炎炎ノ消防隊は、2015年9月に連載が開始され2022年2月に完結を迎えました。
約250年前に起きた大災害を境に人体発火現象の脅威にさらされる東京皇国を舞台に、主人公・森羅日下部が所属する特殊消防隊の活躍と、再び大災害を引き起こそうとする白装束の伝導者一派との戦いを描く本作品。
果たしてどのような最終回を迎えたのでしょうか。
今回は全34巻で完結した炎炎ノ消防隊の最終回についてご紹介したいと思います。
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炎炎ノ消防隊の最終回のネタバレ
引用元:大久保篤『炎炎ノ消防隊』 出版:講談社
炎炎ノ消防隊の最終回は、シンラが異界アドラでラスボスと和解、第二の太陽となった地球や死んだ人々を生き返らせた後、第8特殊消防隊の仲間の下へ帰還したところで終了しています。
焔ビトとなった母親・万里とショウ、アイリスやインカも連れて戻り大団円となります。
ラスボスとの決着
引用元:大久保篤『炎炎ノ消防隊』 出版:講談社
本作のラスボスは二柱目のハウメアとなります。
伝導者の正体は人類の集合的無意識であり、生まれながら人類の集合的無意識を受信し続けていたハウメアは神の啓示を受けて破滅を望む人類のために大災害を完遂させようとしていました。
異界アドラでの最終決戦では、目隠し(冠)を外して開眼すると人類の集合的無意識(人類が作り出してきた神々の歴史)を全て取り入れて神となり、死を恐れ心の恐怖が増し絶望する人類の負の連鎖を止めるために死をもって人類を救済しようとしますが、シンラを筆頭とした日下部一家に阻止されます。
森羅万象マンによる世界の再生
当初、死亡した柱の魂がハウメアと共になっため柱たちの能力を有するハウメアに手も足もでないシンラとショウでしたが、絶望の最中に母親・万里と再会。万里の正体が伝導者のドッペルゲンガー(伝導者は絶望の象徴であり、ドッペルゲンガーの万里は絶望の中のたったの一つの希望)であることが発覚すると、シンラは希望に溢れ心と魂を一つにする方法を思いつきます。
死んだと思っていた二人が生きていたのがシンラにとっての奇跡。家族が一つになれば奇跡を起こせる──そう考えたシンラはショウと万里と手を取ると『魂の共鳴』を果たし森羅万象マンへと変貌を遂げます。
対してハウメアは無数の意識と涙を一つにして伝導者と繋がり絶望少女・クライングホーリーガールへと変貌を遂げますが、戦闘能力は圧倒的に森羅万象マンが上。ハウメアが黒い炎を出せば、腕を振りかぶっただけで炎の塵を草花に変える森羅万象マン。黒い炎に焼かれた大地も森羅万象マンが足を踏み込めば草木茂る草原が咲き誇り、クジラなど過去の生物も生まれていきます。
ハウメアが放出したエネルギーを掴んで投げ捨てると大気が生まれて雨が降り、地球を飲み込んだ黒い炎を消化。ハウメアが流した涙の雨を使って山などの自然や動物を生み出すと、たちまち炎の星は青い星へと早変わり。
しかし、このままではただ地球や生命を再生しただけで、人類の苦しみと共に聖女はまた苦しむことになります。そこでシンラは無意識に放つ『絶望』をどうにかするために『命の価値を軽く』することにしました。アドラバーストは破壊以外にも再生の炎でもあるため、時間停止と逆戻しを繰り返し文明を復活させ、ハウメアが流した涙から地球の人々も蘇生。そして、世界を再生すると同時に命の価値を軽くします。人の絶望の源は死への恐怖であるため、死をもっと身近で親しみのあるモノに変えれば絶望が弱まると考えたのです。
なお、再生後にリヒトやヴァルカンの知識を借りて世界を構築したと独白しています。
ハウメアの説得
こうして人類の集合的無意識である『絶望』を弱めたシンラは、ハウメアに対し「この世界でもう一度やり直すかはお前が決めろ」と交渉に入ります。
仮にハウメアが絶望を選べばもう一度世界を踏みつぶすと踏まえた上で、もう一回生きまくろうぜと対話に持ち込みますが、ハウメアは頭上に浮かぶ王冠から垂れるマントをカーテンのように閉じて中に引きこもってしまいます。
しかし、シンラは対策として蘇生させたカロンをその場に呼び寄せており、カロンはハウメアに対し守り人として尽くしてきた理由を赤裸々に語ります。集合的無意識に苦しむハウメアのために一日でも早く大災害を起こして苦痛から解放させたかったというカロンですが、唯一の心残りはハウメアの笑った顔が見れなかったこと。そして、カロンはハウメアの顔が見たいと述べます。
これにはハウメアも辛抱できずカーテンから涙目の顔を覗かせます。
カロンが手を差しだすとハウメアはそれを受け入れ、ハウメアは伝導者(絶望)と切り離されるのでした。
「絶望(人類の無意識=伝導者)」の消滅
残る問題は人類の集合的無意識=伝導者=絶望。
人類の無意識を捨ててシンラが再生させた世界で生きまくることを選んだハウメアですが、残した絶望の行く先を危惧します。
しかし、シンラは絶望に対し「この世界じゃ流行んねェよ」と蹴り飛ばして粉砕。絶望は一瞬にして消え去るのでした。なお、シンラが「寝てろ」と述べているため、完全に消失したわけではないと思われます。
死亡した柱の選択
森羅万象マンの能力で第二の太陽となった地球は再生しましたが、ハウメアに同調して先に死亡した柱たちは生きるか死ぬかを『選択』しなければいけません。
魂の状態でハウメアの選択を見届けた四人の柱(天照、インカ、炭隷、アイリス)。
その内、天照と炭隷は絶望と共に消えて死ぬことを選択し、インカとアイリスは新しい世界で生きることを選択しました。元々アイリスが死を選択したのは天照やハウメアに対しての優しさからであったため、天照はアイリスに向けて自分の分まで生きて欲しいと伝えており、炭隷は『現代』『炎の世界』『死と魂の世界』と三つ亘って見て来たことからこのまま生きるつもりはないと答えています。
こうして『死』を選択した天照と炭隷は絶望と共に去り、『生』を選択したインカとアイリスはハウメアのこぼした涙から再生し、シンラと再会を果たします。
能力の剥奪
世界の再生、ラスボスであるハウメアとの和解、そして死亡したアイリスやインカが戻って来たことで一件落着かと思いきやシンラたちの前に出現したのは死神。
この死神はシンラが「居もしない神を人が祀り上げているのはおかしい」という理由で顕現してもらった絶対的な存在の死を司る神様であり、シンラたち人間が持つには過ぎた力を回収しにやってきました。
主に柱を筆頭に強力な力を持つ者(シンラ、ショウ、ハウメア、インカ、アイリス、ナタク、紅丸、アーサー)から回収していますが、一緒に全人類の能力者からも発火能力を回収しています。
そのため、その場にいたシンラやハウメアたち以外にも全員能力を回収されており、星から人体発火が完全に無くなります。また、この段階で森羅万象マンの変身が解除されて日下部一家はそれぞれ元に戻っていますが、万里だけは焔ビトの姿のままです。
第8への帰還
こうして全てを解決したシンラはショウと万里、アイリスとインカを連れて第8特殊消防隊の下へ帰還。
敬礼をして「世界を焼く人体発火の炎を全て鎮火しました」と報告すると、盛大に迎え入れられます。この時、シンラは引きつった顔ではなく自然に笑顔を見せています。
また、第8特殊消防隊に協力していたアローもその場にいたため、ショウと再会。お互いに顔を見合わせて再会を喜んでいるように見えます。
以上が『炎炎ノ消防隊』本編の最終回となります。
【エピローグ】新しい世界の様子
引用元:大久保篤『炎炎ノ消防隊』 出版:講談社
本編のエピソードはシンラが帰還したところで終了していますが、エピローグとして前後編が最終巻に収録されています。
世界から人体発火が無くなったため特殊消防隊は解散しています。
しかし、発火能力が無くなっても『魂の強い人』は以前より強くなっている場合もあるらしく、その代表例として桜備は片手で大地をひっくり返すほどの力を有していると言います。
その能力を活かしてなのか新たに『世界英雄隊』という組織が結成されているようです。
特殊消防隊のその後
- 第1特殊消防隊
元第一のカリムとフォイェンは世界英雄隊に所属しています。
レッカは英雄隊所属か不明ながら武の道を極めるために広い世界を見ようと旅に出ると決心し、二人に見送られています。
- 第2特殊消防隊
能登は環と私服でデート。
環は特殊消防隊の解散によりみんな元気かな──と呟いていたのでおそらく『魂が強い人』に分類されず英雄隊に所属していない様子。能登も英雄隊に所属していないようで、英雄隊が遠征に出ている話をふっています。
- 第5特殊消防隊
火華はカフェでアイリスと私服で談話。
二人とも所属は不明ですが、シンラがまたインカを追って遠征に出ている話題で盛り上がっている様子。火華はシンラのことが好きというか自分の中の推しであるらしく、シンラは世界を復活させたヒーローであるため例えたくさんの女性にモテモテだろうとアイリスと良い感じであろうと、許すのが古参であると言って余裕の表情。
一方で、アイリスはシンラのことが好きであるものの「皆のヒーローだから私一人のって訳にはいかないのもわかっています」「今どき別に恋愛が全てって訳でもないし、色恋なんかでアタフタするのもアホくさいし」と大人の落ち着きを見せています。
なお、遠征に出ているシンラの帰りは待ち遠しい模様。
- 第7特殊消防隊
紅丸は世界英雄隊戦闘総指揮に、紺炉は戦闘総指揮補佐を務めています。
紅丸に関しては元々ヤバイくらいに強かったですが、さらに強いとのこと。元第8とともに遠征に出ているとのこと。
- 第8特殊消防隊
桜備は世界英雄隊の総隊長に就任。また、火縄・ヴァルカン・リヒトはそのまま桜備の指揮下で働いています。
遠征に出ている理由は大型モンスター(全長100mを越える大蛇)が出現したので場所の特定と討伐のようですが、先日も大型モンスターが出現したとかで忙しい様子。紅丸と紺炉も一緒にいます。
- シンラ、アーサー、オグン、インカ、ドラゴン
シンラ、アーサー、オグンは世界英雄隊所属。
桜備指揮の下、20km先に偵察に赴くところでインカと再会します。
インカはこの世界では魔女になっているらしく、英雄隊が述べた大型モンスターはすべてインカが呼び出したもの。その理由はシンラが子種をくれないため。インカはシンラに恋愛感情はないようですが、死にたがりの彼女はシンラが変えた世界で命を見出し、シンラが彼女を救ってくれたという理由でシンラの子孫を残したいと言います。また、命の価値が変わったことで次に繋がる命が欲しくなったと言います。
しかし、シンラはアイリスがいるため断っているようです。インカ曰く、シンラがOKをくれるまでこの迷惑な追いかけっこは続くとのこと。
また、道中では荒野の上空をドラゴンが飛行しておりアーサーが空を見上げてほくそ笑みます。アーサー曰く、それが挨拶らしく、ドラゴン=屠り人のドラゴンだったようです。
- その他のキャラクター
マキとリサは服屋で買い物をして笑っている様子。
ジョーカーとバーンズはスーツを着ている様子。
ショウとナタクは学生服を着て授業を受けており、同じコマに教師らしき格好の黒野。
新門火鉢の両脇にいるヒナタ&ヒカゲの姿。
花弁が舞う場所で優しい笑みを浮かべるハウメアとカロンの姿。
笑う月や太陽などが各一コマで描かれています。
なお、上記以外のキャラクターのその後は不明です。
25年後
エピローグから25年後、シンラは42歳となり世界英雄隊極隊長に就任しています。この時代では桜備は大統領になっていますがシンラの極隊長就任に祝電を送る関係。
また、シンラは誰かと結婚しており英雄隊に入隊する年齢の子供がいます。シンラの子供の名前は不明ですが、アーサーの子供らしき少年とともに世界英雄隊の門の前に立つ姿が描かれています。
炎炎ノ消防隊とソウルイーターの繋がり
引用元:大久保篤『炎炎ノ消防隊』 出版:講談社
炎炎ノ消防隊のエピローグにて、本作がソウルイーターと同じ世界であることが判明しました。
魂の共鳴
シンラがハウメア戦で見せた魂を一つにする『魂の共鳴』ですが、この技はソウルイーターでも登場しています。
ソウルイーターでは職人と武器の魂の波長を合わせる用語として登場しており、魂の波長の調和があって初めて真の実力を発揮できるという原理です。
死神の登場
シンラが降臨させたドクロ顔の神様。
絶対的な存在の死を司る神様とのことですが、シンラたちの目の前から消える間際に「何かあったら呼べ、42-42-564で」と伝えています。これはソウルイーターに登場する死神様とコンタクトを取る時の番号となります。
エクスカリバーの登場
アーサーの武器であるエクスカリバーはドラゴンとの戦闘後に柄に目が生え言葉を話すようになりました。
この時、アーサーは少し驚きつつも「強い思いの込もった武器に魂が宿るってのは本当だな」と納得しますが、エピローグでは完全にソウルイーターで登場する伝説の剣「エクスカリバー」の姿に変貌しています。
シンラ・アーサー・オグンとともに遠征に出ていますが、オグンに対し「見たところ君が死ぬな。来世まで死相が見えるぞ」と悪態をついており、オグンやシンラからはアーサーがマシに思えるほどウザいという評価を受けています。
また、第一声は「ヴァカめ」であり、これもソウルイーターで登場するエクスカリバーの口癖と一致。クセのある性格も一緒です。
エピローグ最後にソウルイーターのキャラクターが登場
シンラが英雄隊極隊長に就任し子供が登場したエピローグ。
その最後に『それから遠い先の未来』と題して再び死神が登場しますが、その姿はソウルイーターで登場した死神様に落ち着いています。そして、人に似た神の子を生みだそうとしており、その際に、この世界を救った少年(森羅日下部)から着想を得てキッドを生み出しています。
また、ブラックスターとソウルの幼少期の姿が一コマずつと、炎炎ノ消防隊の絵本を幼いマカに読み聞かせる両親の姿が描かれています。エピローグの最後はマカの母親が「そして絶望に負けない世界ができたとさ」と締めくくり終了しており、字幕で『NEXT IS SOUL WORLD』と煽りソウルイーターへ続くことが示唆されています。
なお、ソウルイーター本編では登場しなかったマカの母親ですが、まさかの炎炎ノ消防隊でスピリット=アルバーンとともに娘に絵本を読ませる構図で登場しました。
まとめ
以上『炎炎ノ消防隊の最終回とソウルイーターの繋がり』についての紹介でした。
ハウメアの絶望とシンラの希望がぶつかる最終決戦は、ソウルイーターで登場した『魂の共鳴』によって日下部一家が一つになった姿である森羅万象マンの活躍により無事和解となり大団円で終わりました。
死んだキャラクターは過去も含めて全員生き返り、まさにハッピーエンドで完結しましたが、シンラが世界を再生し命の価値を軽くしたことで前回の大災害同様に再び世界の描写が変わり『ソウルイーター』の世界観へと変貌しています。
また、炎炎ノ消防隊から遥か遠い未来では最終話で登場した死神がソウルイーター本編時の姿になっており、シンラから着想を経てキッドを生み出したことが発覚。ブラックスターやソウル、マカやマカの両親まで登場したことから炎炎ノ消防隊の世界がソウルイーターと一緒であることが確定しました。
▼ 炎炎ノ消防隊の漫画 ▼
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炎炎ノ消防隊
作家:大久保篤
出版:講談社 全人類は怯えていた──。何の変哲もない人が突如燃え出し、炎の怪物’焔ビト’となって、破壊の限りを尽くす’人体発火現象’。炎の恐怖に立ち向かう特殊消防隊は、現象の謎を解明し、人類を救うことが使命! とある理由から’悪魔’と呼ばれる、新入隊員の少年・シンラは、’ヒーロー’を目指し、仲間たちと共に、’焔ビト’との戦いの日々に身を投じる!! 燃え上がるバトル・ファンタジー、始動!! |
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