあやね。
あやねは泣き別れが嫌で誰にも出発日を知らせずに一人で出発するつもりでしたが、駅に着いたところで爽子と千鶴がサプライズ登場。千鶴と爽子は予め自宅に電話をして母親から出発日を聞いており、先回りしていました。
声を掛けられたあやねはびっくりしますが、結局二人に見送られる過程で涙腺が緩んでメイクが崩壊。爽子にこれまでのお礼を言われた後、二人に見送られながら「くじけそうになったら思い出すよ!頑張ってくる!」と言って乗車し旅立ちます。
爽子と風早の一線越え
次に風早が引っ越しますが、風早は県内なのですでにアパートを見つけて契約し荷物搬送済みの状態。
しかし、ガス開栓の日に爽子を誘い二人で開梱作業すると、爽子を呼んだのは「黒沼とのこれからを俺がちゃんと感じたかった」と打ち明けいいムードに。本当は日帰りの予定でしたが、爽子は風早と別れたくなくて自分の意思で電車を見送ると、母親に連絡を入れた上で風早のアパートに宿泊を決意。
長い恋愛の末に遂に男女の仲になります。
なお、こちらは決定的な描写はないものの雰囲気と台詞回しからおそらくそういうことだと思われ、キスを交わしながらベッドに倒れ込んだ後にしばらく時間が経過した後、一緒の布団で眠っている様子が描かれています。
黒沼爽子の旅立ち
最後に地元を旅立つのは爽子。
爽子は両親にこの家から見送られたいと述べると18年間の感謝を伝えて出立します。両親と別れを済ました後、駅に到着すると待っていたのは千鶴。千鶴はついに最後の一人を見送ることに寂しさを覚えますが「爽子とやのちんのおかげで高校生活楽しかったわ」と感謝を伝えます。千鶴の言葉で泣き出しそうになる爽子ですが、千鶴は涙を堪えながら今日は笑って見送りたいと爽子にも我慢を強いると、抱き締めてエール。
少し遅れて風早が到着すると、千鶴は改札を抜けたところで思い出したかのように退散し気を利かせて二人きりにさせます。駅のホームで電車を待つ間、風早は爽子にキス。周囲の人達に見られて恥ずかしがる爽子ですが、風早は大事な局面だからとなりふり構っていられない様子。
電車が来るまで手を握って黙って佇むと、電車が到着したタイミングで風早は手紙と自分のアパートの合鍵を渡し、最後にまたキスを交わします。電車に乗り込む爽子ですが、風早が名前を呼んだため振り返ると、風早は「だいすきだ!なにがあっても!」と笑顔で今の気持ちを伝えます。
爽子は風早の言葉に涙を流し別れを惜しみますが、風早の下に残りたい気持ちを抑え、風早に負けないくらいの笑顔を作って「私も」と応えるのでした。
そして、電車が発進し爽子が北幌を離れていくと、揺れる電車内で爽子は風早からの手紙に目を通します。手紙の内容は去年の誕生日に爽子がくれた手紙への返事であり、三年間の爽子に対しての感謝や大学生活に向けたエール、爽子への想いが綴られたもの。
爽子は風早の手紙に目を通した後、鍵を握りしめながら風早を愛しく思うのでした。
それぞれのその後の様子
爽子の旅立ちの後、爽子のポエムとともにそれぞれのその後の様子が少しだけ描かれています。
入学式会場にやってきた爽子と両親。爽子は緊張していましたが、隣の席に座った女子に対して勇気を出して自分から挨拶するという成長を見せました。
風早は進学先で野球部に入部したらしく自己紹介の挨拶をしている様子。あやねは上京先でも第一印象が怖い人と言われてしまいますが、すぐに誤解が解けて友達ができました。
健人は相変わらず大学でも女性に囲まれており、くるみは大学で爽子と過ごしている様子が描かれます。 ピンは新入生を迎え入れるもののその幼さに吃驚する様子。
千鶴は龍の実家のラーメン屋で働きながら徹に二人目の子供が生まれそうになると報告を受けて驚いている姿が描かれており、龍もその報告を受けたのかスマホを見て朗らかな表情を浮かべている姿が描かれました。
黒沼爽子の帰郷
北幌を旅立つ爽子のポエムとそれぞれのその後が描かれた後、とある道端で待ちぼうけする風早の後ろ姿と、風早を見つけて驚く爽子の姿が描かれます(もしかして第1話で風早と爽子が出会った道?)。
おそらく4年の月日が流れ大学を卒業して帰郷した爽子と風早の再会と思われ、風早は爽子を見つけると見送った時と同じ笑顔で出迎えます。爽子は風早の変わらない笑顔を見ると荷物を置いて胸に飛び込み「…ただいま!」と抱擁を交わすのでした。
最後は地元に戻って再会した爽子と風早の抱擁シーンで終了したため後日談はありませんが、最終巻幕間ページには正装で集合写真を撮る一同のイラスト(風早が爽子をお姫様抱っこしているため結婚式後?)や、スピンオフ作品である「君に届け 番外編〜運命の人〜」では大学生活中にお互いに帰郷したり札幌に行ったりして定期的に合っている様子が描かれています。
まとめ
以上、「君に届け」の最終回の概要とキャラクターのその後の紹介でした。
2年生編の年明けから進路相談が始まると、恋愛と進路が急加速し、3年生編ではそれぞれの恋愛の決着から進学先がしっかりと描かれました。最終回は群像劇の大団円としては申し分ない結末であり、長い連載のピリオドに感動です。
「君に届け 番外編〜運命の人〜」は胡桃沢梅が主役でヒロインのスピンオフ作品ですが、大学生活の爽子と風早の再会なども描かれているため、本編で物足りない方はそちらもおすすめです。
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君に届け リマスター版
作者:椎名軽穂 / 掲載:別冊マーガレット
陰気な見た目のせいで怖がられたり謝られたりしちゃう爽子。爽子に分けへだてなく接してくれる風早に憧れている。風早の言葉をきっかけに変わっていけるみたい…。夏休み前、爽子は肝試しでお化け役をやることに!?
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君に届け 番外編~運命の人~
作者:椎名軽穂 / 掲載:別冊マーガレット
高校を卒業した爽子たち。くるみの前に‘運命の人’が――!? 高校卒業後、同じ大学に進学したくるみと爽子。気乗りしない合コンに爽子を誘って参加したくるみですがそこでおかしな男に絡まれてしまいます。そんなピンチを救ってくれたのは「えーじお兄ちゃん」。どうやら爽子のイトコらしいのですが…。
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