炎炎ノ消防隊の主人公・森羅日下部の母親である万里日下部。
連載当初は12年前の火災で1歳の弟とともに死亡したと言われていた彼女ですが、話が進んでいく内に実は生きていることが明かれていきました。
では、森羅の母親の正体や最後はどうなったのでしょうか。
今回は万里日下部の正体や最後・その後についてご紹介したいと思います。
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万里日下部のプロフィール
引用元:大久保篤『炎炎ノ消防隊』 出版:講談社
万里日下部(マリクサカベ)はシンラとショウの実の母親で無能力者の民間人です。
表向きは12年前の火災でショウとともに死亡したと言われており、唯一生き残ったシンラは炎の中で「鬼」を見たと証言し、その鬼が火災の犯人と思い怒りと復讐心で生きてきました。
しかし、物語が進むにつれて実際は母親は焔ビトとなり生存していることが明かされています。
万里の鬼化と生存
万里の生存が明かされたのは単行本11巻第189話「燃ゆる過去」です。
12年前、すでに暗躍していた伝導者一派は新たなアドラバーストの誕生を観測していました。出火原因はシンラではなく弟のショウであり、当時のショウは1歳にして三人目の柱として覚醒し発火。
突然発火したショウに戸惑う万里ですが、その場で焔ビト化してしまうとそのまま一気に鬼化します。また、この時、ショウのアドラバーストの影響でシンラは第三世代能力者として目覚めてしまいます。
そのため、シンラが覚えている炎の中で見たという角の生えた焔ビトの正体は母親の万里でした。
その後、先んじて待機していた伝導者一派のハウメアとカロンが母親の死体に見せかける仕掛けをセットし、ハウメアが万里を操作してショウを誘拐しました。当時、火災現場に出動し燃え盛る家の中へ突入したバーンズは炎の中で「角の生えた焔ビト」と焔ビトが抱える「赤子」を視認しますが、火災が激しくて取り逃がしてしまいます。
そして、バーンズはまだ幼いシンラが無謀にもこの件に踏み込まないように敢えて家族は死亡したと嘘を吹き込んで遠ざけていたのです。
この時点で母親の生存は仄めかされていますが消息は不明となっています。
万里と日下部兄弟出生の真相
単行本26巻第230話~231話にて、ショウは世界が滅びる前に家族を知ろうと調査を始めます。
伝導者一派から離脱後、ショウがアローとともに訪れたのは新宿区役所。12年前に死亡扱いになった母親ですが、戸籍謄本を調べれば何かわかるのではないかと考えます。とはいえ、予想通り日下部家の戸籍謄本にはショウも万里も死亡扱い。しかし、ここで初めて母親の名前が『万里日下部(マリクサカベ)』であることを知ります。
一方で、戸籍謄本のどこにも父親の名前がないという真実を知ることにもあるのです。
処女受胎
戸籍謄本に父親の名前がないことに疑念を覚えたショウは、次に聖陽医科大学病院を訪れ出産記録を調査しますがやはり病院の記録にも父親の名前はありませんでした。
万里がシングルマザーとして出産した可能性を視野にいれますが、病院の検査記録の項目に「処女受胎」の検査をしている記述があることから性行為なしに妊娠した可能性が浮上。しかし、「処女受胎」が真実であれば当時話題になっていたはずと思案したショウは当時日下部が住んでいた地域の区民館で回覧板などの記録を漁ることにします。
そこで17年前の回覧板を書いたという館長から直接万里日下部の話を聞くことができました。
当時、万里日下部は父親不明の子供を二人も出産したという事実から処女受胎の噂が囁かれてしましたが、一方で処女受胎を信じる者の方が少なく、誰もが万里のことを疑いやましいことを隠していると噂しており、万里は実の母親からも信じてもらえませんでした。
しかしながら、館長は聖陽教会から記録を残すのを止めるように圧力をかけられたことから万里が処女受胎である確信を得ていました。
日下部兄弟出産の真相
単行本27巻第232話「万里日下部」にて17年前の真相が描かれます。
突如心当たりのない妊娠をしてしまった万里は聖陽医科医院で相談したところ、検査した結果『処女受胎』と判明します。検査結果を目の当たりにした医者たちも信じられない気持ちであり、万里の両親に至っては処女受胎を信じておらず出産を望む娘を勘当し突き放すほどでした。
両親から勘当されたことで『阿部』姓を名乗ることができなくなった万里ですが、一応出産費用と養育費は出してもらえたらしく一人で出産を決意。医者や看護師の助力を得て無事に第一子(森羅)を出産します。
また、この時に自分の存在を不思議に思った万里は医者に「一体何なんでしょう私は…」と疑問を吐露しますが、医者はとある女性が夫との性交前に身籠ったという処女受胎の伝説を口にします。曰く、妊娠を女性に伝えたのは神の使いである天使であり、その生まれた子は世界を救う救世主になると言うのです。
なお、当時の万里は笑い話として信じていませんでした。
第一子出産後、母親が面会に来ると「その子は絶対にあなたを不幸にする」と叱責しますが、万里は生まれてきた第一子に「大丈夫よ、あなたは望まれない子じゃない、この世界に必要なヒーローなの」と語り掛け、その名前を『森羅』と命名。
その4年後、万里は再び処女受胎し第二子(象)を出産。未だ処女受胎を信じない周囲の噂は尽きませんが、万里は「ショウとシンラはお母さんの元に舞い降りた天使ね」と愛情を注ぎ一人で育児をこなし、シンラは自分がヒーローになって二人を守る決意を表明します。
万里は救世主の母親
万里の記憶から処女受胎並びに自分たちの出生の真相を知ったショウは、処女受胎で生まれた子が救世主となる伝説に万里と森羅を当てはめます。
大災害とはこの世界が人間のイメージの集合体であるアドラと一体化することであり、過去に一度大災害が起きていることから今いる世界は過去の人類のイメージが関与した世界。したがって、森羅日下部は過去の大災害前の人類が思い描いた救世主像が投影された人間──本物のヒーローであると結論づけます。
即ち、伝導者一派からすれば救世主がいる限り希望が絶えないということであるため、森羅の存在は不都合。役所に圧力をかけたのも、ことあるごとに森羅を悪魔に仕立てるよう扇動したのも救世主の存在を恐れているためでした。
万里の正体は伝導者のドッペルゲンガー
アドラにて聖女ハウメアとの最終決戦を迎える日下部兄弟。
立て続けの死を目の当たりにしたシンラは桜備の死をきっかけに完全に怒りに呑まれてしまい人類の未来は消失、星は炎に包まれ第二の太陽となってしまいます。
しかし、アーサーの後押しによってシンラは再び希望を取り戻しヒーローとして「俺はこのまま世界を終わらせたくない、俺の希望だ」と述べてハウメアと対峙すると、突如地面から焔ビト状態の万里が出現。
その際、聖女ハウメアが「世界が滅びた今──なぜ伝導者のドッペルゲンガーが…」と発言したため、万里の正体が伝導者のドッペルゲンガーであることが明かされるのでした。
伝導者は絶望の象徴であり人類の救いであるのに対し、万里日下部はその絶望の中にたった一つ残った希望という名の汚れとのこと。
なお、焔ビト状態でも会話や意思疎通は可能であり、12年振りに会った母親に抱き付くショウを優しく抱擁し迎えるほか、二人を守るという約束を守れなかったと謝るシンラに対しては「それで、諦めたの?」と返し、森羅が母さんに会わせたい大事な人たちがいっぱいできたと伝えると「そうッ、友達ができたのね」と優しく応えました。
また、希望を捨てず諦めないシンラに対し「シンラならできるわ」とエールを贈ります。
万里は最後どうなった?
聖女ハウメアとの最終決戦では、森羅が主軸となり日下部一家は三人の心・魂を一つにする『魂の共鳴』を行い森羅万象マンに変身し聖女ハウメアを圧倒します。
そして、神の力で世界を再生すると同時に亡くなった人々を蘇らせると、命の価値を軽くすることで人の絶望の源である死への恐怖を身近で親しみのあるモノへと変化させ、残った絶望を消滅させました。
こうして日下部一家は聖女ハウメアや世界から絶望を取り除き世界を救います。
万里のその後
最終決戦後は絶望が消えて一部を除きすべての人間が復活し一件落着となり、日下部一家の魂の共鳴も解除され元の姿に戻りますが、万里は以前角の生えた焔ビトの状態でした。
しかし、母親の姿を心配するショウに反し、万里は「たしかにお母さんって姿じゃないけど…世界は変わったんだし姿形が問題じゃないでしょ?」と笑顔を向けます。
その後、インカがアイリスを伴い「私たちシンラ君の彼女のインカとアイリスです」と挨拶すると、「シンラ…二人も…?」と怪訝な声色でシンラを疑う万里の姿が。シンラが慌てて「ち…違いよ母さん!俺どっちの娘ともそんなんじゃ」と否定すると、それはそれで「そうなの?どっちも素敵な娘じゃない」と揶揄う様子が描かれます。
また、抱き付いてきたインカやアイリスから離れるシンラが癖の引きつった笑顔を見せると「笑ってる」とツッコむ姿も。
そして、全てが片付いた後は『母さんに会わせたい人たちがたくさんいる』という約束通り、森羅は母親を連れて地上に戻り第8特殊消防隊と合流し結末を報告しています。
万里はエピローグには未登場
アドラから地上に戻ってきたはずの万里ですが、エピローグでの登場はありません。
エピローグに登場していないキャラクターは他にもいますが、主人公の母親であり物語の主要人物でもあるはずの万里はなぜか描かれていません。そのため、森羅が創った世界でどのように過ごしているのか、本当にずっと焔ビトの姿で生活しているのかなど何も分からないまま完結しています。
しかしながら、万里は焔ビトでありながらも度々焔ビトの口の中に素顔の部分が描かれているため、焔ビトの皮を纏っているような印象を覚えます。実は焔ビトの中に本体があって脱げたりするのでしょうか…?
まとめ
以上「万里日下部の正体や最後・その後」についてのまとめでした。
万里の正体は絶望の象徴である伝導者のドッペルゲンガーで「絶望の中にたった一つ残った希望」であることがわかりました。処女受胎、人類の救世主となるシンラの母親としてこれ以上ない重要人物でありましたが、妊娠から現在までの17年間は同情に値する人生を歩んでいます。
シンラが創り直した世界で第二の人生を謳歌していると考えたいところですが、果たして本当に焔ビトのままなのかは不明です。アニメ化の際に、万里のエピローグは何か加筆か救いを与えてほしいところですね。
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炎炎ノ消防隊
作家:大久保篤
出版:講談社 全人類は怯えていた──。何の変哲もない人が突如燃え出し、炎の怪物’焔ビト’となって、破壊の限りを尽くす’人体発火現象’。炎の恐怖に立ち向かう特殊消防隊は、現象の謎を解明し、人類を救うことが使命! とある理由から’悪魔’と呼ばれる、新入隊員の少年・シンラは、’ヒーロー’を目指し、仲間たちと共に、’焔ビト’との戦いの日々に身を投じる!! 燃え上がるバトル・ファンタジー、始動!! |
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